映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

オータム・デ・ワイルド監督「エマ」3998本目〈KINENOTE未掲載〉

そうかこれは日本未公開だからKINENOTEに載ってないのか…。面白いのに。感想を読んだり読んでもらったりしたいのに。

原作はジェーン・オースティンで、エマは私のイメージではエマ・トンプソン(エマだけに)みたいな、長女っぽいお堅い役が似合う女優さんなんだけど、この作品ではキュートで生意気で気が強いエマを、アニャ・テイラー=ジョイが演じます。お堅いというより、自分は賢いと思っていてなんでも思い通りにしようとする、世間知らずの若い女性。周囲の人たちが自分の言うことを聞くのは、身分が自分より低かったり、相手の性質が素直だったりするだけで、基本的には失礼なビッチです。

家庭教師として長年親しんできた女性が結婚して彼女の家を去り、代わりに足しげく通うようになったミア・ゴス・・・気をつけろ!彼女は危険だ!(←A24作品の見過ぎ)・・・いや違う、ここでは素直で従順なハリエット。「パール」とか見てなければ、似合いの役かもしれません。この作品は「ニンフォマニアック」や「サスペリア」よりは後だけど、Xシリーズの前だし。

エマの父(演じるのはビル・ナイ)は頑固で家柄にうるさい男。

エマはハリエットと相思相愛のロバートとの結婚を邪魔し、身分の高いエルトンとくっつけようとするけど、エルトンが好きなのはエマなので失敗。

彼女が次に出会うフランク・チャーチルを演じるのはカラム・ターナー、「ファンビ」シリーズでニュート・スキャマンダーの兄テセウスを演じた人です。こういう、どこか北欧っぽい、アジアがわずかに入ったかんじの容貌って、男性でも女性でもヨーロッパですごく美形とされるけど、東アジア人としては「ふうん」という気もします。確かにとても素敵ですけど。

エマがなんでも思い通りにしようとして、あれこれ駒を動かすんだけど、逆効果だったり言わない方がいいことを言ってしまって友人を傷つけたり。もう本当に困ったお嬢ちゃまです。常につかず離れずの位置を保っている金髪の若者ジョージ・ナイトレーは、幼なじみらしく、彼女に対する批判も恐れずに言います。ここまで出そろったところで、さあ誰と誰が最後にくっつくのか?などと考えながら見るのは、もうテラスハウスみたいな楽しみです。古今東西の若い男女に共通の、最大の関心事。

見終わってみて、アニャ・テイラー=ジョイでよかったな、と思いました。立派すぎるエマじゃなくて、イキがってるお嬢ちゃん、と描いたから、彼女が可愛く見える。幼なじみジョージは実年齢が一回り以上年上、この映画ではそれほど離れてないように見えるけど、ハラハラしながら彼女の心配をし、一方で彼女の可愛らしさ、女性らしさを誰よりもよく知っている。兄のような役割の彼と、彼女が結ばれることが、自然で美しく思えます。

エマが誤りを指摘されてショックを受け、涙を流し、各方面にお詫びの行脚へいくあたりがとてもよかったです。