映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ベッキー・ハトナー監督「ファッション・リイマジン」3915本目

ファッション産業に疑問を呈し、新しい挑戦をする人の映画は、他にも見たことがある。関根光才 監督「燃えるドレスを紡いで」だな。あちらは、中里唯馬という日本のデザイナーが、廃棄された洋服がケニアのどこかに積まれているのを再生して新しい繊維を作るのを追ったドキュメンタリーでした。こちらは真逆のルートをたどって、綿と羊毛の産地までおもむいて、問題のないやり方で素材から製品までを作ります。しかもそれは単発のプロジェクトではなく、その方法で作った服をショーに出し、かつ売り続けるという本気の方向転換です。

UKで新人賞を受賞したデザイナーによる挑戦。デザイン力にはお墨付きがあります。キャサリン・ハムネットという先人もいます。でもファッション業界全体はあまりにも大きすぎて、世界全体を覆いつくしていて、アリたちがゾウに挑戦しているように見えます。

ヴィーガンにも似てる?徹底的に、誰かを傷つけかねないものを排除するというやり方が。(やり方というか方向性や方法論が似てるだけで、肉食の是非というか要否はまた別次元の議論だけど)

洋服をどうするかは、私もずっと考えて悩んでます。何をどう着るかにこだわる気になれないほど世界も自分の家も洋服だらけで、安いけど長く着てる服もあれば、高かったのにほとんど着ない服もある。1つの服を大事に着たいけどサイズは変わるし、仕事のときには無難で感じのいいものを着るのが礼儀だとも思う。ひとつの服を長く着たいけど、好きな服がすぐにダメになって、服の修繕をやってみようと思ったり。そのために色んな布を買って結局使わなくて、かえって罪悪感のタネになったり。

こういうのって積み重ねだから、小さい頃から洋服を大事にしてきていたらいいんだけど、私の部屋にはなんとなく積もってきた化繊の安物が詰まってて嫌になります。

MOPのサイトを覗いてみたら、自分でも着られそうなデザインが多いけど、お値段はユニクロやZARAの10倍だ。私はいつかここで服を買う勇気が持てるだろうか?

大量生産・大量消費→大量廃棄はわるいことだ。この過程で貧しかった人や村や国が豊かになったとしても、地球をダメにするのはよくない。変化は少しずつしか起こせないのかもしれないけど、過去の経験にまみれた中年以降じゃなくて若い人のゆがんでない目でしか、始められないものなんだろうな。自分にできることを考え続けるために、この映画のことをずっと覚えていようと思います。