どこかで、このよく知られた昔のカンフー映画が「バルセロナで撮影」だというのを見て、見てみたくなりました。多分昔見たことがあるはずだけど。
本当にバルセロナで撮影してた。今よりだいぶ小さく感じるサグラダ・ファミリアで、まさかロケしてる?それともここだけハリボテ?
こういう映画を久しぶりに見たので、現地の人たちが全員口パクで流ちょうな広東語をしゃべるのが、それだけで可笑しい。まるで日本のアニメみたいだ。ジャッキー・チェンも若くて可愛いけど、ユン・ピョウも表情豊かで親しみがあります。サモ・ハン・キン・ポーは画面に映っただけでなんだか笑ってしまう。当時の香港アクション・コメディの豊かさを見せつけられますね。いい役者ぞろいだし、内容もバラエティあふれてるけど、財力もすごい。楽しいな~、いい時代だったなぁ。
まだ外国に行ったことのない(どころか、隣の県くらいしか行ったことがない)当時の私が見たこのバルセロナは、「兼高かおる世界の旅」くらい遠い、自分がいつか行くことなど考えられない、別の惑星のような存在感だっただろう。今見ると、サグラダ・ファミリア今より全然空いてるなとか、石畳の道を何度も歩いたなとか、全然違う気持ちになる。この40年は自分の中のいろんなものをすっかり変えてしまったんだな。
名画をたくさん見るのも、外国へ旅行するのも、一番最高にテンションがあがるのは、刺激を受けて「見たい!行きたい!」と気持ちが高まる時期で、その後は衝動にせかされながら淡々と予定を立てて、日程をこなし、満足感のなかでお土産を分け、写真を整理する。この最初の高まりは、もう経験できないかも。その頃の気分を追体験したい。という気持ちで、こんな映画を見るのは、なかなか豊かで胸が高なる映画体験なのでした。