映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨーロッパ映画(90年代以降)

シェーン・メドウズ 監督「ザ・ストーン・ローゼズ メイド・オブ・ストーン」3013本目

こりゃ参ったな。 バンドの解散後やアーティストの死後にファンになって、「彼らが活動してた時代に生まれたかった」って思ったことが何度もある。ストーン・ローゼズは、私が音楽をまだ聴いてた頃、ロッキン・オンをたまに読んでた最後の時代のアーティスト…

セリーヌ・シアマ 監督「燃ゆる女の肖像」3008本目

やっとVODに降りてきた。フランス映画なのね。 先生を取り囲んで、キャンバスに彼女を描いている少女たち。教室の後ろに、暗くて美しい海の絵が見える。…この様式的で端正な美しさ、萩尾望都とかの時代の日本の少女マンガみたいですね。同性どうしで出会って…

サム・レンチ監督「ブラー ニュー・ワールド・タワーズ」3003本目

ブラーを聞いてたのはMTVを契約してた頃だから…「ザ・グレート・エスケープ」の1995年あたりか。そこまでのアルバム全部とグレアムのソロまで持ってた。バンドスコアまで買ってベースラインを練習とかしてた記憶があるんだけど(ベース持ってないのに)、バ…

ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ監督「TOKYO!」2982本目

これ2013年に見てるけど、KINENOTEでは項目が3つに分かれてるほうに感想を書いてました。今回は何となく3本まとまった形で書いてみます。レオス・カラックスは新作を作ってるって噂を聞いた気がするけど、ミシェル・ゴンドリーの作品って全然見てないなぁ。…

ハニ・アブ・アサド 監督「パラダイス・ナウ」2979本目

<ネタバレあり> ザイードとハーレドはふつーの、別段志が高いわけでもない若者。彼らはある日「選ばれて」、ジハードという名の特攻へ行かされる。髭を剃られて一張羅みたいなのを着せられて、ちょっとばかりいいご飯を食べさせられて、考えるひまもなく。…

ヴァーツラフ・マルホウル 監督「異端の鳥」2975本目

ものすごく構えて見たからか、怖くはなかった。怖そうで映画館には行けなかったけど、行っても大丈夫だったかもしれない。残酷シーンは、最近のスプラッターなホラー映画と違って、露悪的じゃなく、むしろ抑えてる。血の色が見えない白黒映画だし、切り落と…

ベルナルド・ベルトルッチ監督「孤独な天使たち」2965本目

ベルトルッチ監督最後の作品。2013年。 感触は、巨匠の晩年の作品っていうより、ヨーロッパの気鋭の社会派新人監督の作品みたい。たった1週間のあいだに、目に見えるほど少年が成長するわけではないけど、「友だち」じゃない「きょうだい」との出会いで彼は…

ジェームズ・アイヴォリー監督「ハワーズ・エンド」2958本目

これなぁ、大学のゼミでやったやつ。公開当時にロンドンで見て、けっこうイメージ通りだった気がするけど、あまりに遠い昔なので久しぶりに見直してみます。(押入れの奥で発見した当時の駐在レポートによると92年5月21日にロンドンのCurzon Cinemaというと…

ペトリ・ルーッカイネン 監督「365日のシンプル・ライフ」2947本目

裸(文字通り)からのスタートで、倉庫から1日1個だけ物を出してくる、という生活を極寒の地ヘルシンキで丸1年間やるなんて、体中けむくじゃらの動物でもなければ無理でしょう!でもこれドキュメンタリーですね。実際やったんですね。 私は「何も持たない生…

ヴィム・ヴェンダース監督「時の翼にのって ファラウェイ・ソー・クロース!」2943本目

名作 「ベルリン・天使の詩」の”続編”があったんだ。感想を書いてる人たちの評価が軒並み低い。みんな、もっとしんみりしたかったのに、監督が笑いに振ってきたから? 地上に降りたダミエル(ブルーノ・ガンツ)は「フニクリフニクラ」など大声で楽しそうに…

