映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

関根光才監督「フロントライン」4009本目

U-NEXTのTVアプリの調子が悪くて、「ホテルローヤル」をAmazonプライムで見たのですが、終わったとたんこれがオススメで出てきたので見てみます。

ていうか個人的にあまりにもタイムリー。私はそろそろ老後のたのしみシーズンに入りつつあって、来年大きなフェリーで世界一周の旅に出る計画をたてているのだ!やっと、あのダイアモンドプリンセスの案件のインパクトが薄れて、私もちゅうちょなく予約ができる今日このごろ、といっても毎年インフルエンザは流行るし、私も仕事に穴を開けられないので人混みでは今もマスクをしますが。

あの当時は、「こんな時期に外国から大勢遊びに来るなんて」「そんな感染者のたくさんいる船から患者を陸に下ろすなんて」「国は何をやってるんだ、医者は何をやってるんだ」など、排外的で批判的な感情が、かなり広範囲に広がっていました。あのとき偉そうにそういうことを言った人たちが、この映画を見て、まるで最初から彼らの味方だったような気分になって納得するんだろうな。おそらく、この頃批判してた人たちの心のどこかにも、同情や共感が気絶した状態で隠れてたのかもしれない。人の態度は、くるりとひっくり返る。

この監督の作品は、1「太陽の塔」2「生きてるだけで、愛」3「燃えるドレスを紡いで」の3本を見てました。1と3はドキュメンタリー。1はいろんな人が太陽の塔について語るちょっと変わった作品、3は廃棄される、衣類の最終処分場から、布くずを持ってきて圧縮した生地で新しい服を作り出すデザイナーを追う作品。1は構成がユニーク、3は題材がかなり珍しい。ドラマ映画である2も私はけっこう好きだったな。趣里が演じた強烈な性格の女の子の、感情まるだしな感じがまぶしかった。

それにくらべてこの作品は、とてもわかりやすい。小栗旬がプロジェクトリーダーで、無理解な周囲の人に屈せず交渉で自分たちの活動を認めさせる、という予想通りの流れ、そもそも、当時がんばった人たちをちゃんと認めようという趣旨がある。だからつい流してさらっと見てしまいましたが、一番印象に残ったのは、森七菜の英語が本当に話し慣れてる人のようでうまかったことかなぁ。この子はほんとうに不思議。初めて見たときはとにかく可愛いと思ったけど、この何を演じても自然体でその人にすでになっている感じは、もしかしたらすごい大女優なのか。今やってるドラマ「ひらやすみ」では、グズグズでだらだらな女の子があまりにはまっていて、最近のこの子はこんな感じなんだろうかと思ってしまったくらい。なんか、すごさを感じさせないところがうまいのかもしれない。とにかく彼女がよかったです。