映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ監督「世にも怪奇な物語」2523本目

怖い映画ばかり見たので、楽しそうなやつ、いきます。 すごいですねこれはまた、豪華監督3本立て。 (1)ロジェ・ヴァディム監督。ジェーン・フォンダが弟ピーター・フォンダと共演。のちにスカしたイージー・ライダーになった彼もこのときは王子様装束です…

ダニエル・ファランズ 監督「ハリウッド1969  シャロン・テートの亡霊」2522本目

<ネタバレあり> この事件はほんとに怖いし、この映画はホラーだときいてたので、あえて他のことやりながら覗き見てみました。思ったほど怖すぎなかったし、ヒラリー・ダフは可愛らしい女性らしくシャロン・テートを演じてたけど、この映画の場合友人たちが…

マイク・フラナガン 監督「ドクター・スリープ」2521本目

キューブリックの世界とは違うけど、すごく面白かったです。そうかこれがスティーヴン・キングの世界なのか。(「スタンド・バイ・ミー」や「グリーンマイル」を思い出しつつ) 「ROOM237」も見たし紹介文や解説、感想などを読んで、予習はばっちり。 ダニー…

フリッツ・ラング監督「飾窓の女」2520本目

フリッツ・ラングの映画は全部サスペンスで、かつ、血みどろとか幽霊とかゾンビとかは出てこないので、退屈でしょうがない祝日に見るにはうってつけです。(私は幸か不幸か、結末を知ったうえで見始めました。以下ネタバレあり、です) 犯罪心理学が専門の中…

ヘルマン・クラル 監督「ミュージック・クバーナ」2519本目

最初の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」と「アディオス」の間に撮られた映画。この間にコンパイ・セグンドをはじめとするメンバーの数名が亡くなっています。この映画はピオ・レイヴァと彼のThe Sons Of Cubaバンドを中心に、ドラマ仕立てになっていま…

ニルス・タヴェルニエ 監督「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」2518本目

ここ数年のうちにSNSに流れてきたネタのうち、二大背筋が寒くなったのが、ヘンリー・ダーガーによる「ヴィヴィアン・ガールズ」と、このシュヴァルの理想宮の2つのアウトサイダー・アートでした。建築物好きなので、一人でコツコツとんでもないものを建てた…

「シークレット・スーパースター」2517本目

アーミル・カーンがめっちゃしょうもないヨゴレ役! インドではヒンドゥ教8割に対し、イスラム教徒は13%程度というマイノリティです。この間調べて、インドの三大カーンのうちアーミルとシャー・ルクはムスリムだと知って改めて見てみると、そうかインドのム…

アルベール・デュポンテル 監督「天国でまた会おう」2516本目

フランス的というのか、緊張感のある一挙手一投足や、フィーリング?でどんどん筋が進む感じに最初は完全に置いていかれてしまいましたが、二回見たらほとんど理解できた気がします。戦争の場面から始まるけど、ミシェル・ゴンドレーとか、そういうアート色…

デヴィッド・ゴードン・グリーン 監督「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」2515本目

ジェイク・ギレンホールが主演だけど、今度は時系列がゆがんだりアルターエゴが出てきたりしないのね。宇宙人も出ないのね。(すごい先入観を持ってる、いい意味で)(どんな意味だ) 普通にいい映画だった。傷ついたことでヒーロー扱いされた気弱な男の、成…

ジャック・タルディ監督「アヴリルと奇妙な世界」2514本目

「タンタン」みたいな、線画に色を乗せたフレンチコミックをアニメ化したような映像。フレンチアニメと言われたら想像するような。すごく単純化された絵なんだけど、大人が見る風刺画みたいにリアリティがあります。そしてストーリーもなかなか緊迫。ルパン…

ファティ・アキン 監督「女は二度決断する」2513本目

見てて辛くなる、自分のことのように迫ってくる映画でした。ダイアン・クルーガー演じる主人公は、家族を愛し、真面目に暮らしている主婦なんだけど、昔はコカインをやったこともあった。夫はトルコからの移民。麻薬の密売で過去に摘発されたこともあるけど…

ジョン・カーペンター監督「ゼイリブ」2512本目

安っぽい作りだけど、エンタメ度高いですね。ブロンドの大仁田厚みたいな主人公は、地に足の着いた肉体派。ひょんなことから手に入れてしまったのは、宇宙人を見分けるメガネ。300円くらい払うと映画館でもらえる3Dメガネ みたいな作りだけど、3Dメガネも…

オムニバス「21世紀の女の子」2511本目

Eテレのつなぎ番組みたいな、ちょっとこじゃれててちょっと気の利いた8分以内の短編が14本。女性監督と女優たち、女ばっかり+男たち。 順番は「ミューズ」(村上淳、石橋静河)「Mirror」(瀧内公美、朝倉あき)「out of fashion」(モトーラ瀬里奈)「回転…

リー・クローニン 監督「ホール・イン・ザ・グラウンド」2510本目

アイルランド映画だそうです。緯度が高いので冬のアイルランドは多分こんなふうに陰鬱。それが美しくもあるけど、不思議なゴシックホラーのような雰囲気です。 この映画は、大きな穴がメインで穴の周囲や中で物語がどんどん進んでいくのかと思ったら、母と子…

ドーリス・デリエ 「命みじかし、恋せよ乙女」2509本目

すごく、いろんなところが未熟な青臭い感じだなぁ。主役のゴロ・オイラーの演技が硬いし、構成もぶっつなげた感じだし。でもなにか独特の美的感覚があるんだろうな。 入月絢というこの女の子は、ドイツ語がしゃべれるからキャスティングされたのかな。樹木希…

