映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

キャロル・リード監督「第三の男」102

1949年作品。「市民ケーン」は1941年作品で、迫りくる戦争を思わせる不穏な空気が感じられましたが、こっちは戦後です。どこか前向きなカラっとした空気のある映画です。 闇取引とか、きらびやかな劇場とか、戦後のどさくさの荒っぽい熱気を感じさせます。 …

鈴木清順監督「ツィゴイネルワイゼン」 101

1980年公開作品。この監督の映画、初めて見ました。 率直にいうと、変な映画でびっくりしました。ケン・ラッセル「白蛇伝説」を思い出しました。けれん味の大御所って感じです。主人公を演じる原田芳雄、その友人を演じる藤田敏八、芸者と貞淑な妻の二役を演…

オーソン・ウェルズ監督「市民ケーン」100

記念すべき100本目は、名高い名作。 1941年公開という旧作ですが、隙のない構成、台本、画面構成等で、技術の未成熟による完成度の低さがまったくありません。だいいち、弱冠30代のはずのオーソン・ウェルズをはじめとした役者さんたちの、老年期のメイクや…

益子昌一監督「さまよう刃」99

2009年作品。東野圭吾作品なので、見た後に胃がムカムカして人間ってホント黒い!って嫌になるようなものを期待(?)してたんだけど、テレビの2時間ドラマくらいの重さしか感じなかったのが意外です。最後の最期にxxとかxxとかが実は黒幕で、みんな踊ら…

山田洋次監督「おとうと」98

2010年作品。夫を早く亡くしたあと、女手一つで娘(蒼井優)を育て上げた薬剤師に、吉永小百合。酒癖が悪く定職につけない弟に、笑福亭鶴瓶。寅さんシリーズ的な展開をみせるストーリーですが、蒼井優の結婚式をぶちこわしにして姿を消した後、彼はがんが全…

ジェームズ・アイヴォリー監督「日の名残り」96

1993年作品。原作はカズオ・イシグロ、長崎で生まれて5歳でイギリスに渡り、この作品でイギリス最高の文学賞「ブッカー賞」を受賞した。現在57歳の現役作家で、この作品は1930年代〜50年代の大戦前後を描いたものだけど、まるで19世紀の作品のようです。イギ…

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督「恐怖の報酬」97

1953年のフランス映画。仏領ベネズエラで一旗揚げようと渡って来たのはいいが、仕事がなく飢え死にするものが続出している。破格の給料でニトログリセリンを積んだトラックの運転手の募集がかかり、数人の男が応募した。途中は悪路の連続で、目的地に到着し…

福田晴一監督「二等兵物語 女と兵隊・蚤と兵隊」95

1955年作品。これもBSで見ました。伴淳三郎が若い。花菱アチャコは私がものごころついたときにはもうあの世の人だったので、なんか伝説の人を見てる感じです。人のよさそうな大男、って印象です。先日見たばかりの渥美清が出てる「拝啓天皇陛下様」と同様に…

ジョン・シュレシンジャー監督「遥か群衆を離れて」94

1967年作品。2時間50分の大作!!Thomas Hardyがこの映画の原作「Far from the madding crowd」を書いたのは1874年。19世紀の酪農家や軍人の世界が舞台なので、これが古い映画なのかなんなのか、見ててよくわかりません。。が、やっぱり画面の色合いとかヒロ…

今村昌平監督「楢山節考」93

1983年作品。ずーっと前からTSUTAYAで予約してて、やっと届きました。 上映当時、坂本スミ子が役作りのために前歯を削ったって話を聞いたのを覚えてるけど、姥捨て山の話だって聞いてたので、とてもじゃないけど見る気がしませんでした。当時の私は受験生だ…