映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランク・ダラボン 監督「グリーンマイル」1411本目

1999年制作作品。
3時間もあるけど、必要十分な感じ。最後まで自然にストーリーを持って行ってくれます。
死刑執行が決定した人たちの「グリーンマイル」が舞台という、重そうな怖そうなテーマなのに、人情あふれる刑務官たちのおかげで見ていて辛くありません。どこか昔話みたいに、ゆったりとみられるペース。
安定のトム・ハンクスデイヴィッド・モース の愛嬌のある風貌も、この映画では重要。

多分スティーブン・キングが、「もしイエス・キリストが屈強な黒人だったら?」って考えてここに至ったのかな、と思います。刑務官を主役にしたのも、昔語りをさせたのも、説得力をもたせていると思いました。

グリーンマイル (字幕版)

トッド・ヘインズ監督「キャロル」1412本目

2015年作品。
これは名作、というか、ケイト・ブランシェットのキャリアの頂点になりうる作品になりました。
1950年代に、夫と娘を持ちながら女性を愛して、それを自分の中で肯定して、常に美しく凛としてあろうとした女性。それをこれほど魅力的な人物に演じあげるなんて。彼女が見せたくない弱さや優しさが、目だけにあふれてくる瞬間の表情。

演技ってなんなんでしょうね。与えられた人物像になりきること、というだけじゃなくて、その人物の一番美しいありかたを模索して体現すること、かしら。

ルーニー・マーラの不思議な可愛らしさも素敵だけど、ケイト・ブランシェットが素晴らしすぎました。

キャロル(字幕版)

藤田容介 監督「福福荘の福ちゃん」1413本目

大島美幸、おもしろいなぁ。
紛れもなく女らしい丸みがあるんだけど、語り口はあんまり性別を感じさせないですね。
水川あさみも、率直でいいなぁ。
どこか、軽く突き抜けたような、あったかくてやさしい光みたいなものが感じられます。

インド料理屋のくだりはちょっと、くどい…でもそういうくどい場面はけっこう多いか。ニシキヘビvs下着泥棒も引っ張るし。

脇役で出てくる、やけに存在感のある人々(Special Thanks to的な、友情出演)も面白いです。

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