映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

日本映画(80年代まで)

篠田正浩監督「夜叉ケ池」3263本目

「外科室」の流れで、玉三郎が出演していた作品を見たくなりました。 これは1969年の作品だけど今年リマスターされたらしい。メインは玉三郎と山崎努と加藤剛。なかなか凝った演出がされているけど、村の場面では玉三郎だけ異形のものとして白塗りの顔で演じ…

加藤泰 監督「沓掛時次郎 遊侠一匹」3254本目

多分なにかで勧められてたんだろう、普段私が見るジャンルじゃないけど見てみました。中村錦之助の演じる時次郎はやくざ者。一宿一飯の恩義で、何の縁もゆかりもない男を殺めたところ、その男に「妻と息子を頼む」と言い残される。事情を話して彼らを親戚の…

成瀬巳喜男監督「乱れ雲」3251本目

さっき見た1951年「めし」では若夫婦、1960年「娘・妻・母」では中年のやもめ役だった上原謙の息子、加山雄三が、1967年に主役の若者として出演しています。「若大将シリーズ」がまだ作られていた時期の、精悍な好青年を絵にかいたような加山雄三が、不可抗…

成瀬巳喜男監督「めし」3250本目

(U-NEXTでの公開期限が明日までなので、慌てて見てる) そういえばこの映画も見てなかった。1951年作品、もちろん白黒。タイトルロールがすごいよ!原作:林芙美子、監修:川端康成ですもん。主演は上原謙と「当方専属第一回出演」の原節子。杉村春子に小林…

成瀬巳喜男監督「娘・妻・母」3249本目

1960年の作品。ジャケットは高峰秀子だけど、淡路恵子も原節子も草笛光子も中北千枝子も杉村春子も三益愛子も出てる。森雅之と宝田明も。原節子と高峰秀子と草笛光子が姉妹。中北千枝子がセールスして回ってるのは、77万円を信託すると6年5か月で100万になる…

今村昌平監督「果しなき欲望」3239本目

今村昌平のごく初期の作品。 冒頭、1958年の地方都市の、まだ戦後の雰囲気が残る駅前。集まってきたのは星形のバッヂを胸に付けた悪そうなやつら。新卒サラリーマンみたいな若造は小沢一郎だ。一番悪役ヅラしてるのは西村晃(若い頃のミシェル・ピコリと重な…

山田大樹監督「湘南爆走族」3228本目

これもまた、今誰が見るんだろうという作品。同年代の人と話してたらこの映画の話が出て、今さらもいいとこだけど見てみようと思いました。 確かに出てるわ、江口洋介と織田裕二。手芸部の部長は清水美沙か。カン高い声は確かに彼女のものだけど、ふっくらし…

佐藤肇 監督「黄金バット」3208本目

「濫読(乱読)」に匹敵する「どんな種類の映画でも見る」という言葉が欲しい。この作品もU-NEXTにあったので見てみました。アニメもあるようだけど、これは実写版。テレビドラマだけだと今VODで見られるものは少ないけど、映画化されてたおかげで見る機会が…

藤田敏八監督「赤ちょうちん」3198本目

<ネタバレあります> 「妹」を見たらこれも見るでしょう。 「妹」と同様、抒情的な「かぐや姫」の世界がバイオレントな藤田敏八風味になっています。何度も引っ越ししては、いろんな隣人たちと出会ったり兄に再会したりするけど、最後は妻がおかしくなって…

藤田敏八監督「妹」3197本目

<結末にふれています> 姉が「かぐや姫」のLPレコードを持っていて、「妹」や「赤ちょうちん」をベースに、秋吉久美子を主役にして作られた映画があることは当時から知ってたけど、まぁ子どもの見るものじゃないですねこれは~。少女みたいにあどけない秋吉…

本多猪四郎 監督「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」3184本目

「白い帽子の女」に続いて、ブラピつながり(!?)で見てみます。(彼が小さい頃に見て衝撃を受けたとWikipediaに書いてあった) 感想は、この時代、子供向けパニック映画みたいな、怪獣やばけものと人間、あるいはそういったもの同士が戦う映画が数限りな…

大森一樹監督「風の歌を聴け」3163本目

「ドライブ・マイ・カー」を見たので、昔の村上春樹原作作品を見てみたくなりました。「ノルウェイの森」は(なんか違うなぁ)と感じたけど「バーニング」は面白かった。この作品は初めての映画化だというだけでなく、1979年の出版からわずか2年後の1981年、…

新藤兼人監督「さくら隊散る」3121本目

これもずっと見そびれてたやつ。桜隊というキュートな名前の演劇団が、まさに原爆投下の日の広島に公演に来ていて、被災してみなさんお亡くなりになった…と聞いただけで切なくてたまらないですね。 彼らを直接知る人たちは証言者として実名で登場し、亡くな…

野村芳太郎監督「疑惑」3106本目

桃井かおりと岩下志麻、真骨頂だなぁ。森田健作、若いなぁ。(桃井かおりと1歳しか違わないのに、現在の桃井かおりは若すぎる…さすがSK-Ⅱ…) この作品は松本清張自身が脚色もしたらしい。あて書きしたのかと思うくらい、それぞれの登場人物のアクが際立つせ…

黒木和雄監督「祭りの準備」3091本目

1975年の映画。舞台は高知県の中村市といえば四万十川で知られていて、鯨やマグロの遠洋漁業の拠点でもある。小さい港町だと思ってたけど、バス1本で意外に大きな町に通じている。江藤潤はイメージ通り青くさい感じだけど、竹下景子が少し生意気な美少女ふう…

