映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリストファー・ノーラン監督「インソムニア」3804本目

「オッペンハイマー」見たら、ノーラン監督レトロスペクティブやりたくなりました。まだ見てないのが何本かある。

この作品は、悪徳警官アル・パチーノと、柔和に見えるけど実は冷血な大作家ロビン・ウィリアムズ…と聞いただけで、込み入った心理戦が予想されて胃がむかむかしてきます。(←ほめてます)

アル・パチーノってほんと、”悪気がある”演技がうまい…良心の呵責に目をつぶって、目先の利益のためにウソを重ねる男の表情。これが素なのかなと思うくらい、こういう役が多いけど、この映画の場合、ラストの場面のすっきりした表情との違いが、彼の演技の幅なんだなぁ。

ロビン・ウィリアムズの悪役は、見てるとなんか辛くなりますね。私やほかのあらゆる人と同様に、天使のような笑顔のときの彼にも悪い心はある。それを外に出して見せることは、彼を優しいピエロだと信じている子どもたちに対する裏切りになるのか?いい人でありたい、いい人だと思われて幸せになりたい、という望みは人類共通だと思うけど、その生き方を選んでしまうことは大変な重荷なのかもしれない。

しかしこの作品、商業映画の3作目ですよね。これほどの大俳優たちを使いこなす、すごい新人監督だったんだなぁ。この頃は一人の人間の中の善と悪(とくに悪の部分)に注目した作品が多いように感じるけど、今は社会全体をまるで一人の人間みたいに見て善と悪がどのように現れるか、という大きな絵を描いてくれているように思います。

他の作品もどんどん見てみよう。

 

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  • アル・パチーノ ロビン・ウィリアムズ ヒラリー・スワンク
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