ひとりタランティーノ特集のつづき。この人の作品は、”映画好き”になる前からずっと見てたので、感想を書かないまま来てしまってた。この作品も感想を書くのが初めてだなんて、我ながら意外。
遡ってパルプ・フィクションを見て、ミアは確かにユマ・サーマンだと思った。黒髪ボブだとわかりにくいよな~。キル・ビル見たとき、この女優さん初見だと思ってました。彼女ってどこか、どんなに痛めつけられてもくじけない、気にしない感じがあって、その辺がタランティーノもきっと好きなんだろうな。
ほかに、再見であらためて思うのは、「Kill Bill」ってめちゃくちゃストレートなタイトルだな。日本語なら「ラスボス殺し」か。戦後すぐなら「死せよ総長」みたいな。ストーリーはまさしくRPG。途中で4人の強烈な刺客を倒し、自分も瀕死になりながら敵を討つ。この世界には警察はいないか、いてもお役所仕事以下ののんきな奴らで、ブライドもビルの仲間もやりたい放題だ。
第一の敵の家で、娘が帰ってきたとたん友達のふりをする場面、まさに”タランティーノ節”だな。それでも殺すのも。
昏睡状態のブライドを、ダリル・ハンナは殺せず去っていくけど、彼女が開けたドアから入ってきた蚊が彼女を刺して目覚めたんだったら、筋を進めてくれてありがとうだなぁ。
オーレン石井の章のアニメ、傑作だなぁ。そしてオキナワでサニー千葉がやってるチャイナタウンみたいな寿司屋のブライド、最初は普通のおめでたい観光客みたいで和む。こういう無駄なディテールも、日本らしくも沖縄らしくもないけど、こだわりがあっていいな。彼女の手下の”ケイトー・マスク”の男たち。ショッカーみたいなやつ。グリーン・ホーネットでブルース・リーの手下役だったケイトーも日本人だもんなぁ。
栗山千明、初見のときは堅い気がしたけど、今見ると女子高生らしい青臭い狂気が感じられて、マンガとしては面白いなと感じる。彼女が振り回す鉄球も、以前より強そうに見える。前は当時ほかのドラマに出てた彼女のイメージが頭から抜けなかったのかもなぁ。
これは権八ロケではなくて、権八に似せたセットを組んだんでしたっけね。海外の日本レストラン麻布を足して二で割ったくらいの雰囲気、わりといいと思います。このあと外国からお客さんが来たら権八を予約する、というのを何度もやったっけ…。(キルビルの少し前からだな、小泉首相とブッシュ大統領が行った2002年から)
The5678’sの演奏は、うまくもないけどひどくもない。日本女性がタイトなドレスでなぜか、変でちょっといい感じのロックをやってる、ということ自体がなんかすごく面白い。
「やっちまいなぁぁ」の「ぁぁ」のところが、初見ではすっごくイヤだなと思ったけど、それも今回は気にならない。前より楽しめてるな、私。
でも今回は逆に別のところが気になる。ブライドが権八で四方八方から刺客に狙われている場面、背後にスキがありすぎ。ブライドとオーレンの日本語は、下手というより不自然で、私の日本語の生徒たちは笑うかも。なまっててもしゃべり慣れてる人のセリフの方が聞きやすい。(サニー千葉の英語みたいに)でも気になったのはそれくらいかも。
唐突に雪景色の庭園も、ちょっとヘンテコだけどとても美しい。美しいが、どうもアメリカ人たちのコスプレという感じの、締まりのなさはある。本物の剣術を鍛えるのにどれほどの鍛錬が必要か、という部分かな。ゾーイ・ベルに匹敵する女性のボディ・ダブル殺陣師が見つからなかったからか。(しかも二人必要)
Vol.2まで生き延びた最後の刺客が、レザボア・ドッグスからずっと出てるマイケル・マドセン。若い頃からずっとワルで刑務所を出たり入ったりしてるけど、どこか憎めない愛嬌のある男。を演じさせたら抜群な彼、Vol.2が楽しみです。