映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

湯浅政明 監督「日本沈没2020(Netflix版)」2819本目

<ネタバレすぎ注意>

これは映画として編集したものが上映されたので、KINENOTEに載ってるんだな。私が見てるのはNetflix版だけど感想をKINENOTEにも書かせていただこうと思います。

1話25分くらい×10話ってことは全部で250分くらいか。映画版は151分だから2/3くらいに縮めてますね。

なんか、けっこう乱暴なストーリーだな。飛行機に乗ってたのが不時着、ボートで避難、いつの間にかある家族だけになっていて、逃げる途中ほとんど人に会わず、穴を掘ったら不発弾に命中、用を足そうと谷に降りたら有毒ガスで一人だけ即死。ハングライダーで降りてきたYouTuberと一緒に入り込んだ店で弓を持った老人に撃たれるけど生き延びる。その後”サティアン”みたいなコミューンにたどり着いて、そこに長く滞在。何の被害もなかったかのように豊かに暮らす人々。中で療養中の男はまばたき以外ほとんど動けなくなっているが、日本沈没を予言した潜水艇の小野寺だった。彼はさらに大きな地震が起こるから逃げろと、逃げてきた家族の一人に伝える。(どこへ?)

なんとなく逃げて、選ばれた者だけが乗れる船に乗るのを諦めたら、その船が超目立つ他の船に座礁して沈没、同時に家族は親切な漁師の船に乗らないかと誘われる。いろいろあってテントみたいな船で兄弟だけが漂流、飛び込んできたトビウオや水鳥が吐いた魚を食べて生き延びる。発煙筒を焚いたら母たちが見つけてボートで助けに来てくれた。(救助隊とかではなく)映画で語られない部分でペースメーカーの充電もバッチリだった母は、船底の何かを調整するために海に潜ってあっさり溺死。その後こんどはカイトたちが彼らを(もはや発煙筒もないのに)見つけてくれて合流。この世界は洗面器みたいに狭くて全部で10人くらいしかいないのか。

コミューンの中心人物が死者の声を聞けたりするのもあんまり本筋じゃないし、一緒に逃げてきた、店の老人がモルヒネ中毒で無為に人を殺すとか、なんか撃ち合いが始まったり、これは…これは…ツッコミどころ満載というより、トンデモ映画?まるで某宗教団体が作った映画を、間違って映画館で見てしまったときみたいな気持ち。映画版は長さが2/3なので、「??」というエピソードは編集の時点でだいぶ減らされたのかもしれません。

日本沈没と名の付く映画もテレビも全部、原作は小松左京となってるけど、「原案」ていどにとどめておくべきじゃないかな?どう調べても、1973年の映画が小松左京の原作の映画化で、この映画ではキャラクターとして小野寺さんが使われてる以外ほとんどオリジナルなんじゃないか。…監督が湯浅政明だから。これは「クレヨンしんちゃん」劇場版や「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」「マインドゲーム」の仲間だ、大人が真剣に見たり「この作品は社会的な含みを持って」とか語ったりするべき作品ではないのだ。。。

いや。

VODって作家が好きなものを作れて幸せだと思うけど、この作品に関しては、アイデアは悪くはないけど人前に出す前にもっと小説でいうところの「推敲」が必要だったんじゃないかな。文芸誌の編集者に当たる誰かが。新海誠が一人で作っていた作品を川村元気がプロデュースしたから「君の名は。」は世界に通用する名作になったわけだし、もっというと放送ならBPO、映画なら映倫があるところVODにはYouTubeと同じで何のチェック機構もない。なんらかの選択をしたうえで個別にお金を払って見る映画と違って、VODは「富山の置き薬」みたいに家にあって、リコメンドされたものを見ることも多く、外れても損した気にならない。これからますます玉石混交になっていくんだろうな。

ときに、日本が本当に一回沈没して隆起するような事態になったら、アメリカは安全保障を根拠にここぞとばかり協力を申し出て、隣国であるロシアは沈没時の救助や医療援助を根拠に新領土を自分のものにしようとして、下手すると「日本戦争」が起こって領土が半分ずつに分割占拠されたりすんじゃないのかな。あ、中国も加わって3分割かも。。。(ロシアと中国は組まないという)

デヴィッド・ドブキン監督「ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜」2818本目(KINENOTE未掲載)

もっと早く見るべきだったけど、去年はNetflixに加入してなかったからね~。

ユーロビジョン・ソング・コンテスト(歌合戦って言われてもピンと来ない)はヨーロッパ全体、さらにはオーストラリアやアフリカ大陸の国のような南半球の国々からも代表が出てオリンピックみたいに国対抗で行われ、世界中に配信される…まぁ歌合戦みたいなもの(笑)。たいがいの英語圏の国の人なら誰でも知ってるコンテストがテーマで、舞台がアイスランドってところが、そもそも可笑しい。一昨年旅行したので、いかに彼らがバイキングの伝統を重んじているか、氷と火山しか売りがない辺境の地とみられていることにコンプレックスを抱いているか、すごく実感してしまうのでますます面白い。

映画ではそういった「劣等感モチーフ」を最大限にフィーチャーして、デュオのラース(ウィル・フェレル)の服装は宅録してるときでもバイキング装束でシグリッド(レイチェル・マクアダムス)はお姫さまの恰好。だいいちファイア・サーガってアイスランド航空のビジネスクラスの名前みたいだ(マイレージプログラムが「Saga club」、ビジネスクラスは「Saga class」)。ラースとシグリッドという名前も「太郎と花子」くらいアイスランドっぽく感じられるし、エルフが普通に出てくるし、笑わせてくれる準備、万端です。ラースの父はなんとピアース・ブロスナン。年取ったけどカッコいいなぁ。

