映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

三隅研次 監督「大菩薩峠 完結編」863本目

うぎゃあっ、どわあっ、て感じで終わりました。 こういう映画は、続きドラマとして見るべきなんだろうな。 当然予想された幕切れだし、歌舞伎ばりのキメキメのポーズなんだけど、続けて3本見ないとしらけてしまいます。 どうしても入りきれないままだった。…

ラッセ・ハルストレム 監督「ショコラ」868本目

「マダム・マロリーと魔法のスパイス」を見たばかり。よく似たかんじの映画だけど、私は「ショコラ」の方が好きだな。チョコレートという、薬のようでもあり媚薬のようでもある美味な物質がテーマになっていることや、ジュリエット・ビノシュ(当たり役!)…

イングマール・ベルイマン監督「冬の光」867本目

評価をするのは難しい映画だ。 「第七の封印」で十分、宗教というものを描き切ったように思えるんだけど、それから6年後に作ったこの作品では、もはや教会は空っぽでどこにも神はいないかのようです。その一方で、牧師だって人間だ、という当たり前の限界が…

ウディ・アレン監督「ブルージャスミン」866本目

この映画、主役が男性で、というかウディ・アレンだったら、ずーっと喋りつづける中年男の喜劇に見えただろうな。美しきケイト・ブランシェットも、真剣に演技すればするほど、どこかおかしくもある。美しくて、きちんとしすぎていて、笑えない感じがどこか…

ジョナサン・カプラン監督「告発の行方」865本目

パブの奥のゲームコーナーで、お酒+マリファナで酔っ払って調子に乗った男たちが、何かのはずみでセクシーな女の子を押し倒してしまい、周囲を巻き込んで興奮の渦が起こる…。男たちはハイになって、彼女をいたぶることが楽しくて仕方がない。 レイプは性的…

ジム・シェリダン監督「ドリームハウス」863本目

ダニエル・クレイグとナオミ・ワッツと聞いて見てみたのですが、夢のマイホーム、家族の惨殺事件、ときて、もしやこれは大外れのヤバい映画・・・と不安になってきました。が、いつもより軟弱そうに見えるダニエル・クレイグと、常に彼を慕い、愛しつづける…

バック・ヘンリー 、ウォーレン・ベイティ監督「天国から来たチャンピオン」864本目

流して見る軽い映画かな、と思って見たんだけど、ほんわかと、切なく、いい映画でしたよ。 ウォーレン・ビーティの能天気さがいいですね。間違いで死んでしまったのに、暗くなる場面がゼロ!これを日本で作ると「秘密」とかになるわけで。主人公に妻子がいな…

ノーマン・ジュイソン 監督「シンシナティ・キッド」862本目

この映画前に見たっけ?と思ったけど、前に見たのは多分ハスラーだ。 ギャブラー映画ってあんまりピンとこないな。。。 (一番ピンときたのは「麻雀放浪記」かも) でも、大勝負の勝ち負けが決まった後の描写は、ちょっとじわっときました。

スティーヴ・マックィーン 監督「それでも夜は明ける」861本目

そう遠くない過去に起こったショッキングな事実を知ることは大切。 本当に胸が悪くなるような、目を背けたくなるような事実です。 だけど黒人たちにとっては、まだおそらく生々しい事実。忘れたい過去を白人にほじくり返されたような気持ちになる人もいるん…

笹木彰人監督「隣人観察日記」860本目

2009年作品。 「代々木ブルース」も60分ちょっとの短い映画だけど、同じDVDにもう1編収録されてました。 失業中の男が、同じマンションの両隣と上下に住む住人たちを観察して、日記をつけている。 アングラな感じがちょっとくすぐられます。こういう映画…

廣田正興監督「代々木ブルース「最終回・地図とミサイル」」859本目

2006年作品。 自主制作なのかな、公式上映記録がないからか、映画データベースを検索しても出てきません。(wikipediaには項目があります) どこでこの映画のことを知ったのか覚えてないけど、借りた理由は、いま自分が代々木に住んでるから。 いまから…

三隅研次 監督「大菩薩峠 竜神の巻」858本目

Vol.1とVol.3の間のつなぎという感じが強い1本です。 Vol.1の最後の緊迫感が解決されないまま始まり、この映画の最後も「続く」という形で終わります。雷蔵の悪役もセクシーで素敵ですが、中村玉緒の絡ませ方もちょっとしつこいんじゃないかな…。でも続き…

三隅研次 監督「大菩薩峠」857本目

市川雷蔵、この映画でも一人だけアイラインくっきり。 相変わらずの美形ですが、大人っぽく骨太になりましたね。 中村玉緒が、夫を守るために敵陣に単独で乗り込むいさましい妻を演じて印象的です。 映画は劇画調ですが、なにかすごく格調が高い。登場人物の…

Norman Foster監督「Mr. Moto's Last Warning」856本目

1939年作品。 なかなかスリリングですが、最初から最後までセリフ詰め込みすぎ! とても聞き取れないけど、字幕を出しても見切れないくらい。 しゃべりで設定を語らせたり、ストーリーを展開させたりするのって、せっかくの映画っていう媒体を活かしきれてな…

木村恵吾 監督「初春狸御殿」855本目

BSプレミアムでお正月にやってた映画を録画しておいて、今頃みました。 三が日でなければ見ていられないようなお目出度さ! 「ドリフのお正月スペシャル」かな、というような百花繚乱ムービーです。 もったいないくらい美形の市川雷蔵、狸のお姫様がやけに似…

