映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アキ・カウリスマキ監督「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」3485本目

やっぱり可笑しい・・・

音楽雑誌か何かで初めて知ったんだと思う、彼らのことは。巨大なリーゼントのアメリカかぶれのソ連のバンド?(本当はフィンランド)という無謀なキャラクター設定が、今見ても爆笑してしまう。そしてカウリスマキ監督との出会いでもあったなぁ。シリアスな監督だなんてこのときは思わなかった。

その後友達から彼らのライブアルバム「トータル・バラライカ・ショー」のサンプル盤をもらったときは(これを一体どうしろと・・・)と思ったけど、聞いてみたらなかなか良かった。カウボーイズとソ連の合唱団が歌う「カリフォルニア・ガールズ」とか、ギャグのスケールが壮大すぎて・・・。

今みると、アメリカのどんなミュージシャンよりも日本の「横浜銀蝿」に似てるな。アメリカから太平洋を渡って日本で曲解されたロックン・ロールを、ツンドラ経由でフィンランドに持ち込んでしまうと、こうなる。

カントリーもやる・・・名前がそもそもカウボーイだしな・・・「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」もやるし、メキシカンだって結構上手に演奏する。彼らが新しい巨大な”アメ車”で草原を走る場面でなぜか「バグダッドカフェ」を思い出した。(あれもまた見てみたくなるな。)でも「ボラット」みたいな異文化遭遇映画にも似ている。実はヘルシンキ出身の「ハノイ・ロックス」のマイケル・モンローってのも、ネーミングセンスはカウボーイズと同じだ。北欧センスって謎・・・一周回ってダサ面白ダサい・・・

棺桶入りの死体の氷詰めの空輸とか、突っ込み始めたら映画を始めることすらできない。毛皮とリーゼントとサボテン、同じ絵の中に配置することさえありえない。

最初の中古車ディーラーがジム・ジャームッシュに似すぎてると思ったら、エンドクレジットにちゃんと名前が出てた。そういえば彼の作品にもこの映画は似てる。

いや本当に、やっぱり面白い作品です。台風が近づいて外に出られない今日のような日には、部屋でこういう映画を見ながらテキーラでも飲むのがおススメです!