映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

カルロ・リッツアーニ 監督「ルキノ・ヴィスコンティの世界」3555本目

ヴィスコンティご自身の映像をみると、立ち上る気品がすごいですね。美術館の奥のほうの部屋の中世の巨匠による肖像画みたいです。彼は反骨精神が強く、社会の問題を取り上げた作品をたくさん作った人である一方、彼自身の貴族的な部分があふれ出てくることもあります。貴族階級をいくら批判しても育ちは変えられないのだ。(自分がかつて長く働いた会社のことも、似たような思いがあるな)

制作資金が底をついたときに家宝の宝石を質入れしたとか、助監督が「彼は人をうまく乗せる人だったが賃金なし、代わりに絹のハンカチをくれた」って話とか、あまりにも面白い。

世界が違いすぎて、これを見ただけでは彼の人となりがまだまだ見えてこないけど、それでも少しは垣間見えたかな・・・。