映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マイク・ミルズ 監督「20センチュリー・ウーマン」 3846本目

アメリカ版”わが母の記”で、私は息子を持つこともなかった女性なので、この中の誰の立場でも”なつかしさ”を感じることはないんだけど、こんな家庭もあるのかな、と見させてもらいました。

女は中学生でも女だし、母になっても子どもが大きくなっても女だ。ということを認識していくプロセスは、息子にとってはなかなかの成長痛なんだろうな。日本に来たら、男性や年長者にいろんな判断をゆだねがちな女性の存在に出会って、全然ちがーう!って思ったりするんだろうか。

(それにしても、グレタ・ガーウィグが出てる映画ってどうして、彼女が監督してなくても、あけすけな女性特有の下ネタが満載なんだろう?)

そして、これと逆の娘から父を見た映画って、どうして全然見かけないんだろう。大昔の小津作品はわりと原節子が父離れできない愛娘ってのが多かった気もするけど。監督や脚本家に男性が多いからかな。女性監督や脚本家も、こういう作品を作ってみたら、世のおじさんたちがカタルシスを得られていいんじゃないだろうか。冗談でもなんでもなく、男は荒っぽくていやらしい、みたいなステレオタイプが横行しすぎていて、おじさんたちが自信をなくしている問題ってあると思うんだよな・・・。逆の立場だったら私なら嫌だと思う。男性が作るとチャップリンの「ライムライト」みたいに、若い娘が自分に恋をする、になっちゃうんだろうか。(このパターンならごまんとある)いややっぱり実の父娘の仲睦まじい、あるいは愛憎こもごもな映画をもっと見てみたいです。