映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ダニー・ガルシア 監督「ナイトクラビング:マクシズ・カンザス・シティ」4051本目

シビレる…(死語)

元パンク娘としては、こういう歴史ものはたまりません。一時期ほんとうに音楽ばかり聴いて暮らしてたけど、今みたいに情報が氾濫してなかったので、たまたまロッキン・オンに載ってたり渋谷陽一がラジオで流したり(※この2つ情報ソース同一だけど)しないものは、ほとんど知る由もなく、大きくなるにつれて雑誌を熟読することもなくなっていたこともあり、マクシズのことは全然知りませんでした。

ラモーンズやルー・リードは大好きだったので、CBGBには行ったんだよなぁ。店の前まで行っただけで、中に入る勇気はなかったけど。初めての海外旅行、就職して最初のボーナスで行ったNYとLAのツアーでした。一緒に行った友達が全然音楽に興味がなかったので、CBGBもダコタ・ハウスも写真を撮っただけだったけど、もしバンド仲間とかと行ってたら、中で大冒険ができたかもしれない。

三つ子の魂百まで、ということで、この頃の音楽は初めて聴くものでも魂が震えます。本能的にカッコいいと感じる。あらゆる変わり者や普通の人たちが集ったというマクシズ。店長たちが偽札を作っていたなんてオチもすごすぎます。

ロンドンにしろNYにしろ、昔から普通の服装しかしてない私にとって、最先端の場所は縁遠かった。私みたいなイケてない田舎者は足を踏み入れてはいけないようで。だから今も昔も憧れのまま。今も同じなのかな。アイドルに憧れる人がアイドルになることは、昔より簡単になったと思うけど、それでも手が届かない場所はあるんだろうな。

出演者はアリス・クーパー以外は見ただけで全然わからなかったけど、あの武闘派っぽく見えるのはなんとビリー・アイドルか。ウェイン・カウンティは名前だけは知ってた。ドールズは少し。エリオット・マーフィー、ブロンディやラモーンズは昔も大好きだった。

この映画、しばらくは、自分もこの人たちもジジババだな~と思って見てたけど、じわじわと体の中から十代の自分が起き上がってくるようでした。現役の”推し”を持ってる人たちは、こんな気持ちをいつも持ってるのかな。うらやましいかぎりだ・・・。

追記。「Tiny Desk Concert」という、普通の狭いオフィスの片隅での演奏をPAを通さずに生音のまま流すプロジェクトがあるのですが、今日トム・トム・クラブのこのTiny Desk ConcertがSNSで流れてきたので見てみたら、歌詞にCBGBが出てくるし背景の本棚に「Max’s Kansas City」と書かれたレコードジャケットのようなものが置いてありました。(曲はもちろん「おしゃべり魔女」)トム・トム・クラブは、この映画でも言及されているトーキング・ヘッズのベースのティナとドラムのクリスが作ったバンドなので、今も当時のミュージシャンにとってマクシズやCBGBは大事なんだなーと実感。誰かデイヴィッド・バーンにもインタビューしてみてほしい…。