映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ケリー・ライカート監督「ミークス・カットオフ」3452本目

Cut offは「ショートカット」=近道ってことだな。ミークの近道。

ある一家が荒野で道に迷っているところから始まる。道案内に雇ったミークという男のうさん臭いこと。まるで目的地どころか、水や食料のあるところにもたどり着けそうにない。馬も人間も飢餓で今にも倒れそうだ。そこに言葉の通じない半裸の先住民が表れて、壁に何か文字を書きつける。それは道案内のヒントなのか、それとも味方に自分の居場所を知らせる書置きなのか。

ライカート監督作品4本目だから、私も学習すりゃいいんだけど、また結末を期待して見てしまって拍子抜けする。答えを決して与えないのがライカート監督だった。なんか、ケン・ローチとかダルデンヌ兄弟みたいな、社会派の映画監督みたいな手法に思えるけど、ライカート監督の作品にそういうメッセージ性は感じない。もっと、どこで何をしている人間の内面にもある疑いと信頼のバランスや、それを崩しにかかるさまざまな事件とか、そういった「不安定さ」をヤジロベエみたいに描くんだ。なんともいえず、落ち着かない。彼女の作品を見ることで何か自分が学んだり目を覚ましたりしてるのかというと、そういう気もしない。

なんとなく揺さぶられたのは確かなので、次、最新作も見てみることにします。ふぅ。

ミークス・カットオフ

ミークス・カットオフ

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