映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

カルロス・サウラ監督「ブニュエル ソロモン王の秘宝」3468本目

ブニュエルがタイトルにあるけど、監督でもプロデュースでもないし出演もしてない。どんな映画なんだろう。ビジュアルは明らかにサルバトール・ダリだし。

そもそも「ソロモンの秘宝」って何だろう。常識だったら恥ずかしいけど、ググったところ、「モーセがエジプトで奴隷だったユダヤ人を開放したときに、ユダヤ人たちが”約束の地”に運び出した秘宝」らしい。検索結果の多くが「秘宝は日本にあった!」というネタだったりして、これは史実ではなく伝説とか神話のたぐいだということがわかります。日本でいえば信長の財宝とか「邪馬台国はここにあった」系だ。やばいなぁ、ブニュエルともダリとも関係ないじゃないか。(ロルカは読んだことはないので、よくわかりません、すみません)

ダリがガラや自分自身以外のなにか、特に秘宝に興味を持つと思えないし、ブニュエルが映画にするなら「秘宝を追い求めるブルジョワジーたちのあいまいな愉しみ」みたいな皮肉たっぷりな作品になるだろうし、ロルカは・・・(知らない) つまり私の認識と全くズレてる、なんだかイケてないマッチングのように思える。冒険家とかオカルト好きな人たちが青筋立てて秘宝を探す映画なら、共感しながら楽しめそうだけど。

この映画ってたぶん、スペイン人ならだれでも知ってる国民的アーティストたちを結び付けてみたパロディ的な作品なのかな。日本でいえば「黒澤明と岡本太郎と三島由紀夫が邪馬台国を探したら」でしょうか。”もしドラ”みたいになってきましたが「探さねえよ!」と一蹴されて終わりそうな気配もあります。そういうパロディを面白いと思うかどうかは別にして、スペイン人の一般常識を共有してない私は、この映画を味わうスタート地点にも立ててないのでしょう。

最後はSFっぽくなったけど、この3人に「インディ・ジョーンズ」をやらせるのはやっぱり、黒澤×太郎×三島で編隊を組むのと同じくらい無茶だと思ってしまうのでした。