映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ターセム監督「落下の王国」4004本目

「落下の解剖学」じゃないのね。落下することが多い映画だけど、「落下の王国」以外にも、何かいい邦題がつけられたような…(といってもアイデアはない)

一見して、パラジャーノフか!?と思うような、強烈なデザインと色彩。制作時にきっと意識したんじゃないかなぁ。石岡瑛子さん素晴らしいです。一方、パラジャーノフ監督作品は文化も違うしセリフがほとんどないし、あっても意味がよくわからなくて、およそ”理解できた”という気持ちになりえないけど、こちらはとてもよくわかります。全然、わかりにくい映画ではありません。スタントマンがあんまり病んでるように見えないし、空想の中の”黒山賊”姿がカッコよすぎて(ちび山賊もカワイイ)健康的すぎるので、”つい、ほろり”というような同情はしづらいですが、5歳の女の子の空想と感情が未知で美しくてデタラメで、素晴らしすぎるので、それ以外のことはもう良し。と思います。

意味がわかりすぎるので、パラジャーノフの”徹頭徹尾不思議すぎる”感じが、あっという間に日常になってしまうのが、ちょっと惜しい気がするのはぜいたくってもんでしょうか。

スタントマン兼黒山賊のリー・ペイス、甘い表情も精悍なアクションもいいです。うまいです。年明けに大好きなエドガー・ライト作品に出演するらしいので、楽しみですね。途中で永久歯が生えてきちゃう5歳、カティンカ・アンタルー、ぷくぷくしてて感情とイマジネーション豊かな素敵な女の子ですが、最近の写真も、輝く目をした素敵な女の子です。才能豊かなので、制作側としてやっていく可能性もありそうです。

ロケ地についても言及せずにいられませんよね。普通にタージ・マハールが映り込みのように背景にあったり…インドは初心者向けツアーでデリー、アグラ、ジャイプールの世界遺産を一通り回りましたが、見覚えのある場所がたくさん。ジャイプールのシティパレス、アンベール城、ジャンタルマルタル、チャンドバオリの階段井戸も印象的。(いったことないロケ地の方が当然多い)世界遺産って、それほど予算が大きくない映画でも撮影許可が出るのか、というのが驚きだけど、絶対行って撮ってよかった。映画史に残るすごい絵が撮れたと思います。

字幕も英語音声も一切なしで、パラジャーノフみたいに未知の世界として見てみたかった気もする…。そうやって見たときの自分の反応を知りたい、です。

これは映画館で見てよかった!