ジョン・ガリアーノ、名前くらいしか知らなかったけど、天才だなぁ。彼の生み出すファッションは美しくて凄みがある。エレガントなジバンシィ、さらにディオールと起用されたのは、起用した方も天才的だと思う。それまでの彼の奇抜さが、”まともなブランド”にあってこれほど端正なものを作るなんて、私にはまったく想像できない。
なんか、追いつめることが怖いな。まるでマイケル・ジャクソンが整形や肉体改造に傾倒していったドキュメンタリーみたいで、人気っていう暴力にもまれて崩れ落ちていく人間を、本人も誰も助けられない。
心の中に、醜いものがない人って、人間には多分いないと思う。自分が受けた差別やいじめは、忘れたくても消し去ることはできない。それを再生産してほかの人たちにぶつけないように抑えていられればいいけど、追いつめられると飛び出してきてしまう。これほどの差別発言ではないけど、以前働いていた会社で、ちょっと信じられない言葉を口にした人をときどき見かけたけど、みんなその後すぐ辞めてしまった。言葉によって退社を余儀なくされたんじゃなくて、何かがもう限界だったからそうなったんだろうと思ってる。
でも、人間なら誰でもなんて言われても、ホロコーストの犠牲者(肉親も含めて)は一生許せなくても当然だ。これは二次被害だから。
このあとジョン・ガリアーノはベルギーのブランド、メゾン・マルジェラでしばらくデザイナーを務めて、2024年末にそこも辞めたらしい。
誰かに似てるなと思ったら、サルバトール・ダリだ。爆発的な才能と、少年みたいなナイーブさを併せ持った天才画家。ガリアーノはコマーシャルなファッションの世界でやっていけるのか、別のアートの作家に転向することはできないのか。
(一番いやなのは、レイシズムに傾倒する人たちに、彼の言動やデザインが利用されることだな。この人自身は本物のレイシストではなさそうだし)
このドキュメンタリーに何度か登場するアレクシスという男性モデルがパートナーらしい。今もそうなんだろうか。人柄をよく知るケイト・モスやアナ・ウィンターズが味方についてるくらいなので、転落するだけの人生じゃないことは確かだと思いたいです。
