映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ルキノ・ヴィスコンティ 監督「白夜」2643本目

「100分で名著」の講師やプロデューサーが名著について語るというNHK学園のセミナーに行ったとき、沼野先生か島田雅彦のどっちかがこの原作を推してたので読んだのだ。マストロヤンニはロマンチストなだけで。映画化したのがヴィスコンティでイタリア映画、…

ルカ・グァダニーノ 監督「サスペリア」2642本目

<ネタバレあり> Amazonスタジオが豊富な資金で制作した作品。アメリカのドラマみたいに、かなり刺激的。モヤモヤもいっぱい残るけど、面白かったです。 ダコタ・ジョンソンが主役というのが面白いですね、彼女は「フィフティ・シェイズ」シリーズでは運命…

クシシュトフ・キェシロフスキ 監督「ふたりのベロニカ」2641本目

トリコロール三部作を見終わって、はかなげで優しい女神的なイレーネ・ジャコブをもっと見てみます。「赤の愛」とも違う不思議な女性(たち)です。 ストーリーを追うのは難しいわかりにくい映画なんだけど、こういう作品は心の目で見よう。原題は「ふたりの…

クシシュトフ・キェシロフスキ 監督「トリコロール 赤の愛」2640本目

青、白、と見たのでこれもまた見ました。イレーヌ・ジャコブすごく可愛いけど、青・白の二人の女性の強さを見せつけられた後だと頼りない気もする。(私もこんな頼りない女性だったはずなのに、ヨーロッパの映画ばかり見てると強いのが普通って感覚になって…

クシシュトフ・キェシロフスキ監督「トリコロール 白の愛」2639本目

「白」でフィーチャーされてるジュリー・デルビーは「ビフォア・サンライズ」シリーズでイーサン・ホークと出会って恋に落ちるフランス女性だ。シリーズ最初の作品がこの映画の翌年なので、監督はこの映画で彼女を見初めたのかな。 冒頭の裁判の場面は、「青…

クシシュトフ・キェシロフスキ監督「トリコロール 青の愛」2638本目

Amazonから毎月390円引かれてるのはなんでだろう?と思ったら「シネフィルWOWOW」に加入してた!ということで、しばらくそこで見られる映画を立て続けに見てみます。まず、見そびれていたトリコロールシリーズの青と白から。 青のヒロインはジュリエット・ビ…

黒崎博監督「火の魚」2637本目

冒頭で離島の連絡船に乗り込むのは室田日出男…えっ違うの?とボケをかまさずにいられないくらい室田日出男似の、原田芳雄。尺は劇場用映画にあるまじき54分間。(もともとNHKのTVドラマだから)監督はNHK職員の黒崎博。その後「セカンドバージン」も映画にな…

ダン・フォーゲルマン 監督「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」2636本目

この映画は、4世代にわたって脈々と連なる家系図を行ったり来たりしつつ、ぶつっと切れてしまうところもあるけど、ちゃんとつながっているよという暖かい生の物語でした。タイトルを直訳すると「人生そのもの」というより「生命」という感じかな。 監督のダ…

ジョン・カサヴェテス監督「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」2635本目

ジョン・カサヴェテスって、名前がギリシャ神話みたいなのに典型的なアメリカ的アメリカ人を描かせたら天下一なんだよなぁ。今じゃなくて1980年代くらいの。私が初めての海外旅行で行ったニューヨークで、ホテルを抜け出してドキドキしながら入ったデリカテ…

フアン・アントニオ・バヨナ 監督「怪物はささやく」2634本目

フルネームで呼ばれる主人公、コナー・オマリー。「ドニー・ダーコ」を思い出すな。呼びやすい名前の、さいなまれている少年。ルイス・マグドゥーガルくん、素晴らしい演技力ですね。この少年の暗さもズルさも愛も憎しみも自分のものにしている。 怪物の正体…

アレックス・インファセッリ 監督「キューブリックに愛された男」2633本目

キューブリック監督の運転手兼パーソナル・アシスタントを30年も務めたイタリア人、エミリオ・ダレッサンドロに取材し、その手記をドキュメンタリー化したもの。 彼は在職中、なんと一度も映画を見たことはなかったのですって。将軍に使える忠実な家臣みたい…

バスター・キートン監督「キートンのセブン・チャンス(キートンの栃麺棒)」2632本目

わずか56分のサイレント映画。 公開時の日本のタイトルにある「栃麺棒」というのはおっちょこちょいという意味らしい。1925年の映画なので、自動車はいわゆるクラシックカーだし、黒人の召使がふつうに家にいます。女性たちは深い帽子を被ってアール・デコ風…

キャシー・アン監督「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」2631本目

メイキング映像を先に見てしまったんだけど、勢いのある女子だらけのすごい現場ですね。こんなカラフルな映画製作ってまず他ではないので、それだけで面白そう。 このテンションと色彩はちょっと中年の私にはtoo muchかな~。特にハーレイ・クインちゃんの顔…

ジャック・アーノルド監督「大アマゾンの半魚人」2630本目

ピーター・ローレの「Mr.モト」シリーズみたいな、一度も行ったことのない密林を妄想して作られたエキゾチックな映画かと期待していたら、心身ともに健康のかたまりのようなアメリカ人の若者たちがアマゾン探検に出かける、極めて健全でかなりリアリスティッ…

ライナー・ホルツェマー監督「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」2629本目

先日アレキサンダー・マックイーンのドキュメンタリーを見ましたが、こちらも才気あふれる美の巧者。マックイーンがどこか悪魔的で死や不穏を感じさせる作品を作り続けたのに対して、ヴァン・ノッテンの服は「着て出かけられる服」といいます。お値段やデザ…

