映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ポール・サルツマン 監督「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」3509本目

邦題のうち「インド」だけ日本語。デヴィッド・リンチが製作総指揮なので超越瞑想のPRっぽいのかなと思ったら、その色は弱めな印象でした。

これより後に作られた「ビートルズとインド」というよく似たタイトルのドキュメンタリーがU-NEXTで配信中で、そっちを先に見ました。アジョイ・ボーズというインド人が監督した、ビートルズと英国およびインドのインド系の人々との交流、特にジョージ・ハリスンとインド音楽とのつながりについて、インドからの視点で描いたまとまりのある作品でした。こちらでもビートルズのリシケシュでの生活に詳しく触れてる上、インド系であるという共通点以外はバラバラの人物が次々に現れて証言するので、立体的にビートルズとインドのつながりが浮かび上がっていた気がします。ボーズ監督版には、在りし日のリシケシュ合宿所の白黒映像と現在の廃墟との対比もあって、さすがインド人が撮るとインドに関する情報が正確かつ精緻なのでした。

私はたまたま、最初に買ったビートルズのレコードが「ホワイトアルバム」(カットアウト盤が売られててお得だと思ったから)だし、超越瞑想もやったことのあるゴリゴリのジャイグルデヴ野郎だけど、サルツマン版はちょっと薄いなと思います。

瞑想にはいろいろな方式があるし、目指すものもそれぞれで、どれがどれより良いとか優れてるというものではないと思うし、もうやり方ほとんど忘れてしまったけど、お金や名誉や孤独や悲しみや、いろいろな心の揺らぎを楽にして達観するためには効果的だと思います。もはやビートルズはこの作品においては「きっかけ」くらいのもので、インド文化の西洋での伝播という映画を2本見たような気分ですね・・・。

いつかインド行きたいな。デリー・アグラ・ジャイプールという初心者コースしか行かないままだったけど、遠い将来(まだ元気だったら)日本の家を引き払ってしばらく暮らしてみたい。

(この2作品でミア・ファローの姿を確認した後で「フォロー・ミー」を見ると、彼女のキャラクター設定がクリアにわかるような気がするな)