映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ハル・ハートリー監督「ヘンリー・フール」3572本目

面白かった。主役が女性ならエイドリアン・シェリー、男性だとこうなるのか。サイモンは鋭い感受性を持った男だけど教育をあまり受けていない。彼の書くものは卑猥だとか言う人もいるけど、読んだ者の心をざわつかせる。後の評価から考えるとボブ・ディランのようだけど、卑猥なものを書く低賃金肉体労働者ってところはチャールズ・ブコウスキーに近い。

このサイモンのキャラクターがいいんですよね。「ヴィヴィアン・ガールズ」を妄想したヘンリー・ダーガーとか「シュヴァルの理想宮」を立て続けたシュヴァルとも共通する、アウトサイダー・アート作家のようで。

ハル・ハートリー監督作品では、ちょっとダメでやたら変わっていて、でもどこか憎めない人たちが至極真剣に日々くらしているけど、みんなどこかからやってきて、その後どうなるかもわからない。家族だったらめちゃくちゃ腹立ちそうなやつらだけど、なんだかとても好きだ。彼らのその後が見てみたいから、続編「フェイ・グリム」も見てみようかな。評点ひくいけど。。。

ヘンリー・フール

ヘンリー・フール

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