吉祥寺における梅津かずおと同様、下北で鮎川一家の誰かを見かけるとその日はラッキー、と言われるほど地元に溶け込み、一生よい市民、いい仲間、憧れの人でいつづけた立派な夫婦と、美しい娘たち。
大学進学で上京して初めて行ったのが彼らの日比谷野音のライブだったんだよな。博多出身の子と友達になって、誘われて、ゴールデンウィークの前に行った。チケットはプレイガイドか何かで普通に買えた気がする。私はロック少女であると同時に、実はYMOやクラフトワークも聴きこんでいてアルファレコード勢にも興味があったので、渡りに船。そこから、1週間後くらいにまた日比谷でやった内田裕也プレゼンツライブで、まだ暴威と書いてたBOOWYやパーソンズ、いろんなバンドを見たっけ。
鮎川さんは確かに一生いつもカッコよかった。シーナは一生常にゴージャスだった。エルビス・コステロのオープニングアクトをやったとき高橋幸宏が目を付けたって言われると、サディスティックミカバンドとの共通点とか感じてしまう。(ふと、「You May Dream」が「タイムマシンにお願い」と似たコード進行だと気づく)
私は「涙のハイウェイ」が一番好きかも。(アルファに移籍する前のシングルだ)「Sweet Inspirations」も好き。でも、バンド関連の映画を見るたびに書いてるけど、その後ぜんぜん聴いてなかった。私は大人になってロックを聴かなくなったつまらない中年なのだ。
私個人と彼らの関わりなど、この映画の感想においてはそれほど重要なことじゃないのでこのくらいにしといて。甲本ヒロトが言ってた「死んだこととかどうでもいい。鮎川誠が生きたってことが大事なんだ」という言葉に共感する。(思っていても私には「死んだことはどうでもいい」と口に出す勇気はないけど)みんな死んだ死んだばかり言うけど、あのようなロックの神の子のような人が周囲や聴く者たちに与えた温かさや幸せは稀有なものだった。彼が生まれてくれてよかったのだ。感謝して合掌。
