映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

リチャード・ブルックス監督「暴力教室」3528本目

誰でも知ってるビル・ヘイリー&コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」がテーマ曲に使われた作品ということで有名。レンタルDVDしかなくて、やっと見られました。

テーマ曲があれほどアップテンポでハッピーな曲なので、「グリース」の1950年代版みたいな青春ムービーだと先入観をふくらませてたのに、見てみたら邦題の通りのシリアスなドラマでした。むしろ1960~70年代の日本の学園ドラマの原型になったんじゃないかと思うような、荒れた学校に熱血教師が赴任→嫌がらせの数々→教師のがんばりで心を開く、というストーリーがありました。

その中でも印象に残ったのは、型にはまらない熱血教師は海軍帰りであるという部分。時代的にありそうな設定だけど、そのおかげで、ただ熱いだけの軟弱者ではなく、学生たちの知らない世界で厳しく鍛えられてきたバックグラウンドに説得力を持たせています。

熱血教師がマジメそうなグレン・フォード。「カルメン」ではリタ・ヘイワースに夢中になり過ぎて身を滅ぼし、「八月十五夜の茶屋」では京マチ子と有機農法に夢中になり過ぎてオキナワに住みついたグレン・フォード。(だから何なんだ)

それにしても、ハッピーな部分やアップテンポな部分のまったくない作品で、テーマ曲が浮いて聞こえます。Wikipediaによると、当時のスーパーヒット曲を監督がテーマ曲として選んだとかで、曲と映画が合わないのもなるほどなのでした・・・。