今村昌平の監督デビュー作らしい。でも、タイトルと裏腹な、森繁でも出てきそうな抒情的な人間ドラマです。どこが今村昌平なんだろう?師匠が川島雄三だったとWikipediaに書いてあるので、最初は師匠の世界に近いものを作り始めたのかな。4作目の「豚と軍艦」はドラマチックな今村的世界だったような記憶があるので、徐々に作り上げられていったものなのかな。
・・・と思ってたら、だんだんバイオレントになってきた。血が流れるわけじゃないけど、惚れた男にのしかかる女、オーディションと称して女を連れ込んで犯す男、キャットファイト的な女同士のつかみあい、といった激しく、かつ下衆な場面が続出。
叶う愛と叶わない愛。もっと後の今村監督作品では、その葛藤が犯罪となって現れるけど、ここではまだ長門裕之の切なげな表情だけです。
しかし、エンタメ意識強いですよね。冒頭のマイルドな”ストリップショー”の楽しさ、大勢で群れる男たちの勢い、などなど。この後、この新人監督はどういうものを作るのか・・・もっと壊れて破壊的なものを作るのか、高みを目指していくのか。私たちは答を知ってるけど、1958年の映画館にいる気持ちで見ていると、ワクワクしてきますね。