映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

その他の国の映画(90年代以降)

パウロ・モレッリ 監督「シティ・オブ・メン」3226本目

すごくよく出来てた「シティ・オブ・ゴッド」の続編ということで見てみた。 全然感触が違う。こっちの画面のほうが慣れてる…日常を撮った感じがする。「ゴッド」はおもちゃみたいな公営住宅が舞台だったけど、今度は山腹に沿って建つ違法建築のスラムが舞台…

フェルナンド・メイレレス 監督「シティ・オブ・ゴッド」3225本目

すごく面白かった。悲惨な恵まれない子どもたちの映画…とは描かれてない。スラムの子どもギャングたちがどんな風に世代交代して、どんな風に凶悪化していったかを語るのは、カメラの後ろという傍観者の地位を手に入れたことで生き延びて、抜け出すことができ…

フランシス・リー監督「アンモナイトの目覚め」3220本目

<後半のストーリーに触れています> U-NEXTの”見どころ”に書かれている「ウィンスレットとローナンの体当たりの演技合戦」がセンス悪いなぁ。濡れ場のことを”体当たりの演技”っていう、使い古された常套句。映画を見るのは女優のヌード目当ての男ばかりだと…

デイモン・ガモー 監督「あまくない砂糖の話」3182本目

とうとう初めて、健診の結果コレステロール(LDL)が”要治療”の域に達してしまった。今までは、健診の前にしばらくイカとかステーキとか揚げ物とか食べなければいいんでしょ?くらいしか考えてなかったけど、これはちょっと本気出すしかない…。 私は最近、揚…

ラーフル・ジャイン 監督「人間機械」3174本目

インドの工場労働の実態を撮ったドキュメンタリー。タイトルが気になって見てみました。原題「Machines」には、働いている人間も機械みたいだ、という意図が込められていると思うので、ドキッとするような邦題は実はほぼ直訳かも。 染色工場で働いている人た…

リチャード・スタンリー監督「カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇」3150本目

ちょっと昔の作品かと思ってたけど、まさかの2019年製作。CGバリバリではあるけど、1995年くらいにはもう実現してた感じのエフェクトだしなぁ。(だいいち、ニコラス・ケイジってところが1990年代っぽいし、なぜか全然老けてない) その妻を演じるジョエリー…

ジャファル・パナヒ 監督「人生タクシー」3096本目

映画監督がドキュメンタリーを撮るためにタクシー運転手に扮して町を流す。違法だよな~、けが人が乗ってきたりするしな~、でも、そもそもこの監督は映画製作も出国も禁じられてるというので、もういいやって感じなのかな。 と思ってたけど、これはモキュメ…

マシュー・ハイネマン 監督「ラッカは静かに虐殺されている」3027本目

重たそうなやつも見てみる。U-NEXTに入っているということは、家にTSUTAYAがあるようなものだ。そういえばTSUTAYAから太っ腹な「新作も旧作も5本無料!」っていうハガキが来てた。もう長いことTSUTAYAでレンタルしてないからな…。 「娘は戦場で生まれた」は…

ハニ・アブ・アサド 監督「オマールの壁」3019本目

「パラダイス・ナウ」の監督の作品。あの作品は見る前かなりビクビクしてたけど、恐ろしすぎない演出でした。これもそうだな。ただ、恐怖をあおる演出じゃないとはいえ、若いオマールの巻き込まれ度は「パラダイス・ナウ」にも匹敵します。彼、なんも悪くな…

ハニ・アブ・アサド 監督「パラダイス・ナウ」2979本目

<ネタバレあり> ザイードとハーレドはふつーの、別段志が高いわけでもない若者。彼らはある日「選ばれて」、ジハードという名の特攻へ行かされる。髭を剃られて一張羅みたいなのを着せられて、ちょっとばかりいいご飯を食べさせられて、考えるひまもなく。…

リー・ワネル監督「透明人間」2953本目

「透明人間」と「見えない人間」はちょっと違う。原題のほうが合ってる。だってクラゲは透明だけど見えるでしょ(←ヘリクツはいいから) しかしこの映画、あまり怖くなかった。というか全然怖くなかった。ずっと前から「今度は光学迷彩の透明人間の映画が出…

ステファン・エリオット 監督「プリシラ」2925本目

この作品は、90年代に働いてた会社のゲイの同僚の話に出てきた記憶があります。ドラアグ・クイーンが出てくる映画って意外と何本も見てるけど、この映画はどういうアプローチなんだろう。 ていうかクイーンたち、テレンス・スタンプとヒューゴ・ウィーヴィン…

エチエンヌ・デロジェ監督「鏡」2917本目(KINENOTE未掲載)

タルコフスキーじゃないよ、グザヴィエ・ドランが13歳のときに出演した短編映画。お試し中のU-Nextで見ました。 「マイ・マザー」の頃の彼と比べて明らかに身体が小さいんだけど、表情とか雰囲気は意外と変わらない。もっと中性的かと思ったらすでに男の子だ…

ピレ・アウグスト監督「マンデラの名もなき看守」2913本目

ビレ・アウグストがこういう映画(社会派、っていうの?)も作ってたんだ。 ネルソン・マンデラがらみの映画はいくつか見たけど、管理者側の作品は初めて。もう、人間はいい人と悪い人に分かれるっていう考えは止めるしかないのだ。上に立つ人がいると、恨み…

マウロ・リマ監督「マイ・バッハ 不屈のピアニスト」2892本目

ブラジル映画ってあまり見たことないな、テーマがサッカーなら「なるほど」だけど天才ピアニストが題材だし。ポルトガル語って不思議、スペイン語というより最初なぜかドイツ語かと思った。タイトルのバッハはドイツ人だし。 若い天才が大きな挫折をする映画…