レミー・ベルヴォー/アンドレ・ボンゼル/ブノワ・ポールヴールド監督「ありふれた事件」 2941本目

万引きくらいのノリで殺人を繰り返す殺人犯の密着ドキュメンタリーを撮ろうと撮影クルーが常に同行している。殺人犯は常に普通に朗らかで、カメラに向かって偉そうにいつも自説をぶっている。これは1992年の作品だけど、今ならきっと殺人を投稿するYouTuber…

ジュリアン・テンプル監督「LONDON CALLING ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー」2931本目

私はピストルズとかダムドみたいな頭の悪そうなパンク・ロッカーが好きだったので、政治色の強いクラッシュは「へん!」だったのですが、フジロック第一回(1997年開催)を聴きに来日して、2日目が台風で中止になったら富士急ハイランドでジェットコースターに…

トーマス・アルフレッドソン 監督「ぼくのエリ 200歳の少女」2929本目

バンパイアといえば最近「ポーの一族」づいてて、マンガを通しで読んだり宝塚の舞台のBlu-rayまで見たりしてますが、これもまたその一つ。プラチナブロンドの真っ白な子ども、雪のなかの水色の車…北欧らしい映像の世界。この子がバンパイアかと思ったらこっ…

サーラ・カンテル監督「オンネリとアンネリとひみつのさくせん」2923本目

オンネリとアンネリはもう、アメリカの学園ドラマ(ハンナ・モンタナみたいな)とかに出るようなギャルに育ちあがっています。ファッションももう「お揃い」じゃなくてそれぞれの個性を出しています。…これもいいけどやっぱり、可愛さでは「ふゆ」のドレスみ…

サーラ・カンテル監督「オンネリとアンネリのふゆ」2922本目

サンタの国フィンランドだもんなぁ、クリスマスの飾りが実る草も育ててたし、やっぱり冬は避けられません。(私がわずか2泊でヘルシンキに行ったのは年末年始で、あまりの日の短かさに失敗したと思ったけど、この映画で若干救われたような) オンネリとアン…

サーラ・カンテル監督「オンネリとアンネリのおうち」2921本目

あまりに可愛いのでいつか見ようと思ってた作品がU-Nextにあったので、見てみます。まだ無料期間。(ちょっと申し訳なくなってきた) 私は中年とはいえ小さい女の子だった経験があるので、彼女たちの世界は時間だけさかのぼれば思い出せるけど、(当たり前だ…

ピレ・アウグスト監督「マンデラの名もなき看守」2913本目

ビレ・アウグストがこういう映画(社会派、っていうの?)も作ってたんだ。 ネルソン・マンデラがらみの映画はいくつか見たけど、管理者側の作品は初めて。もう、人間はいい人と悪い人に分かれるっていう考えは止めるしかないのだ。上に立つ人がいると、恨み…

バーナード・ローズ 監督「パガニーニ 愛と狂気のバイオリニスト」2902本目

クラシックには全くうといのでパガニーニのことも知りませんでしたが、彼を演じ、演奏もしたバイオリニストのデイヴィッド・ギャレットってすごく魅力的ですね。実際は知らないけど、繊細で(女好きっぽくて)破滅的な雰囲気があって。アルマーニとかがショ…

ギャスパー・ノエ監督「CLIMAX クライマックス」2885本目

ギャスパー・ノエ監督の作品を見るのは緊張する。 心の準備をするために、先に他の方々のレビューを全部読む。 みなさん書かれているように、ダンスシーンは本当に素敵。どうやったらこんな風に身体を動くんだろ、でも動くだけじゃなくて体の中に何かすごい…

トム・ティクヴァ監督「ヘヴン」2877本目

<ネタバレあり> 故クシシュトフ・キェシロフスキ監督が映画化を望んでいた三部作のうち、唯一脚本が書かれていたのがこの作品だそうです。トム・ティクヴァは個性的な監督だし、ケイト・ブランシェットは素晴らしい女優なので楽しみ。 「地獄」篇をダニス…

