映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

黒澤明監督「素晴らしき日曜日」24

それでもDVDは届き続ける。(from TSUTAYA)ので、見る。この作品を借りてみた理由は、1947年と古いこと、意外にも黒澤作品だということ、ジャケットが明るくて素敵だと思ったこと。でもかなりウェットな映画で、暗いシーン六割強でした。主役の若い二人はと…

溝口健二監督「雨月物語」23

1953年作品。 でも時代物なので、ちっとも古臭くありません。 知的だけど野性的な森雅之、やっぱりステキです。 良妻賢母の田中絹代はとっても可愛い。 そして幽霊になった姫を演じる京マチ子は……美しいというか……いやこれどう見てもお雛様でしょう!でなけ…

新藤兼人監督「午後の遺言状」22

1995年作品。 「新藤兼人・私の十本」が、これで完結しました。 時系列でいうと「一枚のハガキ」が最後なんだけど、この作品を最後にして本当によかった。面白かった!完結した!という達成感と充実感があります。 老人をテーマにした映画や本はいくつか見た…

新藤兼人監督「落葉樹」21

1986年公開作品。新藤兼人版「銀の匙」。(←決めつけすぎ) 「銀の匙」、感想にリンク貼ろうと思ったら書いてなかった…。著者は中勘助、子ども時代に乳母と過ごした満ち足りた時間を丁寧に丁寧に描写し、「読書好きな人のベストテン」内に必ず入る、玄人受け…

新藤兼人監督「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」20

1923年から晩年の1956年まで、90本を超える映画を監督し続けた日本の巨匠 溝口健二の生涯を、新藤兼人本人による多数のインタビュー映像でまとめたドキュメンタリー映画。1975年公開。ところで映画監督は「ジャーナリスト」なんでしょうか?(そもそもジャー…

新藤兼人監督「裸の十九才」19

1970年公開作品。19才で殺人を犯して死刑囚となり、刑務所の中で独学してたくさんの書物を残した永山則夫の実話をモデルにした映画です。まったく罪のない人たちを殺めることに同情の余地はありませんが、この殺人犯の生きてきた道は見ていてとてもつらく、…

新藤兼人監督「鬼婆」18

飲み会がなくなってポッカリ時間が空いたので、今日も映画。1964年公開作品。 芥川龍之介「羅生門」の世界です。落武者を殺して武器や鎧を売って生計を立てている、中年女と息子の嫁。息子は戦で死んでしまい、別の男が嫁に手を出そうとします。生と性への激…

新藤兼人監督「一枚のハガキ」17

ここまできたら、とことん付き合いましょう! ということで、ちょうど上映が始まった新藤兼人監督の最新作を見に行ってきました。 日曜の午後のテアトル新宿はかなりの入りで、危うく立ち見になってしまうところでした。観客の多くがおそらくシルバー料金…映…

新藤兼人監督「人間」16

1962年公開作品。4人が乗った船が台風で流されます。備蓄食料が尽きてくると争いが起こり、やがてさらに恐ろしいことが…。感想:「……。」 どんどん重くなっていきます。ここまでいくと商業的には厳しくなっていくんじゃないか、どこまでいっちゃうんだろう新…

新藤兼人監督「裸の島」15

1960年公開作品。「モスクワ国際映画祭」グランプリ受賞。 この映画は、事前の情報なしでいきなり見てよかったです。 「原爆の子」の次の「裸の島」だから、きっとにぎやかに市井の人々を描いた力強い作品だろうと思って見たら、一向にストーリーが動かない…

新藤兼人監督「墨東綺譚」14

今回のNGワード:「体当たりの演技」軽く見られる作品はないかな、と思って借りてみました。1992年、今から20年も前の作品だけど、この監督の作品の中では新しいほうです。永井荷風が自分の小説の主人公となって、小説世界の中の遊郭を回ります。自分の娘ほ…

新藤兼人監督「原爆の子」13

戦争の記憶がまだ新しい1952年に作られた映画。まだ壊れた家の跡が石ころだらけのまま残っていたり、生き残った人たちが突然発病して亡くなったりする時代です。乙羽信子が、終戦後6年たって初めて広島に戻る幼稚園の先生の役。当時3人だけ生き残った園児た…

新藤兼人監督「愛妻物語」12

新妻物語かと思ったら違った。失礼しました。「新藤兼人 私の十本」をご寄贈いただき、”読んでから観るか!?観てから読むか!?”(どっかで昔聞いたような)と迷ったのですが、1章だけ読んでみたところ、これは絶対映画が先だ!と思い、さっそく入手しまし…