映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャスティン・ザッカム 監督「グリフィン家のウエディングノート」2567本目

2013年の作品か。ロビン・ウィリアムズもまだ存命だったのだ。

ロバート・デニーロの別れた妻がダイアン・キートン、今の彼女がスーザン・サランドン。弁護士の長女が「グレイズ・アナトミー」のキャサリン・ハイグル、養子にした息子の結婚相手がアマンダ・セイフライド、牧師がロビン・ウィリアムズ。目がくらむようなキャストですが、しかしこの映画のトーンを決めてるのはアマンダ・セイフライド(マンマ・ミーア!)なんだな~。大御所たちが彼女の世界に来ちゃったような不思議な映画です。ドタバタでちょっとエロでハッピー。これも長時間のフライトの機内とか、何を見てもイラつくような精神状態のときとか、Stay Homeの東京とかで見たい作品です。名作と呼んだり、高い点数をつけたりするのはためらうけど、私こういう映画見るのってわりと好きなんだよなぁ…。 

グリフィン家のウエディングノート (字幕版)

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  • 発売日: 2014/08/01
  • メディア: Prime Video
 

 

クリント・イーストウッド監督「アイガー・サンクション」2566本目

アイガーといえばスイスアルプスの超絶、登頂が難しい山ですね。(特に北壁)

なぜかそこを舞台に制裁が行われる映画なのですが、舞台はほとんどアリゾナ州のモニュメント・バレーです。ここって本当によく映画で使われますね!(スイスロケお金かかるんだろうな。)

sイーストウッド監督映画なのですが、映画の中の主役の彼は足を洗った元暗殺人で、行く先々に敵や味方の手先のいい女がいてすぐにしなを作って彼のベッドに入ってきます。うーむ、男しか読まない週刊誌的な世界、イーストウッド監督作品にしてはノリが古い。

登山が始まると緊迫感が出てきます。しかし、楽しい山歩き以外の、こういう厳しい登山って、なんでするんだろう…この北壁なんて致死率5割以上とかなのに。死ぬリスクより欲しいスリルなんでしょうか。この映画でも<突然ですが以下ネタバレ>主人公しか帰ってこないというありさま。

結局、登山隊に紛れ込んでいると言われる敵は、ふもとのサポートチームをやっていた彼の旧友で、お互いに命を奪うこともなくアメリカに戻る…てことは、既に死んだ人たちはいったい何のためだったんだろう?最後の最後のこの「殺し合いのむなしさ、ばかばかしさ」だけが、今のイーストウッド監督作品を思わせる部分だったように思うのでした。

アイガー・サンクション (字幕版)

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  • 発売日: 2015/03/04
  • メディア: Prime Video
 

 

佐藤信介監督「キングダム」2565本目

大人気のマンガが、アニメにもなってるけど、それを映画化したのね。

前半かなり進行が速いけど、コンパクトに、かつみっちりと作ってあるので、ちゃんと筋を追いつつドラマチックな場面を楽しむこともできます。この手の映画化は、映画だけ見ても筋も良さもわからないものが多いけど、主役の山﨑賢人と吉沢亮が張り切っててとても良いでえすね。ふくろう小僧みたいな橋本環奈も可愛いし、大沢たかおも橋本じゅんもノリノリで悪役を演じています。長澤まさみもすごく綺麗。(ほとんど動かないけど~)この映画は美術が素晴らしいんですね。マンガは色合いがちょっとウルサイのに、この映画ではいい具合に濁った色合いに置き換えられていて、調和しています。こんなアフリカの部族の原始神のような造形は、中国の人が見たらびっくりしそうだけど…。

しつらえも手をかけてよく作り上げてあるし、キャスティングが合っているだけでなく、役者さんたちがとても乗って盛り上がって演じてるのも素晴らしい。こういう風に彼らを盛り立てていくのが監督の技量なのかな。…俳優プロフィールをググってたら、スターダストプロモーション所属の人が多いな。

最後もよくきれいに締まっています。なるほど、これはヒットするだろうな。マンガのファン、アニメのファンも大勢見に行って気に入ったんだとしたら、それだけでもすごい。元のイメージを裏切らず、かつ、さらに夢を広げるという大変な技を成し遂げた制作陣に拍手を送りたいと思います。

キングダム(映画)

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  • 発売日: 2019/10/09
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トミー・ヴィガント 監督「バチカンで逢いましょう」2564本目

アメリカか、でなければフランスのハートウォーミングな家族ドラマ、というしつらえなんだけど、イタリアが舞台の映画。ドイツ映画で「ハートウォーミングな家族ドラマ」をやるには、イタリアの明るさや軽さが必要だったのかもしれません。(※バグダッド・カフェのヤスミン=この映画のマルゲリータのほかに)

実際、※をつけてしまうくらい、彼女の太陽のような温かさと家事能力は「バグダッド・カフェ」によって性格づけられた既存のキャラクター設定なので、借景のような感じすらおぼえるのですが、全体的にはあのようなおとぎ話ではなくて現実的なストーリーだし、彼女を懐かしく嬉しく見てしまった人も多いんじゃないかと思います。つまり、使ったもの勝ち。

