映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ギレルモ・デル・トロ監督「フランケンシュタイン」4005本目

大好きなギレルモ・デル・トロ監督の新作。これはNetflixに一時的に加入するより、映画館で観たい!と思って探したら、都内でまだ1館だけやってたので急いで見てきました。

オスカー・アイザックは、若くて精悍な男の役をやる俳優ってイメージだったけど、主役であるヴィクター・フランケンシュタインというマッドサイエンティスト(ホアキン・フェニックスとかがやりそうな役)をやる貫禄がでてきたんですね。

資金提供するのはクリストフ・ヴァルツ。癖の強い役がうますぎて、今回も癖が強い。

その娘、異形のものに心惹かれる自然科学系の心のきれいな娘がミア・ゴス!最近この人の名前を聞くと身構えるようになったけど(※「パール」シリーズのせい)、「エマ」で素朴な娘を演じるのも自然だったので、今回そのミックス感のある役柄も自然ではありました。ちょっと身構えたけど。

「シェイプ・オブ・ウォーター」を見た人は全員思っただろうけど、あの映画でのサリー・ホーキンスを彼女が演じた一方、今回の”異形のもの”はダグ・ジョーンズじゃないのね。今回の”異形のもの”は相当な武闘派だからかな。この異形のものと純真な女性との心の通い合いは、デル・トロ監督の屋台骨みたいなものだし、彼を開発するためのオーガニックな機械装置も監督の大好きなやつです。(サリー・ホーキンズやミア・ゴスの演じる女性って、日本だったら蒼井優とかはまると思ってるんです…理系的な興味、少女のような感受性、人の本質を見抜く鋭さ。)今回の異形を演じたジェイコブ・エロルディ、かなり背が高いですね。立ち上がると迫力があります。大柄でガタイがいいけど顔立ちがやさしくて、彼の繊細さが胸を突きます。

って、デル・トロ監督作品って全部、「ミツバチのささやき」の骨子をなぞってる気もしますね。今この作品の解説を読んでたら、アナがかばおうとするのは脱走兵だけど、その後フランケンシュタインも本当に登場してたんだな。

この「フランケンシュタイン」では、最後まで名前すら与えられない異形のものと、好意をもって迎える若い娘や盲目の老人、最後にはその”父”と和解、それでも永遠に孤独のなかを生きなければならない異形のもの、という、いわばヒューマン・ドラマという構成になっています。デル・トロ作品の本質は異形のものへの果てしなく深い愛、無垢な子どもや若い女性への共感と、機械への偏愛、みんながいわゆる”幸せ”にならなくても、気持ちが通じることで救われ得る、という人生の理解、だと思ってます。その全部を盛り込んで、比較的、子どもでも見られるやさしさをたっぷり最後につめこんだ作品だなと思いました。

ああ大きな大人になるのって最高。安く映画館に行けるようになったので、これから見たい映画は見逃さないようにしなくちゃ!