映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

BJ・マクドネル監督「スタジオ666」3462本目<KINENOTE未掲載>

デイヴ・グロールが原案で、フー・ファイターズがアルバムを録音するために洋館スタジオ入りする設定のホラー映画、と聞いて、すぐに見てみることにしました。ニルヴァーナではキレキレのドラムを叩き、カート・コバーン亡き後はギター&ボーカルで自分のバンドを率いた多彩なデイヴ・グロール、その才能は音楽にとどまらなかった・・・。

スタジオの番号が666ってところがね。「シャイニング」とか好きなんだろうな。この映画のことはバンドの英語のWikipediaに少しだけ書いてあった(horror comedy filmらしい)。公開直後にメンバーの一人が亡くなったらしいけど、コメディということなので安心して?見ました。

冒頭から、すごいスプラッターぶり。亡くなったメンバー、ドラムのテイラー・ホーキンス、普通に、快活にメンバーとしてそこにいます。不吉のかけらもない。

メンバーが次々と謎の死を遂げますが、ギャグですね確かに。そしてセリフの9割はデイヴ自身だ。このバンドってずっと彼のワンマンバンドだったのかな・・・。

ストーリーは、怪しげな洋館を音楽スタジオにしたものにメンバーだけが籠って、ひたすらリハーサルをしたり録音したり議論している中で、洋館の秘密を発見してデイヴ自身が何かに取りつかれて、彼以外のメンバーが次々にひどい殺され方をする、というじつに乱暴で残虐でバカバカしいもの。デイヴの悪役っぷりはなかなかのものだし、彼以外のメンバーのそれぞれの性格も生かされているようで(ラミは女好きでちょっとスピリチュアル系、ポールは真面目でネイトはバーベキュー好き、等)、ちょっと悪趣味なファンアートをリーダー自らやっちまったような感じ。

このノリは1990年代にロック好きの人たちが見てた、悪辣な小僧たちが人をディスり続けるアニメ「ビーヴァス&バットヘッド」とかに近い気がするな。

映画としての出来はなんともいえないけど、ファンでなくても一種の音楽映画として面白く見られました。