<映画の内容や感想については一切触れていません>
これも村田喜代子「偏愛ムラタ美術館【発掘篇】」で紹介されていた黒澤監督の絵コンテ集を見て、改めて見直さずにいられなくなりました。
本で紹介されていたのは、原田美枝子が草原に倒れている場面。あかるい草原に綺麗な着物を着た女性がうつぶせに倒れていて、頭の部分に青い草がかかっています。清らかな人の死なのでしょうか、青々とした草と咲き誇った花々に、ミレーの川を流れながら最期を迎える「オフィーリア」の絵を思い出します。こんな場面、映画にあったっけ?
探して探して2回見たけど、どうしてもその場面が見つからりません。手がかりを探して、画像のほうを検索してみたけど、これが「末の方最後」というタイトルのリトグラフで、オークションなどでけっこう売り買いされてることはわかりました。宮崎美子が演じた役です。彼女は原田美枝子演じる「楓の方」に謀殺されそうになるのですが、生き延びて、盲目の弟と逃亡しつつあります。かなり最後のほうでも城壁の上で生きて弟と話をしている・・・と思ったら、弟の笛を取りに戻った召使いがなかなか追いついてこないので、「私が行って様子を見てきます」という死亡フラグ!
・・・「末の方の最後」は、彼女たちのさびれた実家の前に斃れた召使いと彼女自身の場面でした。リトグラフのように明るい昼間ではなく、薄闇の中、楓の方に献上された頭部を木の花で隠すようになっていたんですね。映画では、召使が手に持った笛ですべてを表そうとしていて、彼女たちの清らかさはあまり伝わってきませんでした。。。つまりあんまりオフィーリアっぽくなかった。
この場面は2時間40分強のこの作品の2時間30分頃。ずいぶん見つけるのに苦労したけど、やっと見つかってほっとしました・・・。