イングマール・ベルイマン監督「第七の封印」854本目

この作品は寓話的で難解なのは確かだけど、”むずかしい映画”という感じではありません。 キリスト教の信仰を主題として、批判でなく真摯に向き合う映画なのに、十字軍での戦闘から戻ってきた男は十字軍の空しさを訴えます。その男は死神に出会い、勝ったら命…

アブデラティフ・ケシシュ 監督「アデル、ブルーは熱い色」853本目

この映画は、映画館で見てよかった。 大きいスクリーンいっぱいの二人の身体から、汗の匂いまで漂ってくるようだったし、会場全体が息をつめて別れや再会のシーンを見守っている感じは、名作を劇場で見る醍醐味ですね。恋愛という経験をきわめて精緻に描いた…

ジョン・タトゥーロ監督「ジゴロ・イン・ニューヨーク」852本目

やっぱりジョン・タトゥーロはうまい。 コーエン兄弟の映画で彼を知ったのですが、本人が監督したというのでこれは見なきゃと思っていました。 60近い普通のオッさんをいきなりジゴロに仕立て上げるってのが愉快です。ポン引きを演じるウディ・アレンは、軽…

イングマール・ベルイマン 監督「夏の夜は三たび微笑む」851本目

1955年作品。 イングマール・ベルイマン監督の作品がたくさんHDリマスターDVDで出たので、かたっぱしから借りてみる。 私が見たのは「野いちご」「不良少女モニカ」のようなすごく知られた名作だけだけど、これはとても娯楽として楽しめる、起承転結のあるド…

Herbert I. Leeds監督「Mr. Moto in Danger Island」850本目

ミスターモト6作目。 監督はここから違う人みたいですね。この作品も、辺境のどこかの小島が舞台で、6作目ともなると「どっかで見た」感が強くなってきます。 そして、この作品では変装は無し。(モトがモトの振りをする、という設定はあるけど) マシンガ…

ティム・バートン監督「シザーハンズ」848本目

怪しい白顔のジョニーデップ可愛い。とっても変でキュートな映画でした。その後こういう可愛い絵本みたいな映画が増えたので、新鮮味は薄らいでるけど。グランド・ブダペスト・ホテルも同じジャンルなのかな、と思う。 優しくて少し切なくて素直な気持ちにな…

アンドリュー・ラウ 監督「インファナル・アフェア」849本目

アンディラウとトニーレオン、カッコよすぎ!! 最後のオチがハリウッド版と違っていて、こっちの方がじわっとくる。あんな男に、なりたい。と、生き残りがつぶやくんだよな。しびれました。これはハリウッドでリメイクしたくもなるでしょう。 最近ではドラ…

トラヴィス・ファイン 監督「チョコレートドーナツ」847本目

(ネタバレです) アラン・カミングをお母さんって呼びそうになった。体毛が濃くて筋肉質だけど、ルディはキレイな女のひと、だった。ギャレット・ディラハント 演じるポールも、彼女の愛情の強さに惹かれたのに違いない。 そしてマルコが可愛くてたまりませ…

アンドレアス・エーマン 監督「シンプル・シモン」846本目

2010年スウェーデン作品。ギンレイホールで観ました。 これは面白い。じわっといい。 シモンを演じるビル・スカルスガルド のKYっぷり、お兄ちゃんマッティン・ヴァルストレム の優しさ、通りすがりのセシリア・フォシュの明るさ。この3人の魅力に、愉快な…

ホン・カウ監督「追憶と、踊りながら」845本目

(2015年1月に、フライトの中で見ました) イギリス映画なんだって。 これも英語音声だけで見たので理解度に自信ないです。中国人の女性が、戦争で欧米人とのハーフの息子を無くす。そこに訪ねてきたのが、息子と一緒に戦っていたベン・ウィショー。母を演…

Susanne Bier監督「Serena」845本目

KLMの機内で。英語の映画に英語字幕が出せないので、理解度だいぶ低いです。ジェニファー・ローレンスとブラッドリー・クーパーの共演第3弾だそうで。 開拓時代のアメリカで、実力者ブラッドリーが他の町から連れてきた美しい妻がジェニファー。 なかなか悲…

デヴィッド・フィンチャー 監督「ゴーン・ガール」844本目

まーなんてイヤな映画でしょう!(以下ネタバレ) 怖いとは思わないし、アガサ・クリスティ原作のドラマに、浮気してる夫に殺されたと見せかけて自殺する中年女性が出てくるのもあったし、人間って怖いよ〜というのはこの映画に限らず、驚きではありません。…

Peter Chelsom監督「しあわせはどこにある」843本目

ドイツ映画なんですね。言語は英語です。 日本での公開は未定なのかな。ググっても邦題が出てきません。「幸せの青い鳥」の現代オトナ版で、まじめ一本のサラリーマンであるサイモン・ペッグが、ある日一念発起して世界へ旅立ちます。ロザムンド・パイクは、…

ラッセ・ハルストレム 監督「マダム・マロリーと魔法のスパイス」842本目

映画って、どこで誰とどう見るかによって感じ方が違う!と最近すごく思います。 この映画は、いつも友達と映画館で映画を見る人がすごくほめていたんだけど、機内で見るとわりあいそうでもなかったかなーと思います。(もちろん、もともとの好みもありますが…

リチャード・リンクレイター監督「6才のボクが、大人になるまで。」841本目

ルフトハンザの中で見たもの。 英語字幕が選べるので、雑音の多い機内ではとても助かります。これでOKってかんじ。 リチャード・リンクレイター監督「6才のボクが、大人になるまで。」 「Beforeなんたら」シリーズのリンクレイター監督に、イーサン・ホーク…