映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フリッツ・ラング監督「ブルー・ガーディニア」3464本目

1953年にラング監督がハリウッドで撮った作品。

ロマンチックな音楽のオープニング、主題歌はナット・キング・コール、映画の黄金時代って感じです。主演はアン・バクスター、登場する女性は三人ともブロンドでキュート。舞台劇みたいにちょっとしゃれた会話のやりとり、ほんの少し緊張感がある日常。

アン・バクスター演じるノーラが誕生日に振られて、さっそく口説いてきた画家と過ごすレストラン「ブルー・ガーディニア(青いクチナシ)」の舞台では若きナット・キング・コールがにこやかに歌っています。なんか豪華。泥酔した彼女は画家のアパートで、もうろうとしたまま抵抗して、記憶のないまま帰宅。

作品中の女性のファッションにこだわる監督は多いけど、この作品の女性たちはキュートで親しみやすいけど、常に髪をまとめてきちんと眉を描いていて、ハイヒールが似合います。電話交換手として立ち働く姿も素敵。

自分が泥酔状態で人を殺してしまったのでは?と恐れ続けるヒロインにすごく惹きつけられる・・・けど、解決に至る部分は短いしあっさりしてるし、その後あらゆるサスペンス映画を見てしまった私たちには物足りなく感じられます。。。でも、ラング監督が描きたかったのは、追い込まれるヒロイン像だと思うので、その部分の出来が素晴らしいのでやっぱり見て損はない映画だと思います。