映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

パトリック・ジュディ監督「ジェラール・フィリップ 最後の冬」3669本目

ドキュメンタリーに原作があるってどういうことだろう?ストーリーの部分は本によるんだろうな、でも家族で撮ったビデオみたいな映像面の重要な部分は、あとで付け足したというのはもったいないくらい。 映画を毎日のように見るようになった10年くらい前に、…

カンテミール・バラーゴフ監督「戦争と女の顏」3668本目

この映画が2019年にロシアで作られたなんて、ほんとに謎な国だ。女性における戦禍をこんなにさらけ出して厳しく批判しておきながら、今は隣の国をためらいなく攻撃している。少ししか知らないけど、あの国にあっては、いろいろな考えや気持ちが一人の人の中…

ホン・サンス監督「あなたの顏の前に」3667本目

<ネタバレあります> 韓国語のタイトルをそのまま訳した邦題だけど、意味がよくわからなかった。このフレーズ、せりふにありましたか?見逃したかな。 ホン・サンス監督作品は、敬愛するユペールせんぱいつながりで「3人のアンヌ」を見ただけでこれが2本目…

クリント・イーストウッド監督「クライ・マッチョ」3666本目

2022年のキネマ旬報ベストテン入賞作品のうちまだ見てなかったものが、U-NEXTにいくつも入っていると気づいて片っ端から見てる。 イーストウッド監督作品を5本も10本も見た人なら、サムネイル写真と短い解説を読んだだけでこの作品がわかるような気がしてし…

久保田直監督「千夜、一夜」3665本目

静かな映画だなぁ。同じ田中裕子が出てた「いつか読書する日」を思い出した。 この映画の印象は、静かだけどズン、ズン、と同じ調子で畳みかけてきて、第一印象よりは熱い作品だな。田中裕子の(「怪物」でも見せた)隠れた狂気みたいなものが夜の闇に漏れ出…

デレク・ツァン 監督「少年の君」3664本目

美しくてとても切ない作品だった。 チョウ・ドンユイ。すごい若さ!撮影時26歳だけど高校生といっても幼いくらいに見える。一方のイー・ヤンチェンシーは当時17歳の現役高校生だ。彼の方がたくましく大人に見える。 いじめって、主導者になる者はとてつもな…

ジェームズ・フランコ 監督「チャイルド・オブ・ゴッド」3663本目

R.I.P.コーマック・マッカーシー。「ノーカントリー」も同じ原作者ということは、この作品も救いのないバイオレントな作品か、と思う。でも冒頭でこの主役レスリー・バラッドは「神の子」と呼ばれる。そうか、この人には障がいがあるのか。ということは、ノ…

ジュゼッペ・トルナトーレ 監督「モリコーネ 映画が愛した音楽家」3662本目

すごい感動的だなぁ。 私は恥を忍んでいうと、モリコーネの映画音楽で印象に残っているのは「ニュー・シネマ・パラダイス」や「続夕陽のガンマン」のメインテーマくらいで、膨大な数の名作を見ていながら音楽にあまり注意をひかれていませんでした。この場で…

S.S.ラージャマウリ 監督「RRR」3661本目

なんて暑苦しくてエネルギッシュな映画でしょう。画面からあふれ出て押し寄せるカロリーがすごくて、見てるだけでインド人になってしまいそう。 今までに見た数少ないインド映画には、家族の愛情や、身分違いの恋や、宗教対立を果敢に描いてきたものなどがあ…

なるせゆうせい監督「縁の下のイミグレ」3660本目

見る前は、尺が76分と短いので、こじんまりと終わっちゃうのかな?とか、シリアスすぎたら楽しめないかな?などと心配しましたが、なかなか濃くて面白い「シチュエーション・コメディ」でした。 ベトナムから来た技能実習生がトラブルに見舞われ、彼女を守り…