映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ルーベン・マムーリアン監督「今晩は愛して頂戴ナ」230本目

1932年作品。もう「頂戴ナ」と漢字+カタカナで来られただけで借りちゃいますよ。 そういうのが粋だった時代っていえば、日本では東京ブギウギな感じでしょうか?(それは1947年らしい、ちなみに)ヨーロッパの昔ながらの街角、みたいな状景から映画は始まり…

パク・チャヌク監督「JSA」229本目

2000年韓国作品。JSA、それは南北の境目、板門店を中心とした「Joint Security Area」。私が去年韓国ツアーに行ったときに近づいたDMZ=DeMilitarized Zone よりも北にある、世界で一番緊迫した区域のひとつ。その現実を見せつけられるだけで、平和ボケした私…

クロード・オータン=ララ監督「肉体の悪魔」228本目

ひとり“ジェラール・フィリップ映画祭”、第二弾。1947年作品。ごめん・・・このタイトルを見て、「エロス系」の映画だと思ってた。実際のストーリーは、第一次大戦中、ある繊細かつ大胆な美少年が、婚約者が出征中の年上(どのくらい?)の女性に一目ぼれし…

ルネ・クレール監督「悪魔の美しさ」227本目

1949年作品。ひとり“ジェラール・フィリップ映画祭”開催中。 テレビで「花咲ける騎士道」を見てあまりの美しさに驚いて、その後手に入れば見るようにしてます。この映画は原作が「ファウスト」、老いた研究者ファウストがメフィストフェレスに端子いの取引を…

オリバー・ストーン監督「JFK」226本目

1991年作品。もうそんなにたったんだ。3時間もあるのにすごい詰め込みっぷりで、これは本当は90分×5回くらいのTVドキュメンタリーとして作るのが中身には合ってたのかな、と思う。でも劇場公開する映画をケビン・コスナー主演で作ることでしかリーチできない…

行定勲監督「世界の中心で、愛をさけぶ」225本目

2004年作品なのですね。今更この映画を見るにあたって、若干、あまったるい先入観を持ってしまっていたけど、なかなかよくできた映画だと思いました。これは、特別ロマンチックな恋愛を描いたのでもなく、愛する人を亡くす悲しみを描いたのでもなく、誰にで…

クァク・ジェヨン「僕の彼女を紹介します」224本目

2004年韓国作品。面白かったですよ。エンターテイメント作品として、ドラマチックでありえない展開や、主役の魅力で見せる部分が大きいのは当然だけど、人の心の動きを丁寧に描いてるので、説得力があります。そして、韓国の映画の作り方にもますます興味が…

クァク・キョンテク監督「友へ チング」223本目

2001年作品。近々プサンに旅行しようと思ってるので、その記念に見てみました。韓国のプサンで生まれ育った幼なじみの少年たち4人。高校で再会したとき、みんなで他の高校のやつらと戦った。その後ばらばらになって、大学に入って留学したり、ヤクザの親を継…

荻上直子監督「トイレット」222本目

2010年の日本?映画。もたいまさこ演じる、日本人のばーちゃんが、英語しかしゃべれないクオーターの男二人、女一人の兄弟で暮らすことになります。ふつーのアメリカ人家庭に(本当はカナダらしい)、地蔵かなにかのように違和感たっぷりにいる、もたいまさこ…

エドマンド・グールディング監督「グランド・ホテル」221本目

ハリウッド映画、1932年作品。昭和でいうと7年ですか。マレーネ・ディートリッヒと並んで、いつか映画を見てみたいと思っていたグレタ・ガルボの出演作品です!超一流ホテル「グランド・ホテル」に居合わせた、傾いた会社の社長、ちょっと落ち目の美人ダン…

富永まい監督「食堂かたつむり」220本目

何みたいって比喩をすればいいのかな。 子ども用の絵本ではない。少女マンガとも違う・・・ファッション雑誌・・・いやルミネのCMみたい、な映画でした。田舎ではなくカントリー。リアリティよりふわふわ感重視。優しく、柔らかく、都会のオフィスで激務や…

マイケル・カコヤニス監督「その男ゾルバ」219本目

1964年、英・米・ギリシャ制作。これは面白い。テンポがよくて、生きてるっていいね、と思える映画です。 紳士的だけどおとなしいイギリス人男性がギリシャにやってきて、ゾルバという人懐こい男に出会う。このゾルバってのが、心のままに女を愛し、酒をくら…

ダーレン・アロノフスキー監督「ブラック・スワン」218本目

2010年のアメリカ映画。 ロイヤルバレエ団とか出てきますが、アメリカ映画。ナタリー・ポートマンのポスターが印象的な、あれです。・・・って、え!彼女もう31歳!?この映画のときも、すでに29歳ってことですね。「レオン」は1994年だから19年前か・・・。…

園子温監督「うつしみ」217本目

1999年作品。“貴重盤”コーナーにあったのを借りた。ここまで見るとは、園子温マニアと呼ばれても仕方ないかも。前述の「桂子ですけど」のほかに、じつはぴあフィルムフェスティバル受賞作「俺は園子温だ!」も「性戯の達人 女体壺さぐり」も見た。「うつしみ…

神代辰巳監督「赫い髪の女」216本目

1979年公開作品。 原作は中上健次なんですね。なんか、「にっかつロマンポルノ」の「傑作」と言われているらしいので、ずっと見てみたかったんだけど、レンタルしてるところが少なくて、やっと借りられました。当然VHSです。すごいうらぶれた汚い下宿で、ダ…