クロード・シャブロル 監督「甘い罠」2864本目

ユペールせんぱいの、またひとつの怖い映画。でもあんまり怖くはなかったな。いつものように「悪い」けど。この映画は出生のミステリーというより、気に入らないものを抹殺し続ける強い悪女のドラマでした。 「私は悪に長けてるの」と、表面は善をよそおって…

ドメ・カルコスキ 監督「トム・オブ・フィンランド」2855本目

2016年末にフィンランドに行ったとき、スーパーでムキムキな男性の絵がついた「トム・オブ・フィンランド」のコーヒー豆を売ってて、何だろうと思いつつお土産に買って、帰ってからググったら、実在したゲイ・アートのイラストレーターでした。映画はその直…

パスカル・トマ 監督「奥さまは名探偵 パディントン発4時50分」2854本目

クリスティの「親指のうずき」を原作とした前作につづいて、同じ探偵がまた新しい事件に巻き込まれます。こちらも普通~~の奥さんが、どこにでもあるフランスの村に出かけていきます。(フランスにパディントン駅はないんじゃないかと思うが) そして今回も…

クロード・ルルーシュ監督「しあわせ」2853本目

原題はたぶん「偶然と必然」クロード・ルルーシュ監督は人間愛あふれてる作品を作る人だから、これもそういう作品に違いない。私の中では、ジャック・タチとかアラン・レネとかミシェル・ゴンドリーとか、美しく楽しいことや愛し合うことを好む、やさしいフ…

ダニス・タノヴィッチ 監督「美しき運命の傷痕」2850本目

<ネタバレ、なくはない> 美しい一貫した”世界観”に惹かれて、わけがわからないまま見入ってしまいました。 最後まで見ればストーリーはちゃんとわかります。でも、「再生する姿を描いた」という解説には宣伝向けのウソがあって、本当はこの映画は「地獄」…

パスカル・トマ監督「アガサ・クリスティ―の奥さまは名探偵」2837本目

これもフランス映画。フランスでクリスティブームがあったんだろうか。フランス語の語感、フレンチな雰囲気って、軽いようで皮肉っぽくてスタイリッシュで(普段あまり見てないからかもしれないけど)まだまだ新鮮に感じます。原作はKINENOTEには書かれてな…

パスカル・ボニゼール 監督「華麗なるアリバイ」2836本目

ひとりアガサ・クリスティ特集はつづく。 これはフランスで作られた、という点が異色で、いろんな面がいかにもフランスらしくて良いですね。 色男ランベール・ウィルソンは先日「9人の翻訳家」を密室に閉じ込めた出版社の人だ。確かに、女なら誰でもふらっと…

ケン・ローチ監督「SWEET SIXTEEN」2827本目

これもやっと借りられた。みんなスコットランドなまりがキツ過ぎて聞き取れないや。言葉だけじゃなくて、あまりにローカルなコミュニティの中の日々なので、普遍化して自分にも関係があると思うのが難しい。多分、九州の田舎からイギリスの田舎町に留学して…

リューベン・オストルンド 監督「ザ・スクエア 思いやりの聖域」2824本目

「フレンチアルプスで起きたこと」の流れで見てみます。これパルムドール取ったんですね、きっとこっちの作品の方が有名なんだろうな。 「フレンチアルプス」と同様、気弱なところのある男がまんまとバツの悪い状況に陥る、というパターンが繰り返されます。…

アッバス・キアロスタミ監督「トスカーナの贋作」2800本目

イランの巨匠、アッバス・キアロスタミ監督の割と新しい2010年の作品。 原題は「Certified copy」、一部しか作らない重要文書とかをコピーして「Certified copy」の印を押すと、原本と同じというお墨付きが付いた複製物のことです。贋作というのは本物である…