<結末にふれています>
「ドリアン・グレイの肖像」の女性版ともいえる作品。まぁ極端な表現だわね…。ホラーではなくブラック・コメディだよな。
年齢にしてはきれいな元のエリザベス(というかデミ・ムーア)、若さのかたまりのようなスー、エリザベスの先にいる、”サブスタンス”があってもなくても訪れる老婆は、もし100歳まで生きたらこうなるよな、という姿。なんなら、一番老いた姿のエリザベス(最終形はむりだけど)をなんとか可愛くいろどるメイク術だって今のご時世ならありかねません。
エリザベスの若さへの渇望もすごいけど、おじさんたちの醜悪な描き方もけっこうすごかった。でも最終形の名前が出てから後は、怪獣映画でしたね。エリザベスの生命力もすごいし、あの流血の量はブライアン・デ・パルマか。監督・脚本は女性なんですね。だったら、主役たちと監督とは、壮大なジョークをやってのけようぜ!という共犯のような気持ちで楽しめたんじゃないかな。てことはこの映画は、家庭に縛り付けられる女性を描いた「ドント・ウォリー・ダーリン」(オリヴィア・ワイルド監督)や性暴力のリベンジを描いた「プロミシング・ヤング・ウーマン」(エメラルド・フェネル監督)の仲間か。ブラックスプロイテーション映画の時代みたいに、女性が壮大なうっぷん晴らしをする映画がますます出てきて、さらに映画の世界を盛り上げてくれたら楽しい。
