映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャン・リュック・ゴダール 監督「女と男のいる舗道」3504本目

追悼ひとりゴダール特集。U-NEXTにある未見の作品を古い順に。

昨日みた「小さな兵隊」は私が苦手な観念的社会的な要素が多めだったけど、映画初出演のアンナ・カリーナを「あーこの美少女に堕ちたのねゴダールは。なるほど」と思いながら見られたのはよかったです。

冒頭はアンナ・カリーナの逆光の横顔~真正面から見た顔~の上にタイトルロールが重なる。途中音が完全に途切れる箇所がいくつもあって、ネット接続の問題かと思ったけどちゃんと秒数カウントは進んでいく。私としては、ゴダールの作品は、こういう謎にスタイリッシュな美女たちの映像をじっと眺めていられたらそれだけでいいかも。

ナナという名の娼婦って、エミール・ゾラの「ナナ」の影響だよねきっと。そして、ポスターとかに使われている、いつになく切なそうなアンナ・カリーナの画面いっぱいの写真は、「裁かるるジャンヌ」を見ていたときの表情だったんだね。

ゴダールの社会派の部分には興味を惹かれないんだけど、彼のフェミニスト(なのか。でなければ何と呼べばいいのか)の部分のあり方にすごく興味がある。何が彼に美女を追わせるのか。社会ほどに彼を夢中にさせる「女」って何なのか。

この作品はタイトルからして私が好きなほうの「女性がテーマの作品」といえるかもしれないけど、哲学を語る人たちもいるし、「女」に対する「愛憎」の「憎」もあふれてるような。引き続きほかの作品も見てみます。

女と男のいる舗道(字幕版)