映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャンヌ・モロー監督「リリアン・ギッシュの肖像」3908本目

1983年にジャンヌ・モローが監督した作品。

「八月の鯨」が1987年。まだ映画は少ししか見てなかった若い私が、たしか岩波ホールに見に行ったあの作品がリリアン・ギッシュの遺作で、ジャンヌ・モローも2017年に亡くなっていることを考えると、しんみりしてしまいます。

「散り行く花」「国民の創生」を見ると、か弱い(これって死語っぽいな)美少女だけど、「狩人の夜」のぶれない正義のおばさん役が、いちばん”素”に近い気がします。彼女があの映画の中にいてよかった、この世界はまだ大丈夫だ、と思えるくらい強くてまっすぐです。こんなに小柄で可愛らしいのに、誰よりも強い。このドキュメンタリーを見ても、その印象は強まるばかりです。ジャンヌ・モロー自身が「強い女」のイメージだけど、リリアン・ギッシュの前にあっては「若いお嬢さん」みたいな感じです。若くないけど。

ブレとか迷いとかは、たぶん私の性質として深く刻み込まれているので、いくら憧れたところでリリアン・ギッシュにはなれないけど、もし生まれ変わったら、彼女のように生きてみたいですね。強い気持ちで自分を守り、正しいと思うこと以外は引き受けず、まっすぐに。

わずか59分の作品だけど、一人で生きていく力を持ちたいと思っている女性なら見た方がいい。お手本がそこにいます。

リリアン・ギッシュの肖像

リリアン・ギッシュの肖像

  • リリアン・ギッシュ
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