「髑髏城の七人」215本目

2013年1月、いま「ゲキ☆シネ」公開中。 作・中島かずき、演出・いのうえひでのり。「監督」というクレジットはありません。ゲキシネは、前に「蛮幽鬼」を見たことがありますが、「すごいっ!」と思ったのを覚えてます。上川隆也、堺雅人、稲森いずみが特にす…

園子温監督「桂子ですけど」214本目

1997年作品。1秒単位の時間の経過を中心に、1時間1分1秒の映画を撮ろう、というコンセプトの作品。 最近見た映画の中では、ジブリの実写映画「式日」みたいな感じだな。 アートにもなりきらず、ドラマとしても成り立ってない。 いっそのこと「1 Minute Galle…

山本政志監督「ロビンソンの庭」213本目

1987年作品。私には1988年〜89年に少なくとも100本のVHSビデオを借りて見た、という記憶があるのですが、いくら考えても、何をそんなに見てたのかが思い出せません。オリジナルアニメとかVシネマのようなものも見てたけど、それにしても100本に満たない。。…

ジェームズ・キャメロン監督「アビス」212本目

1998年作品なので、なんと私の分類では「古い映画」の方に入ります。 確かに特撮よく見ると、水の中っぽい色にしてあるけど明らかにスタジオ内だったりするけど、およそ“古い映画”という印象はまったくない映画です。171分の完全版をTVで録画したので見たけ…

渡辺一志「19(ナインティーン)」211本目

2001年公開作品。VHSビデオプレーヤー、使わなくなってもう5〜6年も経つので捨てようと思ってた矢先に、TSUTAYA店頭でまだまだVHSをレンタルしてるのに気づいた。で、あわててケーブル買い直してつないだら映った!よかった!・・・ということで借りてみた…

横浜聡子監督「ウルトラミラクルラブストーリー」209本目

2009年作品。ギブアップ。 冒頭の、録音された音声は、しばらく韓国語だと思って聞いてた。 主人公マツケン、その他登場人物の東北弁の会話が、かなり努力しても日本語として意味がとれない。字幕があってよかった。なかったら最後まで見られなかったと思う…

ロバート・ロドリゲス監督作品「ショーツ 魔法の石大作戦」208本目

2009年アメリカ作品。ショーツっていうのは「ショートストーリーズ」の意味。何でも望みが叶う魔法の石を持った子たちや大人たちが大騒ぎ、というコメディです。テレビでやってたので見ただけの通りすがりのキッズ映画だけど、面白かったよ。 名画とかではな…

ダニー・ボイル監督「シャロウ・グレイブ」210本目

1995年公開作品。 この映画は見たことがあるのをはっきり覚えてるんだけど、ストーリーだけで、どういう印象だったか思いだせないので、見てみました。注目のダニー・ボイル監督特集です。(注:園子温、新藤兼人、ダニー・ボイル等に注目してて、全作品を見…

中村義洋監督「フィッシュ・ストーリー」207本目

2009年作品。原作は伊坂幸太郎。いかん、この作品の良しあしは客観的に判断できない。“逆鱗”の“フィッシュ・ストーリー”が良すぎる。(監修:中村和義)私は自称元パンクスなので、この手のビートとかリフが来ると体がタテに動き始めます。高良健吾のダラっ…

新藤兼人監督「藪の中の黒猫」206本目

1968年作品。冒頭で、藪の中の家に住む女と娘(息子の嫁)が侍の一団に襲われて、家に火を放たれます。 その後、その周辺に侍を引きこむ妖怪が出るという評判が立ちます。その家の息子が立派になって戻ってきて、妖怪征伐を命じられる。同監督の「鬼婆」のア…

ダニー・ボイル監督「ミリオンズ」205本目

2004年作品。いやー面白かった!ダニー・ボイルやっぱり最高です。 英国的、という意味で最高です。 みぞおちをくすぐられるようなブリティッシュ感。 イギリスに住みたくなります。舞台はポンドがユーロに切り替わる数日前。不要紙幣を盗み出した強盗が隠そ…

中原俊監督「櫻の園」204本目

1990年作品。ギリギリ、私の分類上「新しい映画」です。 つってももう23年前の作品で、当時の女子高生はくるくる巻き髪かショートボブ、今はお譲さん学校でもこのファッションはないだろう。でも普遍的な少女たちの美しさを、奇跡的にフィルムに残した作品で…

カン・ジェギュ監督「シュリ」203本目

1999年韓国作品。面白かった。受賞歴や評判にたがわず、とてもよく作られた映画です。 迫力のある戦闘シーン。情感あふれる人間関係。 暴力とドラマの計算されたバランスとボリューム。 ラストに向かって高まるアドレナリン。 愛し合う、見つめあう二人。・…

ロブ・マーシャル監督「SAYURI」202本目

2005年アメリカ作品。英語でやる映画なんだから、ハリウッドの流儀を理解して、英語で演技ができる俳優を使うことは無理もない。むしろ問題は美術とか時代考証じゃないかな・・・。この映画の美術監督ジョン・マイヤーが担当した他の作品はX-MEN、ホーンテッ…

ロベルト・ベリーニ監督「ライフ・イズ・ビューティフル」201本目

1997年作品。名高い名作だし、ストーリーも結末も知ってしまっているけど、面白かった。 笑える、という意味で面白い。 感動したり悲しくなったりするつもりでなく、笑いながら見て、最後の最期に笑いながら号泣、という感じです。恐ろしい状況の中で笑いを…