ヤスミン=マルゲリータという偶像は、明るくやさしく賢く生きて、周囲の誰もを幸せにするというあり方なんですよね。この映画の原題は「オマ・ミーア」という、「マンマ・ミーア」をまるごとパクったタイトルで、内容もまさにそんな感じだけど、バグダッド・カフェのヤスミンを借景としている分だけ、なんとなく含蓄に富んだ感じのする映画なのでした。

バチカンで逢いましょう [DVD]

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  • 発売日: 2014/10/02
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フリッツ・ラング監督「マンハント」2563本目

102分の短い作品なのに、一人のイギリス人男性の、彼の人生における重大な局面のサバイバルが濃すぎて、3時間くらいの大作のような感じがします。

第二次大戦の開戦前、ドイツ某所でヒットラーを銃撃しようとしたイギリス人が捕まります。本気じゃなくて、スポーツ射撃で目標を定めただけ…なんて言い訳がナチスに通用するわけないじゃないですか。この人おばかさん?と思うくらい、2020年に見るとお気楽。

主人公はヒットラー暗殺ニアミス→デンマーク船籍の船にしのびこんで命拾い→ロンドン上陸したところで美しいお嬢さんと出会うものの、ナチスの追手に追われる。お嬢さんにプレゼントしたのは、なんと、矢じりの形のアクセサリー。(いやこの形はないでしょう)→<以下急ですが、ネタバレ>お嬢さんが”遺体で見つかる”のって、ちょっとあんまりでは…。→追手を返り討ちにして、なんとかして無事脱出。でも、愛した女を、祖国をナチスから守るために、自分はもう本気でドイツに立ち向かうのだ…。

それにしてもラング監督は、ドイツにいたときはナチスのお抱え監督になろうとしたって話もあるのに、ハリウッドに跳んだとたん、どんな気持ちで反ナチス映画を撮り続けたんだろう。彼自身がナチスだったわけではないし、どんな人でも生き延びるのに必死だった時代なんだろうな。

なかなかお腹いっぱいになる大きなドラマなんだけど、フリッツ・ラング作品の映像には、どこかピシッとしていてクールで緊張感があって、いかにもゲルマン的な魅力がたくさんあるのです。

マンハント

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  • 発売日: 2018/08/10
  • メディア: Prime Video
 

 ふり

ギラッド・エミリオ・シェンカル 監督「リーディング・ハウス」2562本目

なんだこの映画は?まったく何語かわからないこの言葉は、ヘブライ語?翻訳できる人すごく少なそう…多分英語原稿と一緒に海外配給してるんだろうな。

怪しくて雰囲気があって、なかなか楽しめました。ものすごく特殊なストーリーとか大どんでん返し、とんでもない映像効果、超魅力的な俳優たちも良いのだけど、私はこういう小粒でちょっと気になる作品は大好きです。

不思議ポイントは、ヘブライ語であること、イスラエル映画であることのほかに、中年以上の男嫌いの女たちが。(ヘブライ語の!)図書館で働いていて、そこでは毎週謎めいた秘密の恐ろしい集まりが、仰々しく行われている、という設定。世界の美しい図書館って本を買いそうになるくらい個性的な図書館や書店が大好きという私には、響くポイントがたくさんありました。

しかし…結局愛は勝つのか。あれは愛なのかなんなのか。

リーディング・ハウス(字幕版)

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  • 発売日: 2020/04/08
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シャロン・マグワイア 監督「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」2561本目

楽しい。元気が出るわ~。ブリジット・ジョーンズは英国の国民的アイドル?ですね。ハリウッドの美人女優やモデルと違って、ちょっと丸くておっちょこちょいで。

コリン・ファースだのパトリック・デンプシーだの、世界で最もチャーミングな50代ベストテンに入りそうな彼らにもビビらずにいつものブリジットなのがいいんだろうなぁ。きっと男性は彼女に母を見るんじゃないか…と第一作から思ってました。

それにしてもレニー・ゼルウィガー、いつも眉間にしわがあって、昔の彼女と違いますね。整形疑惑とかもあるようだけど、それより輝くようなあっけらかんとした表情じゃないことがちょっと気になります。いまどきは切ったりしないであちこちに注射とかしたのかもしれないけど…まあどっちでも。

女医エマ・トンプソンも素敵ですね。冷静で聡明で。

しかしこの映画はすぐれて現代的なしつらえになってますよね。もう誰も、同時に二人の男性と、ということで彼女を責めることもない。<以下ネタバレ>結局どっちの子だったかも明かされない。そのうえ死ぬわけないと思ってたヒュー・グラントがやっぱり発見されてるし!まさかブリジット・ジョーンズおばあちゃんがダーシーを看取ったあとの日記とか作るつもりじゃないでしょうね…。(むしろ作ってほしい)