トム・ティクヴァ監督「パフューム ある人殺しの物語」2628本目

<ネタバレあり> トム・ティクヴァといえばクラウド・アトラスだ。で、ベン・ウィショーだ。クラウド・アトラスかなり好きなんだけど、構成がイントレラブル系なので難しかった。その中でもベン・ウィショーは印象に残ってる。007のQもそうだ。彼には昆虫系…

グザヴィエ・ドラン監督「マイ・マザー」2627本目

ドラン監督の監督作品は最新作も含めて全部見たんだけど、ここで改めてこれを見直したくなりました。この母親、強烈だなぁ。ヒョウ柄のコートを着た関西のオバちゃんみたいな可愛いもんだ…と思えればいいけど、やっぱり重いな。私だって、こんなくだらない言…

ジャ・ジャンク―監督「帰れない二人」2626本目

<ネタバレあり、かな> 監督の妻であるチャオ・タオが主役の、大河ドラマみたいにすごく長い時間の変遷を描いた映画をもう何回も見た気がします。彼女は今日も、ロクデナシに入れ込んで罪をかぶり、5年も服役した後で迎えにも来ない男を探して広大な中国を…

ミシェル・フランコ 監督「母という名の女」2625本目

<ネタバレあります> 原題は「アブリルの娘たち」。アブリルの二人の娘がこの映画に出てきますが、17歳の娘が産んだ赤ちゃんも自分の子どものように育てていくという設定。 50代ながらまだセクシーで美しい母が、娘の男にまで手を出したり…という胸くそ悪い…

エドワード・ヤン監督「台北ストーリー」2624本目

なんか、暗いね。雰囲気も画面も。1985年の台北。 若き日のホウ・シャオシェンが主演しています。東京はバブルで、台湾から来た人は髪型やファッションで外国の人だとすぐにわかった時代。今は東京もソウルも台北みんな同じだけど。音楽も戦後の演歌みたいな…

ホウ・シャオシェン監督「恋恋風塵」2623本目

幼なじみとの初恋は、風の前の塵のように消えてしまいました… 台湾映画って、昔の日本のような風景や人物たちの素朴さですでに60点は確保してるんじゃないだろうか。あまりによくある、さりげない、何もない若者たちのはかない恋。 少女アフンがどんどん綺麗…

ショーン・S・カニンガム 監督「13日の金曜日」2622本目

<ネタバレあります> 友人のInstagramで知ったピーター・ドイグというイギリスの画家の展覧会を見に行ってきたんだけど、彼の作品の中にこの映画のラストシーンをモチーフにした油絵が何枚かあるのだ。巨大な名画でモチーフがホラー映画ってそんなのあるの…

イザベル・コイシェ監督「ナイト・トーキョー・デイ」2621本目

「女体盛り」という大人の男たちの遊びがあると何かで見たことはあるけど、本当にやってた人ってどれくらいいるんだろう。私が最初に就職した会社では、海外出張のときに取引先(同じ日本人)を”男たちの遊び場”で接待するから、お前はここで帰れと言われた。…

イザベル・コイシェ監督「マイ・ブックショップ」2621本目

<ネタバレというか結末について触れています> 英国的な、地味な登場人物たち。華がないというか…長年、北風にさらされて下を向いて土を耕してきたような質実剛健の美しさを持つ人たちです。この映画は、そうやって地道に努力する人が権力者に踏みにじられ…

塚本連平監督「今日も嫌がらせ弁当」2620本目

先日行ってきたんです、八丈島。コロナが落ち着いた隙間を縫って、使いみちのなくなりそうなマイルを使って、東京から一番手軽に行ける離島へ。することもないのでホテルに置いてあった「流されて八丈島(八丈島に移住したマンガ家の体験記)」 を読破し、こ…

アマンダ・ステール監督「マダムのおかしな晩餐会」2619本目

<ネタバレあり> 舞台はフランスの映画だけど、アメリカ人夫婦の物語で、言語は英語なのね。なんと、英語をしゃべるロッシ・デ・パルマの恋の物語です。この人いい歳の取り方してるな。軽妙さが落ち着いて、安心して見ていられる。 原題は「Madame」なので…

ビリー・ワイルダー監督「翼よ!あれが巴里の灯だ」2618本目

1956年の作品。ニューヨーク・パリ間の無着陸飛行が実現されたのが1927年だそうな。そのくらい飛べないと欧米間の空軍による対戦はできないし、アメリカが日本を空から攻撃することもできなかったわけだ。 しかし軍用機は小さくて軽いけど旅客機は重いので、…

イアン・ボノート 監督「マックイーン:モードの反逆児」2617本目

ファッションは、「ファッション通信」を録画して見るくらい好きなんだけど、最先端のモードは私にとっては美術館で見るアートであって、自分で所有したり着たりするものじゃない。自分は清潔でサイズが合ったユニクロを着ていればいい。という存在だったの…

宇崎竜童監督「魚からダイオキシン‼」2616本目

音声レベルが低い映画って聞き取れなくてきらい・・・羽田空港からの飛行ルートが変わって以来、真下近くになってしまった自宅では映画の音が今までにも増して聞き取りづらくなってしまいました。他の人の感想を見ると、それほど真剣に聞き取らなくてもいい…

ケン・スコット監督「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」2615本目

タイトル長い! DVDに入ってる宣伝映像が全部インド映画なのを見て初めて、これがインド映画だと気付きました。インド人 in Paris(笑)。彼がイギリスの入管で捕まって、ミュージカルめいたものを歌いだす役人に戸惑う絵とか、イタリアのディスコで唐突にボ…