映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ケリー・ライカート監督「リバー・オブ・グラス」3451本目

<ネタバレあります>

フロリダが舞台のインディペンデント映画といえば、カラフルな「フロリダ・プロジェクト」を思い出すけど、こっちはまったく無彩色で、晴れていてもなんとなくぱっとしない。

「草の川」と呼ばれているのは、フロリダ半島の東岸突端近くにあるマイアミに対して、その西側に広がる「エバーグレーズ国立公園」の辺りだろうか。私は半島の中ほどのケネディ宇宙センターと、その内陸部のディズニーワールドしか行ったことないけど、それでもけっこうバイユー(沼地)でワニとかもいた。あんな場所で暮らす人たちの物語。

子どもをほったらかしてる女も、イキがってるだけの男も、なんともいえずズルズルとうっとおしい。最後の最後にそれをスパン!と振り切るのは女のほう。その銃声が男に傷をつけたのかつけなかったのかは、映画では語られない。「ウェンディ&ルーシー」でウェンディが山で寝てたときに襲われたのかどうか、わかるような描き方をしなかったのと似てるな。

ものすごく間違ってるかもしれない極論を言うと、生活に倦んでる地方在住のコージーは、舞台を日本に持ってくると「ここは退屈迎えにきて」になるのかな。って思いました。