映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

日本映画(80年代まで)

山田洋次監督「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」2600本目

超大人気シリーズでありながら、ずっと下町のロケで制作してるイメージが強くて、冒頭からけっこう豪華な海賊船のセットが現れて「意外とお金かけてんなー!」。マンネリを避け、ヒットのごほうびとしてもこういう趣向にしてみたのかもしれません。 寅さんシ…

中川龍太郎監督 2586本目「わたしは光をにぎっている」

これはどういう映画なんだろう。この監督の作品は初めてです。もう見た方々の感想を見ると、めっちゃ点数低い人と100点の人がいる。予想できない(笑) 主役の松本穂香、見たような見ないような…プロフィールを読んでやっとわかった。「ひよっこ」で有村架純…

野口照夫 監督「薔薇とチューリップ」2582本目

図らずも今朝の「あさイチ」に原作者の東村アキコが出てこの映画について語ってました。K-POPアイドル2PMのジュノが好きすぎて、熱烈なファン(東村氏自身も含まれる)のあいだで彼を日本に呼ぼうという話が出る→彼の出る映画を作ろう→東村、彼を主役にマン…

大林宣彦 監督「HOUSE ハウス」2575本目

<ネタバレだらけ> やっと見た。あの大林監督の怪作と聞いてたけど、池上季実子!と大場久美子!が可愛いらしくて(檀ふみも!)池上季実子の父が笹沢左保だったり、新しいお母さんが鰐淵晴子(綺麗すぎてサイボーグ)。尾道三部作と同じように、少女たちの…

木下恵介監督「笛吹川」2549本目

白黒フィルムを鮮やかに彩色した画面。1960年の作品。 面白いですね、なんか怖いですね。賽の河原かと思ったら合戦場のあと、累々と死体が横たわっているフィルムを紅色に染めています。今なら、元の色をもう少しうまく着色できるんだろうな。1960年っていっ…

山本薩夫 監督「にっぽん泥棒物語」2537本目

「にっぽん泥棒物語」というより「元泥棒と冤罪」って映画でした。 三國連太郎、こんな若い二枚目のうちから、ロクデナシな泥棒の役なんかもやってたんだなー。悪徳刑事にアクたっぷりの伊藤雄之助。熱血な正義の弁護士は、なんと千葉真一。まだ肉体派の片り…

木下恵介監督「夕やけ雲」2535本目

貧しい戦後の日本の街並みが、懐かしいような気がして(生まれる前だけど)ずっと見ていたい。とても美しく思えて。 賢くてけなげな、小さい妹は菊沖典子という子役。映画はこれしかKINENOTEに記録がありません。どんな大人になったんだろうな。主役の少年を…

寺山修司監督「書を捨てよ町へ出よう」2526本目

尖ってるなぁ。純粋だなぁ。このとき寺山修司36歳。父親が戦死するという経験は今の若者にはないけど、青森の田舎で育つことや、個人を無視した社会のシステムに取り込まれることの無情は今とそれほど変わらないんじゃないだろうか。でも、今の36歳もこんな…

本多猪四郎監督「ガス人間第1号」2501本目

まぁ私もジャンル問わずなんでも見る方ですよね。 この映画はタイトルだけ見ると、おどろおどろしい、今見るとちゃちい特撮とか使ったパニック怪獣映画かなと思うじゃないですか。でも冒頭は、きょとんとした顔で立ち上がった銀行員の面々をなめるカメラ。ず…

川島雄三監督「風船」2458本目

高度成長期の日本の、大企業で仕事や接待にいそしむやり手サラリーマンと、ホステス。 ナイトクラブではジャズ演奏の前で、ローラースケートを履いて踊りながら歌う(口パクだけど)、北原美枝。こういうショーを本当にやってたのかな。「太陽の季節」と同じ…

川島雄三監督「愛のお荷物」2405本目

子どもは神様からの授かりものではないのか、この映画では徹頭徹尾“お荷物”扱いで、妊娠した女性は「申し訳ありません!」と父となる男やたちに謝り続ける。逆だろ!時代が違う映画を見るときはわりと寛容なほうだと思っていたけど、これはなんとも。 といっ…

マキノ雅弘監督「次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊」2388本目

マキノ雅弘監督作品をほとんど見てないのは、やくざ映画が多いからかな…。 この映画が作られたのは1954年。時代劇全盛期じゃないですか?この頃の日本映画って、みんなすごく早口で口八丁手八丁の人たちが人気者で、こんなに回転が速いのに世の中には理不尽…

川島雄三監督「しとやかな獣」2380本目

監督は川島雄三で脚本は新藤兼人。主演は若尾文子です。1962年公開、ひとつの黄金時代だなぁ。 悪~い家族の父は伊藤雄之助、母は山岡久乃(なんてうまいんでしょう)、息子は川畑愛光、娘は浜田ゆう子。だけど息子の横領について問いただしに来た芸能事務所…

黒澤明監督「姿三四郎」2373本目

これが黒澤監督の初監督作品だそうな。 志村喬、大河内伝次郎(「百万両の壺」よりだいぶ年を取ってる)、月形龍之介といった大御所や轟夕起紀子が出てるのに、初監督作品というのはちょっと意外。 人間のどろどろした部分がほとんど出てこなくて、三四郎は…

新藤兼人監督「縮図」2370本目

面白かったなー。 乙羽信子がまだ若くて、ホッペもプリプリなんだけど、腹の据わった一人前の芸者役が板についています。さすが宝塚、身のこなしも声の出方も基礎がしっかりしてる。 こんなに優れたエンターテイナーが男たちの“なぐさみもの”として転々とす…

