これ、怖いな。もし自分がアフリカ系だったら、夜眠れなくなるくらい怖いと思う。
彼らがわずか200年前にアフリカから連れてこられて、当然にようにこき使われていたという話を聞くとき、今その人たちの子孫は、それをもう二度と起こりえない過去のものだと思えるんだろうか。ホロコーストの写真を見るたび、ユダヤ系の今の人たちは背筋が凍り付いて言葉も出なくなるんじゃないか。
差別を完全になくすのは難しい、というより、人は自分が一番下だと思いたくないし、少なくとも安心して安全に暮らしたいと思う生き物だから、すぐにいじめや差別を始める。その対象はわりと頻繁に入れ替わる。どこかのグループが今目立っていたり、逆に立場が極端に弱かったりすると、目ざとい悪がすぐに見つけて嬉しそうにいじめ始める。その繰り返しだ。
アフリカ系の人たちについては、今も町を歩くことだけでも本当に用心していると何度か複数の人たちから聞いたことがある。彼らのそういうリアルな恐怖を、かなりそのまま、具体的に映像化した作品だな、と思いました。
もしも自分が奴隷だったら。→今はそれはないと思うけど、目立って白人を攻撃したりしたら目をつけられて生贄にされるんじゃないか。→極端な差別主義者にあっては、現代には起こりえないような極端な差別と虐待だってやりかねない。…という、リアルに自分たちが感じている恐怖。これを見て、関係ないと思っている人たちは、おおげさだと思うかもしれないけど、ひねりがないくらい多分そのままなんじゃないかな。ちょっと刺激が強いけど、これも、誰かが作らなきゃいけない映画だった、と感じています。
