映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デヴィッド・O・ラッセル 監督「世界にひとつのロマンティック」2408本目

「世界にひとつのプレイブック」にひっかけた邦題だなーと思ったら、監督が同じなんですね。同じ監督なら許されるか…。しかしこっちは、すっとぼけたコメディで、頭に誤って釘を打たれてしまったアリス(ジェシカ・ビール)は終始、茫然としたような表情なの…

マジッド・マシディ監督「運動靴と赤い金魚」2407本目

イランの映画。いろんな顔、いろんな肌色の子がいるね。白人っぽい子もいれば、肌が浅黒い子もいる。みんな無邪気。 靴を買うお金にも困っている家庭で、お兄ちゃんがちょっと目を離した隙に妹の靴を失くしてしまう。家にほかにスリッパくらいしかない。親に…

ジョン・フォード監督「捜索者」2406本目

ジョン・フォードが監督で、ジョン・ウェインが主役で、アメリカのモニュメント・バレーで撮影されたとなると典型的な西部劇ってやつですねきっと。そして、唐突に何の脈絡も必然性もなく、女子供ばかりが立てこもっている家を焼き討ちにして、逃げようとし…

川島雄三監督「愛のお荷物」2405本目

子どもは神様からの授かりものではないのか、この映画では徹頭徹尾“お荷物”扱いで、妊娠した女性は「申し訳ありません!」と父となる男やたちに謝り続ける。逆だろ!時代が違う映画を見るときはわりと寛容なほうだと思っていたけど、これはなんとも。 といっ…

シドニー・ルメット監督「その土曜日、7時58分」2404本目

(ほぼネタバレあり) 在りし日のフィリップ・シーモア・ホフマン、今よりちょっと若いイーサン・ホーク。兄のアンディ(ホフマン)が弟のハンク(ホーク)に宝石店強盗を持ちかける。もちろん普通の素人。なんか痛い、いやな予感がします。サングラスと付け…

ペドロ・アルモドバル監督「ハイヒール」2403本目

やっぱりアルモドバル監督の作品は面白いなぁ。 必ず「えっ」というようなヒネリが入るんですよね。何本見ても予想できず、毎回驚かされる。そして必ず、とても大きな愛に包まれる。ラテン的な愛憎が新鮮。普通の日本人の私は、いつも誰かの愛情をちょっぴり…

マイク・ニューウェル監督「コレラの時代の愛」2402本目

美麗なタイトル。こういうところに凝ってる映画って好きです。イラストはそこだけだけど、力の入った作品だと伝わってきます。 この映画は、一人の無垢な少女に一目ぼれして、その後一生愛しつづけた男の話。原作はガルシア・マルケスで、舞台は彼が若いころ…

ヘニング・カールセン 監督「わが悲しき娼婦たちの思い出」2401本目

ガルシア・マルケス原作ということで探して見つけた作品。KINENOTEで一人も感想を書いていないどころか、見た人もいないなんて!日本未公開作品とはいえ、宣伝とかしなかったんだろうか。 これはノーベル賞作家の遺作だそうで、90歳のコラムニストが誕生日の…

ウィリアム・ワイラー監督「探偵物語」2400本目

<ネタバレあり> 1951年という大昔の作品だけど、冒頭のニューヨークの摩天楼を高い位置から写した映像がじつに美しい。都会って生き生きしていて明るいのね、と思ってしまいます。 しかし地上では車をほかの車にぶつけて強引に駐車する、太った柄の悪い男…

ジャック・イヴ・クーストー &ルイ・マル監督「沈黙の世界」2399本目

深海探索のドキュメンタリー映画です。なんでルイ・マル?ジャケット写真ほど映像がキレイではない、深海の実態を淡々と撮影して報道するかんじの映画でした。1956年だから、全編天然色の深海映像を撮っただけでもすごいと思うけど、2020年の私はほとんど潜…

荒井晴彦 監督「火口のふたり」2398本目

この映画のことはほとんど知らなかったので、キネマ旬報ベストテン1位と聞いて「なんだっけ?」と思ってしまったのですが、見たらじつにしみじみーといい映画でした。地味だし「エロス」に分類されるのは事実なので、下手すると埋もれてしまいそうなこの映…

森達也監督「i 新聞記者ドキュメント」2397本目

2月5日、発売と同時に「ベストテン表彰式」招待券つきのキネマ旬報最新号を購入して上映会で見てきました!今年の「文化映画」1位で、日本映画全体の中でも審査員がかなり投票していた作品です。 森監督の作品はたくさん見てると思い込んでいたけど、実は「…

デクスター・フレッチャー 監督「ロケットマン」2396本目

ロケットマン、冒頭に飾り立てたエルトンが“反省会”で告白をしている図がちょっとやりすぎ?と思ってしまったけど、すぐに慣れて、そんな過剰さが彼らしさ、つまり、弱さと美しさなんだなと思うようになりました。 天才が幸せになるのはすごく、すごく、難し…

ウェス・オーショスキー 監督「地獄に堕ちた野郎ども」2395本目

「地獄に堕ちた勇者ども」(ルキノ・ヴィスコンティ)を見た流れでこれもレンタル。 ダムドって70年代のロンドン・パンクバンドの一つなので、当時のドキュメンタリーかと思ったら、じじぃになってもまだやってる彼らの貫禄たっぷりな姿と、「ダムド?よく知…

テンギズ・アブラゼ 監督「懺悔」2394本目

<ネタバレあり> 「ざくろの色」や「不思議惑星キンザザ」を見て以来、グルジア→ジョージアという国が気になって仕方ありません。この映画は予告編が奇天烈すぎて(何回埋めても出てくる遺体)、期待で胸がいっぱいです。 ジョージアの素朴で生活感のある風…

