「ミッドナイト」がすごく良かったライゼン監督の後期の作品。主役のレイ・ミランドは「恐怖省」「失われた週末」「ダイヤルMを廻せ」等の彼だ。(”黄金の耳飾り”をするのは、彼なのだ)そして黒塗りでジプシー女を演じるのが、御年47歳のディートリッヒ様。なりきって、目を大きく見開いて、ちょっと変な発音の英語でしゃべる。彼女のコメディエンヌとしての才能が生かされてる、と思います。
現代劇で見慣れた彼らが、1人は本物のジプシーとして、1人はジプシーを装ったイギリス兵として、ストーリーを動かしていきます。ジプシー多数によるグループが登場するけど、たぶん本物は一人もいない。これたぶん、まったくの空想物語なんだろうな。ヨーロッパの森では、細かく引かれた区切られた国境に関係なく、ジプシーというか、ロマと呼ばれる人たちが移動しながら暮らしているので、中にはどこかの脱走兵をかくまってくれた人もいたかもしれない。あらゆる部分でリアリティは感じられないけど、こんな夢をみた瀕死の脱走兵もいたかもしれないよね。
いつもは端正な二人のジプシー仮装も楽しめました。