映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マーティン・スコセッシ監督「カジノ」3507本目

面白かったなー。ロバート・デ・ニーロの腹の座った演技、ジョー・ペシのインチキな軽さ、シャロン・ストーンの壊れた美しさ・・・。3時間近くの長尺を飽きさせずに見せてくれます。

ただ、多分みんな思っただろうけど、なんとなく既視感があって新しい感じはない。デニーロとジョー・ペシは、何度も会ったことのあるマフィアで、今度はカジノやってるのか、という何かの映画の続編のような気持ち。シャロン・ストーンは綺麗だし、徐々に壊れていく様子がリアルで、すごく惹きつけられます、が、彼女が悪い美女であるという設定もなんとなく既視感がある。カジノの経営者やマフィアが金にまみれて堕ちていくというストーリーも、少しも新しい感じはしない。

なので、3時間を引っ張っていくのはひとえに製作者と演技者の技能で、そこが素晴らしいのだと思います。

設定も出演者も的を射ているのに、既視感のために、多分今あえてこの作品を見る人って少ないんじゃないかな。U-NEXTでの公開が今月末で終わるので急いで見てみてよかったです。

音楽もすごいね。ストーンズはともかく、DEVOの斬新すぎたSatisfactionを狂気の場面に使うなんて、他のどの監督にもできなかっただろうなぁ。

カジノ (字幕版)

カジノ (字幕版)

  • ロバート・デ・ニーロ
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