映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ピーター・メダック 監督「チェンジリング」3492本目

<結末にふれています>

カナダ映画だし、アンジーが出てるほうの「チェンジリング」がなかなかの秀作だったので、この作品はどうも、マイナー感があります。

1980年作品にしては、あの頃のアメリカ映画のどこか賑やかな風合いがなくて、同じ頃のドイツ映画かしらという雰囲気。(好きですこの感じ)

Changelingという言葉の意味は「取り換え子」なので内容もアンジー版(イーストウッド監督版って言えよって?)と似てるんだろうか。

ストーリーはどうやら、他の子を身代わりに立てられて殺されたその家の少年が自分を探してほしくて、新住人に訴えかけるというもので、過去に起こったことは陰惨だけど、主人公は無傷だしいいい人のまま。ホラーというより「世にも不思議な物語」とか「世界の超常現象」的。可哀そうな子どものホラーということで、ギレルモ・デル・トロが監督あるいはプロデュースした南米映画も連想します。

何一つ珍しいことは起こらないけど、主役のジョージ・C・スコットの誠実な強さがすがすがしいし、恨みを抱いて死んだ子どもが、無闇に殺戮を繰り返すのではなくて、「取り換え子」への道を阻むものだけを攻撃するところが健気にも思えて、とても清潔感のある作品です。意外な佳作。

そしてなぜか、ツイン・ピークスを最初から通しで見てみたい気持ちになるのでした。なんでだろう。

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