大島渚監督「帰って来たヨッパライ」3031本目

これも、いま見る人いないだろうなー 1968年の作品。歌は面白くて覚えてるけど、なんで大島渚が映画化したんだ?はしだのりひこはドラマによく出てたし 「花嫁」は「はしだのりひことクライマックス」がテレビで演奏するのを見た記憶があります。(当時「夜…

大島渚監督「悦楽」3030本目

大島渚が作るような作品って監督自身のわだかまりをぶつけたような感じで、今はそういうのをまんがにしたものが多いような気がする。この映画が作られた1965年当時のまんがは、大人向けは仁侠ものとか侍ものとかポルノとか、子ども向けは青春スポーツもの全…

成瀬巳喜男監督「放浪記」3017本目

1962年の作品。林芙美子を高峰秀子、その母を田中絹代。 高峰秀子は若い娘の役だけど38歳か。「張込み」で生活に疲れた主婦を演じた4年後。明るい役をやるときのはじけるような笑顔はなく、世間の垢にまみれたぱっとしない娘です。うまいよなぁ、こういう演…

清水邦夫・田原総一朗監督「あらかじめ失われた恋人たちよ」3014本目

1971年に、当時の若者たちがイキがって撮った前衛映画。 私は若いとんがった人たちが何かにもがきながら生み出した作品には好きなものが多いけど、若い人はバカで無鉄砲だから愛しいわけで、こざかしい若者はめんどくさいのだ。この作品は、「あらかじめ失わ…

深作欣二監督「華の乱」2989本目

深作欣二監督がこんな文学的な作品も撮ってたんだ。吉永小百合のインタビュー本を読んだら見たくなってしまったんだけど、彼女が与謝野晶子を演じるって斬新だなぁ。まっすぐすぎて不倫とか絶対しなさそうな女性ってイメージなので。 ちょっとヨゴレた感じの…

中川信夫監督「地獄」2956本目

アマプラで見かけて、あまりにド真ん中のシンプルなタイトルが気になってました。冒頭の見慣れない「新東宝」のロゴも、おどろおどろしい。 音楽というか音響効果は、ウルトラマンとか昔の怪獣映画みたいな、出はじめの電子音とかが使われてる。場面ごとのつ…

市川崑監督「ビルマの竪琴(1956年)」2940本目

最近の戦争映画はおおげさな音楽を排して、現場音っぽい銃撃や息遣い、無音状態でむしろ観客の緊張感をうながすものが多いように思うのですが、この映画は始まってすぐ、美しい竪琴の奏でる音楽(手作りでこの美しい音はないけどな)が流れて、ふっと緊張が…

野村芳太郎監督「影の車」2920本目

1970年の作品。千葉の住宅地といっても、電車の沿線の土地はまだまばらにしか開発されてなかった時代。 真っ赤なゴシック体で行頭記号までつけて表示されるクレジットが異様…。 美しい笑顔の加藤剛は平凡なサラリーマン。事件に巻き込まれそうな予感…そうい…

増村保造 監督「からっ風野郎」2858本目

<ネタバレあり> 増村監督が、三島由紀夫原作を映画化するのに飽き足りず、彼を主役に1本撮ってしまいました。…いや違うな。「潮騒」や「炎上」はこの前だけど、これより後に映画化された作品も多い。「黒蜥蜴」、「憂国」、「音楽」…。他の作家の文学作品…

増村保造 監督「音楽」2843

これは大橋裕之原作のアニメじゃなくて、三島由紀夫原作の1972年の作品。間違えてレンタルしたわけじゃないです(笑)。数年前にこの原作のほか数冊、彼が書いた大衆小説(「平凡パンチ」に連載したような)を読んだら、面白くて達者でびっくりしました。今…

森崎東監督「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」2835本目

1985年作品。まるで「男はつらいよ」みたいな雰囲気で始まります。これは名古屋の沖縄集落が舞台なんだ。 担任の先生を誘拐して身代金で儲けようとする不良高校生、ヌードダンサーが町に帰ってきて原発ジプシーと結婚するという。これって1985年のリアルかも…

溝口健二監督「西鶴一代女」2786本目

1952年の作品、主演は田中絹代。 教科書にも出て来た「好色一代女」の映画化。好色といっても片っ端から手を出すんじゃなくて「恋多き」という意味でしょうか。この映画では「男運が悪い」という意味しかなさそうです。田中絹代は真面目でひたむきな薄幸女性…

本多猪四郎 監督「モスラ対ゴジラ」2778本目

「モスラ」割と最近見たはずなのに、見覚えがないな…と思ったら、これじゃなかった。モスラの出る映画って10本も作られたんですね。この映画は、小美人の服装が花みたいですごく可愛いし、モスラの造形も愛嬌があります。モスラの卵も小じゃれたイースターエ…

斎藤耕一 監督「津軽じょんがら節」2777本目

江波杏子は、すごく大人っぽい中年の女性というイメージだから、若くてびっくり。(なんで驚くんだろう、誰だって若い頃はあるのに)寺田農も若いなぁ、細いなぁ。 津軽の荒い波、情緒あるなぁ。だいいちDVDジャケットがいいですよね。大人の日本昔ばなし、…

長谷部安春 かんとく「野良猫ロック セックス・ハンター」2768本目

借りるのに勇気がいるタイトル!(笑)でも全然まったく、いやらしい映画じゃないです。 海外の映画好きの人たちが、梶芽衣子の出演作品のイメージイラストを描いたのをたくさんTwitterで見たのですが、その中にこの作品もあって、見てみたくなりました。 ま…