映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャック・オディアール 監督「パリ13区」3603本目

「ディーパンの闘い」「ゴールデンリバー(見たのになぜか感想書いてなかった)」の監督なら、タッチは軽めでもかなりシリアスな問題を取り上げてるんじゃないかな?と思ってしまうけど、ちょっぴりクセのある群像劇としてサラっと見てしまいました。

舞台はパリだけど、中心となるエミリーは台湾系で、彼女のルームメイトになるカミーユは女性みたいな名前だけどアフリカ系の男性。カミーユと不動産会社で同僚となる女性ノラは、ちょっとはじけたつもりで挑発的な服装と金髪ボブのかつらで踊りに行ったら、セクシー・ユーチューバーと間違えられて大学にいづらくなってしまう。けっこうみんないろいろ抱えています。でも、自分自身に忠実に生きようとしていて、そこに惹かれてしまいます。

この映画をどう捉えるかは、よくわからない。でも見終わると、彼らのことがちょっと好きになっている。そんな作品です。

不思議だけど、「早春」って昔の映画を思い出してました。岸恵子が”ズベ公のキンギョ”って呼ばれてる群像劇。「パリ13区」のエミリーは自分勝手でかなりユニークだけど、1956年の日本は今よりよっぽど自由で、今のパリに通じそうな人間関係があったようになんとなく感じています。

はじけた金髪のカツラで人生を棒に振った女性を演じたノエミ・メルランは「燃ゆる女の肖像」の画家だ。この映画で見るとちょっとクリステン・スチュワートに似てる?

パリ13区って移民が多く住む、活気のある再開発エリアらしい。東京でいえばどの辺だろう。移民が多くて活気があっても再開発されてない大久保とは多分違う。ニューヨークならブルックリンとかだろうけど、日本にはないんだろうな、きっと、もう。

パリ13区 R-18版(字幕版)

パリ13区 R-18版(字幕版)

  • ルーシー・チャン
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