映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

降旗康男監督「非行少女ヨーコ」3939本目

なんとも気になるタイトル。少女のころの緑魔子のビジュアル、気が強くて体が丈夫で、どこに行っても生きていけそうな女の子。まばたきをほとんどしないでまっすぐ見つめる目元が印象的です。この子、今なら絶対ギャルだな…。ヨーコは貿易船でサントロペ(フランスだよ、遠いな)へ渡ってしまったけど、もっと昔ならインドシナへ渡ったかもしれないし、今なら世界中のどこへでも行ってたくましく暮らしているかもしれない。そういう、普遍的なぶれない女の子。

そう見ると、移り変わっていくのは、彼女に対する大人たちや男たちの態度のほうか。今は「オール」でクラブで踊りまくるのも普通なので、ヨーコは不良グループに入る必要はない気もするけど、お金がないと「トー横」で大人に買われてしまうんだろうか。世界の層は厚くなって、人の正体がわかりづらくなった気もする。

サントロペでヨーコは何をしたんだろう。気にいって住み着いたんだろうか。観光だけして気が済んだら帰ってきたのか。なんとなくそこは、今より自由だったんじゃないかなと思いたいですね。