奇矯な天才…。
少し前の一時期、美術館に展示するようなアートにすっかり興味をなくしてしまった時期があって、「No art, no life」ばっかり見てたのですが、巨匠と、小さな施設で自分だけのために毎日絵を描き続ける人との違いって、あるようでないのかもしれない、と、この映画を見ても思います。すべては、たとえば「正常0」と「異常1」のどちらかではなくて、0と1の間に無数にある点のひとつひとつなんだろうな。
アート作品の値段やよしあしも、世界の全人口と同じ数の物差しがあって、0と1という数字だけが端っこに書かれていてあとは空欄なんだと思う。
この作品の中のダリは、まるで破滅型のロックスターみたいだ。私は今は印象派や形のはっきりしない作品も楽しむようになったけど、最初に好きになったジャンルがシュールレアリスムで、ダリは大好きな画家のひとりだったし、傷ついて赤ん坊みたいに丸くなっている彼を見ると、ガラでなくても抱きしめてあげたいと思ってしまう。アーティストがみんな幸せで満ち足りていたら、世界を震わせるようなアートも生まれないんだろうけどね…。
しかし、「ウェルカム・トゥ・ダリ」も原題の「ダリランド」も、なんとなく愛が足りないというか、物見遊山なだけという印象だな。映画の中身はそういう感じではないのに。
