民族的にはパレスチナ、出身はナザレで国籍はイスラエルらしい。パレスチナ系(アラブ系)イスラエル人。だけど名前はユダヤ人に多い「~マン」でキリスト教徒とのこと。すでに私は混乱しています。
髪も髭も白く、帽子を深くかぶって縁の太い眼鏡をかけているので特徴がちょっとわかりにくいけど、若い頃の写真を見ると、確かにアラブ系の人に見える。今はいい身なりのヨーロッパの人か、ニューヨークの画商か何かに見える。
キリスト教的な天使が現れる一方、彼が赴くクラブで流れるのはアラブふうのサウンド。浅草で生まれ育ったアラブ人だったら、地元のお祭り文化がしみついてるけど宗教的にはイスラムだったりする、みたいなことだろうか。(←私の想像の限界)しかしこのクラブの女性客はウズベキスタンの女性みたいに、ヒジャブやブルカは何も見につけていません。この女性たちの立ち位置も、もう全然わからないなぁ。
必ずしも似てるわけじゃないのに、ジャック・タチを思い出すのは、画面がとてもきれいで、きれいなのが各民族の女性たちや建物だったりするあたりかな。ロイ・アンダーソンの方が画面は近いかもしれないけど、どうもこちらは監督の目力が強すぎて、北欧のはかなげな人々とは縁遠い気もしてしまう。
そもそも、キリスト教徒のパレスチナ人であることで、生まれてこの方いろんな目に合ってきたんじゃないかと想像しますが(黒人のタクシー運転手に、いろいろ誤解されたまま勝手に共感されてタクシー代をタダにしてもらったり)、それを”笑い飛ばす”でもなく、静かに全部を目撃して、くすりと笑わせる、ってのはどれほどの胆力なんだろう。
「現代のチャップリン」は作風に関してはあまりピンとこないけど、「チャップリンの独裁者」みたいな痛烈な風刺作品を思い出してのことかな。監督のインタビューを探して読んでみたら、日本映画、特に小津安二郎からの影響が一番大きいと話していて、なんとなくそっちのほうが納得できました。そこはかとないおかしさの度合いが、意外と似てる気がします。
感想が言葉になりづらい作品だったけど、なんとなくこの空気は好きだな。
