映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

サイモン・アバウド 監督「マイ ビューティフル ガーデン」3635本目

これは那覇から戻ってくるANAの機内で見た。機内で映画を見る時代が戻ってきたのね、としみじみ・・・。那覇や石垣行きでもなければ、国内線でちゃんと映画一本見切れないもんね。

この作品はとにかく、ヒロインのベラを演じるジェシカ・ブラウン・フィンドレイの姿の印象が強い。なんて強い、ブレない表情の人なんでしょう。日本でいえば石橋静河をちょっと思い出す存在感。鉛みたいな土星みたいな重力感。そこにいたら絶対じっと見てしまいそう。彼女は「イングランド・イズ・マイン」でモリッシーを導いた女性であり、「ガーンジー島の読書会の秘密」でかつて活動した意志の強い女性でもありました。ダウントン・アビーとかのTVシリーズは見てないけど、目立ってたんじゃないかなぁ・・・。

偏屈だけど優しいアルフィー老人は愛すべき人だし、アンドリュー・スコット演じるモリアーティじゃなくてヴァーノンはいい奴だし、ベラが好きになる不器用でちょっと変わったジェレミー・アーヴァインは可愛い。英国がこうありたいと望んでいる英国のあり方だ。リアリティじゃなくてファンタジーの世界。ファンタジーの世界にこんなに重いヒロインか。興味深い。

特筆すべき点を見つけづらい作品だけど、美しい庭園のなかのヒロインの映像が妙に頭に残る、不思議と心地いい作品でした。

マイビューティフルガーデン(字幕版)

マイビューティフルガーデン(字幕版)

  • ジェシカ・ブランウン・フィンドレイ
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