ナディーン・ラバキー 監督「存在のない子供たち」2393本目

辛い映画だったなぁ。かわいそう、かわいそう、と口から出そうになるのを抑えながら見ました。難民の貧困や苦難は日本でも大きな問題だけど、貧富の差の開きが問題になっているレバノンの、これが実態だとしたら本当に切ないです。貧富の「貧」がこの映画の…

フアン・ホセ・カンパネラ監督「瞳の奥の秘密」2392本目

<ネタバレちょっとあるかも> 見終わってから英語のタイトルを見たら、複数形だったのでちょっと驚いた。奥に秘密を秘めた瞳は一人のじゃなくて複数の人たちのだった。25年前に妻を破壊されて失ったモラレスも、25年間の事件を追いつつずっと一人の人を愛し…

ポール・ハギス監督「クラッシュ」2391本目 

2004年にアカデミー最優秀作品賞を受賞した作品。なるほどなぁ。バラク・オバマが大統領になる2009年に向けて、アメリカが強めていった正しい人種問題の意識をこの時期のアカデミー賞に反映した感じがします。いまだ明確な解決は見られないけど、国じゅうの…

ルイス・ブニュエル監督「自由の幻想」2390本目

やけに好きなルイス・ブニュエルの作品を、また見られて嬉しい。舞台はスペインなのにフランス映画。 なんか色々おふざけが多いな。彼の作品にはカトリックの問題点に触れるものも多いけど、この映画ではおちょくってますね。この前に作られた「ブルジョワジ…

クロード・ルルーシュ監督「男と女 人生最良の日々」2389本目

原題は単に「人生最良の日々」なんですね、知らない人はいない「男と女」の第三編。ジャンルイ・トランティニャンを「愛、アムール」で知った私としては、「うっわ老けたな!」ということもなく、美老人のように装ったらどんな感じだろうとずっと思ってまし…

マキノ雅弘監督「次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊」2388本目

マキノ雅弘監督作品をほとんど見てないのは、やくざ映画が多いからかな…。 この映画が作られたのは1954年。時代劇全盛期じゃないですか?この頃の日本映画って、みんなすごく早口で口八丁手八丁の人たちが人気者で、こんなに回転が速いのに世の中には理不尽…

ライアン・ジョンソン 監督「ナイブズ・アウト」2387本目

面白かった! 前評判(前宣伝?)が良すぎて期待しすぎたかな?前情報ゼロで見るのがベストだし、私みたいにさまざまなミステリー映画を見すぎて、アガサ・クリスティも読みすぎてて、うがった見方とか深読みしかできない者はなるべく素直な気持ちで見たほう…

ボー・バーナム監督「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」2386本目

もう、痛くて痛くて大変。数十年前の自分を見ているようで。でも、この子はもっと素直で優しいので、痛いのはもっと小難しくてわだかまってた面倒くさい昔の私のほうだな…。こんなに可愛い子でも、ちょうどこのくらいの年齢、はじける前のわだかまり世代には…

キウェテル・イジョフォー 監督「風をつかまえた少年」2385本目

いい映画でしたねー。なにしろ実話ですから。といっても本人のTED映像では最初は風力発電で家電を使えるようにして、その後太陽光発電で灌漑できるようにした、とか、姉妹が大勢いたか、フィクションの部分もあります。 マラウイという国は名前を聞いてもわ…

ジェームズ・アイヴォリー 監督「最終目的地」2384本目

シャーロット・ゲンズブールにアンソニー・ホプキンスに真田広之で、舞台はウルグアイとは、あまりにインターナショナル色が強いし個性がばらばらで…、何このキャスティング?作家の妻も主役の伝記作家も、全員集合しても接点がありそうな、カップルになれそ…

ラッセ・ハルストレム 監督「セイフ ヘイヴン」2383本目

何かから逃れて小さな町にたどり着いたケイティを演じるのはジュリアン・ハフ。「ロック・オブ・エイジズ」の彼女と同一人物といっていい設定なので「また会ったね」感が強いです。一方のアレックスを演じるジョシュ・デュアメルは記録を辿っても見た記録が…

川島雄三監督「女は二度生まれる」2382本目

面白いなぁ、川島監督の映画は。 若尾文子演じる芸者は、純真なのか悪いのかよくわからない女です。泥棒の家に生まれて泥棒になってしまった子供みたいに、芸者の家に入れてもらって芸者になったという。 こんなふうに「女は二度生まれる」のか。令和2年の…

フランソワ・トリュフォー監督「終電車」2381本目

ナチスが台頭していた時代のパリの劇場が舞台で、主演はカトリーヌ・ドヌーヴとジェラール・ドパルデュー。フランス映画もそこそこ見てきたと思うけど、この二人が共演してるのって珍しいですね。二人ともさまざまな作品に多数出てるのに、ジャンルが違うの…

川島雄三監督「しとやかな獣」2380本目

監督は川島雄三で脚本は新藤兼人。主演は若尾文子です。1962年公開、ひとつの黄金時代だなぁ。 悪~い家族の父は伊藤雄之助、母は山岡久乃(なんてうまいんでしょう)、息子は川畑愛光、娘は浜田ゆう子。だけど息子の横領について問いただしに来た芸能事務所…

テリー・ジョーンズ監督「ライフ・オブ・ブライアン」2379本目

追悼、テリー・ジョーンズ。 大好きなモンティ・パイソンの中で、テリー・ジョーンズといえば、キーキーうるさいおばちゃん役、あと「Nobody expects the Spanish Inquisition!」の三人組。ひょうひょうとしたキャラクターが多い中で、彼はいつも濃いという…