映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

Hikari監督「レンタル・ファミリー」4059本目

テーマはテレビドラマみたいだけど、話題になってるので見てきました。

じわっときたり、くすっと笑ったりする場面がいくつかあってよかったけど、全体的には、セリフが硬いところがあったり、日本の悪しき習慣からくる過剰反応(何としてもお受験に成功するためのレンタル父にしても偽の不倫相手にしても)がただ悪弊として平べったい描き方をされてたりするところに、愛とか人間味がいまひとつ足りない感じはありました。私も反発を感じるけど、もしかしたらあんな彼らにももう少しは、やむにやまれない事情や背景があったりすることもあるのかな、と。その辺が、ヨクワカラナイ日本人、というひとくくりになっているようで、映画全体の感動が冷笑で薄められているような気がします。

(Xでずっとフォローしている「レンタルなんもしない人」はレンタル・ファミリーの類似業種だと思うんだけど、依頼者の事情の深刻さにはいつも驚いています)

でもブレンダン・フレイザーの情緒あふれる表情や、柄本明や平岳大ののアクの強さ、ゴーマン・シャノン・真陽の演技の深さが、この映画を見る意義を大いに高めていると感じました。

血縁があろうがなかろうが、人と人の結びつきは時間と信頼によってはぐくまれるもので、逆に血縁だけが絆だと考えるほうがファンタジーなんじゃないかという気もしています。家族だから大切にする、のはいいと思うけど、その上にあぐらをかいては何も育たないし、他人でも長年大事にしあっていくうちにますます大事になっていくと思うので、思いと努力と時間を積み重ねていきたいものだと思います。

そういう意味で、”嘘から出た実”ってことで、偽ジャーナリストにはその筆名でハセガワキクオの伝記を本当に書いてほしいなぁと思ったのでした。