映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

パウル・ネゴエスク 監督「おんどりの鳴く前に」4042本目

2022年のルーマニア映画。

ルーマニアってどんな国だっけ。第二次大戦では日独伊と組んでソビエトと戦っていて、つまり旧ソ連ではないんだけど、1989年の革命までは共産主義国だった、らしい。その前はオスマン帝国から”ローマ化”が行われた、というのが国名の由来。

映画を見始めたとき、言語がまったく耳慣れないので戸惑ったけど、よくよく聞いてみると発音はロシアっぽいのに、語彙に(私が勉強中の)スペイン語とよく似たものがちょいちょい混じってる。やっぱりローマ化された国なんだ…。

小さい平和な町の善良な警官、貧しいながらも懸命に生きる人々。。。でも人は生き延びるためには、犯罪行為を行うこともある。主人公がまだ代議士とか教師とかビジネスマンとかだったら、犯罪を糾弾するのでなく、救済のために行動を起こす物語ができたかもしれないのに。誰も幸せにならない、なんの未来も見えない結末に向かっていく。

「リトライ」ボタンを押せばまたすぐやり直せるとでも思っているかのような、直情的で後先見ない殺りく。捕まっとけばいつかやり直せたかもしれないのに。でもこれが人間。

ペキンパーね…。なるほど。そんな結末だからこそ、その場でたおれている全員に、人間のせつなさを感じて胸が詰まるんだな。主人公の存在感もあって、良い映画だったなと思います。

おんどりの鳴く前に

おんどりの鳴く前に

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