映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

タイ・ウェスト監督「パール」3785本目

「X」がサイコならこちらは「マルホランド・ドライブ」のような面がある。田舎のちょっと可愛い子がオーディションを受けても通らず、だんだん狂おしくなっていく(パールは最初から壊れてるけど)。それでも家を出てしまえばいいじゃないか、テルマ&ルイーズみたいに。諦めることも我慢することもできないのに、鬱屈がさらにほかの者たちも破壊していくんだよな。

夫は完全に取り込まれてしまうわけですが、それでも長生き。これもすごい。パールはナチュラル・ボーン・悪魔のいけにえガールなのに・・・。

恐怖を感じる映画ではないけど、どこかリアルなパール・ミア・ゴスの存在がひたすら怖いのでした。

3部作の3作目っていったいどんな作品になるんだろう・・・!?

 

タイ・ウエスト監督「X」3784本目

ミア・ゴス出てるだけで不穏だ。それに、シチュエーションが「悪魔のいけにえ」みたいでもう怖い。奴らがゾンビじゃなくて人間なのが怖い。いかにも、やられてしまいそうな、ちょっと無軌道なアメリカの若者たちを見てるだけで、ハラハラする。

その後の成り行きは、ある意味、その手の映画を見慣れた人には予想通りなんだけど、生き残るのが誰か、殺人者は何者なのか、というところがちょっとゾクゾクしました。「サイコ」も確かに思い出しますね。

「前日譚」の「パール」も楽しみです。

 

ユーロス・リン監督「図書館の自殺」3783本目<KINENOTE未登録>

ゲール語の映画です。どこのヨーロッパの国?という雰囲気がただよっています。喉を狭くしてグイっと息を吐きだす音はドイツ語のようでフランス語のようにも感じられる。

著名な作家の女性が図書館で自殺を図り、その娘である双子の女性たちがダイイング・メッセージの「エベン」がその元凶であると断じてエベンの殺害をはかり・・・というプロット。その「断じて」の部分が唐突で、その後で真実が明かされていくんだけどもう遅い。でもあまりよくわからなかったです・・・。

アンドリュー・レヴィタス 監督「MINAMATA-ミナマタ-」3782本目

この映画ぜったい見たことあると思うんだけど、記録がない。機内とかで見てそのまま忘れてたのか…。美波も加瀬亮も浅野忠信も覚えてる、もちろんジョニー・デップと真田広之と國村隼も。家が燃えたときショックだったのも、「嘆きのピエタ」のような入浴の写真のことも覚えてる。今回は、坂本龍一っぽい音楽だなと思いながら聞いていたら、やっぱりそうだった。彼の音楽が入ると、映画が風景画みたいにしずまっていって、普遍的なものになる、気がする。

今さら感想を書くのは難しいけど、これを水俣だけの問題としてではなく、ひとつの鉱害事件として見て、この映画のエンドロールみたいに、世界中で起こり続ける人災について考え続けるきっかけとするべきなのかな、と思います。私自身、小さい頃は恐れおののいたけど他の事件に紛れてしまいそうになった水俣を、ハリウッドが映画化して世界に発信してくれたことの意義は大きいはず。

 

ジュリアン・テンプル監督「シェイン 世界が愛する厄介者のうた」3781本目

これも公開時に見逃して以来、レンタルDVDが見つからなくて見てなかったやつ。VODばんざいだ。

音楽好きの仲間がポーグスのことをよく話してたけど、私はほとんど聞かないままだった。シェインってやつは、俳優で似ている人がいるとすると、妖怪俳優ティモシー・スポールではないか。(あるいは、押すと目と耳が飛び出すゴムの人形)ロックスターで似ている人がいるとすると、キース・ムーンか、性格はリンゴ・スターみたいな感じもする。いつもとぼけていて、周りの人たちから愛されそうな。

パンクスがアイリッシュ音楽を始めるというのは、日本でいえば民謡だろうか。アメリカのカントリー音楽は、ジャンル名は古臭いけどテイラー・スウィフトだってカントリー枠だ。「島唄」をTHE BOOMがやるのは違和感なかったし、イケるのかもしれない。

シン・フェインの代表と対談してる時の彼は話し方がゆっくりで、ジャンキーって感じだな…。「ファック」がアイルランドなまりだと「フォッコ」みたい。

冒頭やあちこちに挿入されてるアニメや”再現映像”のできが良くて、ドキュメンタリーかしらと思うほどだけど、それにしてはよくできすぎてる。どれくらい新作で、どれくらい当時の映像なんだろう?

そういうこともあって、この映画は「アイルランドってどんな国?」を映像化した作品のようになってる。ポーグスのこともシェインのことも知らなくても、面白く見られるなんて、ロック・ドキュメンタリーなのに!

 

 

 

佐藤太監督「hide 50th anniversary FILM JUNK STORY」3780本目

hideが亡くなった1998年に私は何をしてたか?IT会社の派遣から社員になったところで、「Pink Spider」が、当時契約してたケーブルTVのSpace Shower TVでヘビロテしてて、鮮烈な印象があったのを記憶してる。まさにこれから世界に打って出るぜ!というときの突然の訃報。運命の神様がときどきやる、ショッキングな気まぐれだ。

この映像を見ても、自分で選んだ帰結だとは思えない。テンションが上がりすぎて、精神も肉体もついていけなくなっていたときに起こった事故、という気がする。

今聴くと、強くて明るくてすごいエネルギーをもった音楽だった。それでも「Pink Spider」にどこか不吉なイメージがあるのは、槇原敬之も「Hungry Spider」直後に逮捕されたせいかな…。(迷信みたいなもんですね、すみません)

彼自身もすごく魅力的な人だったんだな。すでに彼に恋をしてた人たちにとって、その喪失のショックはどれほどのものだっただろう。

当時私は彼らの音楽を積極的には聞いてなかったけど、今はあの時代を一緒に過ごしてた、と感じる。私が何をしてもどこにいても、当時彼らの音楽が流れていたから。だんだんそういうことを大事に思うようになるんだよね、年をとると…。

 

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督「デューン 砂の惑星PART2」3779本目

機内で鑑賞。スクリーン小さいけど、10年前とは雲泥の差。

Part2ではティモシー・シャラメ=アトレイデスが悪く成長した姿を楽しみにしてましたが、なかなかの迫力でしたね。声はエフェクトかけてるんだろうか。ゼンデイヤも野生の迫力が生きています。このあとどうなるんだっけ…オースティン・バトラー=ハルコンネンの息子、同世代の人々にも気持ち悪がられる異常っぷり、見事です。フローレンス・ピュー=皇帝の娘、あいかわらず重力が強くていいですね。レア・セドゥ、シャーロット・ランプリングも怪しくて素敵。ハビエル・バルデムも見事に砂漠の民です。クリストファー・ウォオーケン、ジョシュ・ブローリンもとても良いけど、ステラン・スカルスガルドは誰だかわからなかった。(あの特殊メイクだから当然だ)イヤらしくてとてもよいと思うけど、彼らしさなのかどうかはわからなかった…。

かなり複雑なストーリーだけどこの作品は難解ではなかったな。しかしこれも「続く」という感じで終わったので、まだ作り始めてもいないけどPart3が早く見たいです。

デューン 砂の惑星PART2

デューン 砂の惑星PART2

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