スティーヴン・ソダーバーグ監督「バブル」2508本目

ソダ―バーグの初期作品2枚組のうちの1つ。一般の人たちをキャスティングして、彼らの自宅で撮ったんですって。イーストウッド監督の「15時17分、パリ行き」でも思ったけど、プロの俳優たちのほうが生き生きしてるんですよ。普通の人ってだいたい表情に乏し…

スティーヴン・ソダーバーグ監督「ガールフレンド・エクスペリエンス」2507本目

1時間2000$!日本で一番高い弁護士だって15万円くらいじゃないか(※20年近く前の話)?1回2時間遊ぶだけで40万かかるんだったら、その辺のちょっと可愛いお嬢ちゃんに可愛いドレスと下着と靴でも買ってやって美容室でメイクとセットでもしてもらえば、何度か…

ジャン・リュック・ゴダール「イメージの本」2506本目

巨匠がわかる人だけがわかればいいと思って、自分の大事な映画の断片をたくさん集めて作った宝物。「コヤニスカッツィ」とかテレンス・マリックの映画とか「イントレランス」の仲間。って感じでした。巨匠つっても若いころは自意識過剰の気取り屋だった人が…

デビッド・バッティ 監督「マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!」2505本目

たまらん…この頃のロンドンほど最高に刺激的で美しい場所は、古今東西どこにもないんじゃないだろうか。 ロンドンに仕事で行ったのは1992年だからもうこういうロンドンの香りは何も残ってんかったけど、キンクスのカセットテープをいつも聞きながら、湾岸や…

ロドニー・アッシャー 監督「ROOM237」2504本目

すごくKINENOTEの評価が低いけど、シャイニングのマニアが作った分析映画なら、見ないわけにはいきません。なんかもうね、なにかを掘り下げまくる、妄想しまくる、ということ自体を楽しみたいだけなのかもしれない。自分が妄想するのもまあ楽しいけど、妄想…

マーティン・スコセッシ監督「レイジング・ブル」2503本目

何回も見かかって、なぜかいまだに一度も最後まで見てなかった作品。いや、見たのかな。いろんな場面が記憶にある…弟と寝たな!って妻を殴る場面とか。 乱暴に殴り合う場面や激しい口論って苦手だし、男女が出てきても全然ロマンチックじゃなくて男の側の都…

瀬々敬久監督「楽園」2502本目

ストーリを追うのが辛いですね。わからなさすぎて…。 瀬々監督の作品はどうも、監督の思い入れが強くて、無理を通してしまっているような印象がずっとあるのです。どうにかして、見る人にもう少し親切にしてもらえないものか…。「伝わらなくてもいい」と思っ…

本多猪四郎監督「ガス人間第1号」2501本目

まぁ私もジャンル問わずなんでも見る方ですよね。 この映画はタイトルだけ見ると、おどろおどろしい、今見るとちゃちい特撮とか使ったパニック怪獣映画かなと思うじゃないですか。でも冒頭は、きょとんとした顔で立ち上がった銀行員の面々をなめるカメラ。ず…

カビール・カーン監督「バジュランギおじさんと、小さな迷子」2500本目

2500本目という区切りに満を持して登場したのは、インドが誇る三大カーンの最後の一人、サルマン・カーンだ!シャー・ルク・カーンは「恋する輪廻」、アーミル・カーンは「きっとうまくいく」等で何度も見たけど、なぜかサルマン・カーンの映画は見る機会が…

マイケル・ラドフォード 監督「アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール」2499本目

なんと、英語だ。アンドレア・ボチェッリといえば、私が初めてイタリア旅行に行ったときにちょうど話題になっていた歌手で、私の中ではボチェッリ=イタリアだし、製作国イタリアとなっているけど、監督も俳優もハリウッド的でした。トスカーナ地方の風景が…

園田新監督「リバースダイアリー」2498本目

ジャンルでいうとあれかなぁ、「イニシエーション・ラブ」とかと同じ層の人が見る映画?スリリングに作ろうと思えばできるストーリーだけど、構成が甘い。空港でのキャンセル待ちってカウンターに行って申し込むし、すんごい名前呼ばれるし、同じ便に乗るつ…

ヴィム・ヴェンダース 監督「世界の涯ての鼓動」2497本目

滞在型のこういう素晴らしいホテルに、仕事で泊ったり、ツアーで立ち寄ったりすると、「たまたま泊まってる素敵な独身男性と恋に落ちたりしたら素敵なんだけどな~」と妄想するような、知的で冒険心の強い二人の恋。世界中のさまざまなところへ動線をのばす…

マリア・ペーテレス 監督「レディ・マエストロ」2496本目

どれくらい事実なんだろう。生い立ちや、コンサートホールの仕事を首になったこと、ピアノ教師についたこと、音楽学校に入ったこと、指揮者に師事したこととかは事実だろうけど、御曹司フランクの存在がどうもフィクションっぽい感じがする。ロビンって存在…

ニウ・チェンザー 監督「軍中楽園」2495本目

文字通り、軍の中の楽園。従軍慰安婦を必要「悪」と呼んだり、なかったことにしようとしたり、関係者が一生軍や国を恨んで辛い思いをし続けるのは、とても悲しい。人を殺す軍隊は「必要悪」じゃないのか?介護や看護やセラピストのような、人を癒す仕事にく…

ガス・ヴァン・サント監督「マイ・プライベート・アイダホ」2494本目

この映画見たのは、30年ぶり近いんだな。 いろんな場面をよく覚えてる。みんなで「ボーーブ!」って叫び合うお葬式とか、ハンスがホテルのフロアランプを抱いて踊る場面、マイクの卒倒のしかた、スコットが好きになる女の子の風貌。一番美しかった頃のリバー…