映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

川口潤 監督「THE COLLECTORS さらば青春の新宿JAM」3642本目

新宿JAMの存在くらいは知ってたしコレクターズのライブもどこかで見た記憶のある元ロック娘の私でも、この映画の存在は知らなかった。これからこの映画を見る人はどれくらいいるんだろう。みんな見ればいいのになぁ。

JAMの場所は東新宿のほうなのか。全く行くことなかったなぁ。ロック娘の頃、パンクはカッコいいけどモッズはよくわからない、ファッション先行度合が強すぎる気がするし、採り入れて自分のものにするというより、形から入ってそのままと思えて、あんまりカッコいいとは思わなかった。

でもオバサンになるとわかることもある。クロサワとかオヅとかムラカミハルキとかを本気で愛する外国の若者の中には、そっくりそのままのコピーを作ろうとしてかなり独自の作品を作り始める人もいる。コレクターズの音楽はモッズかどうかはわからないけど、ポップでとても美しく、他の何物にも似ていない。本人たちの意図しない融合変性が体のなかで起こったんだ。加藤ひさしの声はびっくりするくらい今もよく通るし、古市コータローのギターはキレキレだ。もしや、今日本のシティ・ポップに狂喜している海外の人たちは、コレクターズを聴いたら好きになるんじゃないだろうか。

だってこの映画、この間見た「ブリティッシュ・ロック誕生の地下室」と同じなんだもん。アメリカのブルースに憧れたロンドンの若者たちと、モッズに憧れた新宿の若者たちはほぼ重なる。

しみじみと、いいバンドだなぁ、コレクターズ。