川島雄三監督「あした来る人」2366本目

原作は井上靖。助監督が今村昌平!冒頭、いきなり山村聡社長を訪ねてくるちょっと怪しい三国廉太郎。彼が社長令嬢の月丘夢路と列車の食堂車で出会った経緯も可笑しい。学者ってのは昔も今も同じだな…。 しかしテーマはまるで最近の「トレンディドラマ」(っ…

川島雄三監督「雁の寺」2362本目

川島雄三監督作品、どんどんレンタルしています。しかし昔の日本映画ってほんと、セリフが聞き取りにくいな~。 冒頭、日本画の大家(中村鴈次郎)と彼の妾の若い芸者里子(若尾文子)、住職(三島雅夫)が語らっている場面は平穏だけど、老人と若い女がいち…

川島雄三監督「お嬢さん社長」2358本目

「幕末太陽伝」や「わが町」の川島雄三監督の作品ということで借りてみましたが、美空ひばりの主演作ですね。16歳のお嬢さんという設定。歌っても立派だけど、若社長と言われれば納得してしまう、この押し出しの強さ。重量感。秘書の月岡夢路が賢くやさしく…

木下惠介監督「陸軍」2335本目

あきらめの中にある母の愛を克明に描けた、たいへんな名作でした。最後の最後まで、まるで印象の薄い地味で従順な母が、というギャップが強烈。 この映画の中で、母が息子を追う最後の10数分間を除いた部分は、私にとっては、言葉は悪いけど「むなくそわるい…

鈴木清順監督「東京流れ者」2330本目

おもしろいなぁ。昔の歌番組みたいな真っ白のスタジオに、ほとんどライティングだけの設定で、主役の渡哲也や妖艶な歌手という設定の松原智恵子が歌う。とても美しいんだけど、リアリティと真逆の方向性が不思議。多摩川?を車で走る場面とか、小さいころに…

川島雄三監督「わが町」2324本目

冒頭の南洋語りはちょっと見慣れない感じで面白い。 それが終わってタイトルが出てからは、急に関西弁で人情ものの世界。私はこの時代は知らないけど、まだがらんとした町なかの様子、いろいろあるけどみんな一生懸命だった時代の人たち、なんだか懐かしさが…

大島渚監督「青春残酷物語」2303本目

桑野みゆき演じる主人公が、パツパツでチャーミングなんだけど若い子らしく無鉄砲で、見ていてハラハラします。今のほうがこういう子を何とかしようという大人が少しは多くて、探してくれればNPOなんかも見つかると思うんだけど、この時代には「自己責任」ど…

小津安二郎「お茶漬の味」2296本目

ノワールといえそうな「東京暮色」を見たあとで「お茶漬の味」を見ると、なんだか教科書を読んでるような気持ちになる・・・。あまりに教訓的な起承転結のある作品です。制作はお茶漬1952年、東京暮色1957年、途中に東京物語1953年などがはさまってる。単純…

野村芳太郎 監督「張込み」2288本目

面白いなぁ。 全然期待しないで見たけど、なんでこんなに面白く感じるのか?大木実と宮口精二のコンビが地に足の着いた刑事たちらしく、旅館の人たちも銭湯の人たちも皆魅力的です。その中で、ひときわ地味で印象の薄い高峰秀子。いや、このままで終わるわけ…

長谷川和彦監督「青春の殺人者」2287本目

<ネタバレあり> 1976年の作品。すごい時代の映画だなぁ。今はもう作れない。プロデュースしたのが「復讐するは我にあり」の今村昌平というのが、なるほどです。放送禁止用語バリバリってことより、17歳の全裸というのが今は無理。15歳のデビュー作から脱い…

山下耕作 監督「博奕打ち 総長賭博」2282本目

人から薦められでもしないと見ないよなぁこのタイトル。 主役は鶴田浩二。亡くなってもう30年たつんですね。亡くなって5年の高倉健や菅原文太より、最近名前を聞かないなと思ったけど、この年月を考えると仕方ないのかもしれません。 この映画は仁侠映画に…

前田陽一監督「神様のくれた赤ん坊」2279本目

1979年の作品。桃井かおりが初々しくも度胸の据わった女を演じていて楽しい。樹木希林(もう「悠木千帆」じゃない)が置いていった男の子の父親を探す旅が、桃井かおりの子どもの頃の記憶をたどる旅につながり、ちょっとしんみりとしたりします。中国~九州…

川島雄三 監督「洲崎パラダイス 赤信号」2277本目

1956年の作品。 いいなぁー。新珠美千代の小賢しい“悪女の深情け”、轟由紀子のおかみさんは暖かくて最高だし、芦川いづみは可憐でかわいい。三橋達也と植村謙二郎は弱いところもあるけど朴訥ないい男。この人たちを見つめる監督の視線のやさしさ。 しかし新…

坂野義光 監督「ゴジラ対ヘドラ」2262本目

この映画は、私の映画原体験といってもいいかもしれない。怪獣大好きな幼児のころに親に連れられて映画館で見て、あまりの恐ろしさにトラウマになったという明確な記憶があります。 冒頭のヘドロの海が、九州の田舎者のチビには衝撃だったし、これは改めて見…

溝口健二監督「夜の女たち」2257本目

1948年、戦後すぐの作品。 田中絹代がパンパンの役を熱演しています。同じ監督の「赤線地帯」も切ない映画だったけど、この映画の女たちもひどい目にあっています。 家出をしてきた義理の妹の久美子が、声をかけてきた男に酒を飲まされて犯されて有り金を全…