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督「渦 官能の悪夢」2866本目

<ネタバレ?あります> すごく変わった映画だ。もしこれが初めて見るヴィルヌーヴ監督作品だったら、「私はこの監督の今後に期待する」とか感想を書いたんじゃないかな。 デヴィッド・クローネンバーグの映画に出てきそうな、”汚い”しゃべる魚は、何度も、何…

ドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督「静かなる叫び」2847本目

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品。私にとっては「メッセージ」の監督、だな。「複製された男」も変で面白かった。この映画はカナダで作られたフランス語作品。名前から見ても、フランス語圏の人なんだな。この監督の作品はどれも好き。 この作品は、「始まっ…

アルフォンソ・キュアロン監督「ROMA/ローマ」2705本目

いつまで待ってもレンタルされないし、名画座にも降りてこないので、とうとうNetflixに加入しました。キュアロン監督作品、久しぶり。 このローマはメキシコにあるローマという地名なのね。「パリ、テキサス」みたいな。白黒のメキシコ映画というとルイス・…

ブノワ・プショー 監督「グザヴィエ・ドラ バウンド・トゥ・インポッシブル」2685本目

グザヴィエ・ドランは美しくてなんだか特別な子供みたいな不思議な監督であり俳優なのですが、このドキュメンタリーでは彼の現場での様子や、突然脚光を浴びるまでのことが俳優やプロデューサーによって語られます。つかみどころのない人だけど、誰から見て…

セバスティアン・レリオ 監督「グロリアの青春」2681本目

グロリアが通うダンスクラブは、中高年の出会いの場なんだろうか。毎回わりと積極的に男性に声をかけるグロリア。笑顔がチャーミングな初老の女性です。夫や妻と別れたり先立たれたりして独身の人たちって、この年代だとどれくらいいるんだろう。素敵だけど…

グザヴィエ・ドラン監督「マティアス&マキシム」2678本目

この監督の作品はずっと公開すぐに劇場に見に来てるな。 前作の「ジョン・F・ドノヴァン」がなんとなく監督の初期の集大成というか一区切りのように思えていたので、今回は次の時代の始まりのつもりで気楽に見ることができました。 主人公たちは30歳。女は…

ワアド・アルカティーブ 監督「娘は戦場で生まれた」2665本目

ドキュメンタリーのdocumentっていう英単語は動詞だと記録するという意味だ。ただ撮るのが本来のドキュメンタリーだと思うけど、この映画ほどひたすら事実を記録したドキュメンタリーって見たことないです。記録した事実を監督の考えに従って並べ替えたドキ…

J.A.バヨナ 監督「永遠のこどもたち」2601本目

よくできた映画でした。このラテン的情緒、現実と怪奇やファンタジーに垣根がない感じがすごく、なんというか、体質に合うんですよ。 <ネタバレあり> よくあるミステリアスな映画みたいに始まるけど(※私はその手は総じて好き)、坊やの宝探しゲームが「リ…

ミシェル・フランコ 監督「或る終焉」2590本目

<ネタバレあります> どう捉えるか、難しい映画だな。こういう映画は観るものによって解釈が分かれるんだろう。原題は「Chronic」慢性的。邦題は監督の意思と無関係だと思うので、この映画を「Chronic」と名付けた監督の気持ちを推し量ってみよう。 慢性的…

パブロ・トラペロ監督「エル・クラン」2587本目

監督は知らないけど製作にペドロ・アルモドバルが入っています。でもいつもの作品と違ってユーモアなし。 誘拐家族のお父さん怖いです。悪気のかけらも見せないいつもの落ち着いた表情。これは「家業」なのか。家族を巻き込むところがズルい気がするけど、子…

ギラッド・エミリオ・シェンカル 監督「リーディング・ハウス」2562本目

なんだこの映画は?まったく何語かわからないこの言葉は、ヘブライ語?翻訳できる人すごく少なそう…多分英語原稿と一緒に海外配給してるんだろうな。 怪しくて雰囲気があって、なかなか楽しめました。ものすごく特殊なストーリーとか大どんでん返し、とんで…

ウェイン・ブレア監督「ソウルガールズ」2536本目

見終わってひとつうなずく。うん。これは、ゴスペルでキリスト教を広めるように、サファイアズの魅力でアボリジニの現代史を広める映画なんだな。 彼女たちの才能や魅力の輝きを、その後アメリカのショービジネスになんで持って、カーネギーホールに出なかっ…

ルイス・オルテガ 監督「永遠の僕のもの」2489本目

なんとなく、タイトルとDVDビジュアルからフランス語の映画かなという印象を持っていたので、いきなりスペイン語でちょっと面食らった。でも製作ペドロ・アルモドバルだしセシリア・ロスが出てるし、原題は「The Angel」というのを見てなんとなく納得しまし…

RKSS監督「サマー・オブ・84」2488本目

フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセルの3人による「RKSS (Roadkill Superstars)」という最低な名前の映画監督ユニットによる作品。 トラウマ映画として知られているので、おそるおそる見てみましたが、これはじんわりと…

ロン・マン監督「カーマイン・ストリート・ギター」2485本目

カナダ映画となってるけど、舞台はニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにある手作りギター店。この店に1週間張り付いて、ギター制作者リック・ケリーと事務員の母親、見習いのシンディと、店に来る人たちのなりわいを撮影した、シンプルなつくりのドキュメ…