(でも背景がわからないとつまらないのかなー。カザフスタン知らなくても「ボラット」で笑える人なら大丈夫だと思うが)

アメリカ映画なので撮影はほとんど国内だろうけどアイスランドが舞台だと思うだけで、なんか寒く感じられるのが不思議。

期待はそのくらいにして乾燥をいうと、子どもの頃は声が出なかったレイチェルが歌姫になるのが普通の映画では考えられないくらい唐突だったり、ギャグのセンスが「ゴーストバスターズ」の頃(つまり昭和)っぽかったりするけど、単純に楽しめました。飛行機の中で見てもOKな、ゆる~いコメディでいいんじゃないでしょうか。(批評家の点が辛いのも、よーくわかるw)

 

マーク・フォスター 監督「ステイ」2817本目

「Stay」って洋楽の歌詞によく出てくる。(もう誰も覚えてないと思うけど、1990年代にシェイクスピアズ・シスターっていうグループが歌った「ステイ」って歌が好きだったなぁ)「そばにいて」とか「一人にしないで」って訳すことが多いんだけど、I want youとかHold meみたいに直接的じゃなくて、静かにただ思っている感じで好きなんだよなぁ。

この映画はまた私の大好きなナオミ・ワッツとユアン・マグレガーが出ていて、気になるライアン・ゴスリングも出てます。ライアン・ゴスリングって声がちょっとハスキーで、舞台でも通りそうな声のナオミ、ユアンと違って、普通の人が普通に話してるようなリアルな感じがして、映画の中では逆にちょっとはっとする。

ナオミにもライアンにも(すみません、役名がすぐに覚えられなくてつい俳優の名前で語ってしまう)手を縦に長く切った跡がある。調べてみたら、横に切ろうとすると腱を切らないといけないので痛い上に動脈に到達しづらいから、腱に沿って縦に切ったほうが到達しやすいんですって。映画の中では「手首(wrist)」でなく「腕(arm)」に傷がある、と言及されています。…変な知識を身に着けてしまったけど、ドラマの中のリアルなリストカットがどういうものか一応わかりました。

で、ストーリーに戻ると、不安定な精神状態を描いた映画っていくつもあるけど、日常と違うのでいつも興味深く見ています。この映画では 目の錯覚?みたいな、同じ場面がコンマ数秒で違う角度から繰り返されたりします。

<以下ネタバレ>

結局のところこの映画は、21歳の誕生日の前日の夜に自分が引き起こした事故で2人?3人?の人を死なせ、自分も持ちこたえられなかった青年の最期を看取った通りすがりの精神科医と看護師の物語でした。とてもショックが大きく、精神科医はその後、亡くなった青年のいまわの際の言葉の中に自分自身が入り込んでしまったような状況を経験してしまった。…あるいは、予知夢のようにこのことを予感していた精神科医の見ていた幻、青年が事故から亡くなるまでの間に見た走馬灯のような3日間か。

「ステイ」というのは英語で死にかけている人に声をかけるときの「stay with me(しっかりして)」の意味だったんですね。英語では「もう逝かせてやれ」が「Let him go」だったりするので、その場にとどまる、生きていて、という意味で「stay」というロジック。死にかけている人に「しっかり」するのは難しいので、ただそこにいて、という「stay」は優しくていい気がします。

この映画は事故までのシーケンスと事故との関係性が、一般的な死とか夢とかの感覚とズレてるので、論理的に映画を見る人には評価しがたい部分がありそうだけど、「理屈じゃない」と感じられる人には感覚に訴えてくる良い映画だと思います。この構成、私には新鮮だったし、優しさがあってわりと好きな映画でした。

ステイ (字幕版)

ステイ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

Jackson Ducasse監督「Prime Live Events: Blondie Live at Round Chapel」2816本目(KINENOTE未掲載)

これは英語だけで字幕もない。そういうのも日本で見られるってありがたい。Amazonに映像を出すとき(電子書籍もだけど)、ライセンサーの意向で対象地域:全世界って簡単に選べるのが、視聴者・読者としてはありがたいですね。Amazonはあと、どんな映像でもちゃんと監督名だけはクレジットしてあるのが良い。Netflixはググるか画面上で探さないと見つかりませんから。

で、ブロンディです。1976年の「Xオフェンダー」のデビューがカッコ良かった!その後1979年に「ハート・オブ・グラス」、1980年「コール・ミー」、1981年「ラプチュアー」、懐かしいなぁ、どれもクールでそっけないようなデボラ・ハリーがほんとに素敵だった。いったん解散した後再結成して、2017年にロンドンの教会でやったというライブ映像がこれです。かなり丸くなって衣装がパツパツなデボラですが、今でもきれいで、なんかあけすけなおばちゃんっぽさも昔通り(笑)。「死ぬまでにしたい10のこと」とか、わりとメジャーな映画にもけっこう出てるのですが、歌はもう本業だと思ってないのか、だいぶキーを下げて歌うのでイントロ当てクイズで当てられない感じ(笑)。MCで「あなたたちのせいよ(It's your fault)」って観客に言うところがあるんだけど、これは「あたしは年取って太って声も前ほどでないけど、あんたたちが呼んだから来たのよ(笑)」ってことかなぁ。でも、そんな懐かしい集まりみたいな雰囲気が良いです。

彼女以外のバンドメンバーまではわからないけど、まぁ爺さん揃いだわ。デボラが75歳ですから(!)当然です。

それにしてもあの頃の音楽って、なんでこんなにクールでかっこよかったんだろう。よく考えるけど、どうしてもわからない。あの頃の自分、あの頃の世界だったから感激したのかな、それとも今生まれた子が大きくなってから聞いてもやっぱりカッコイイのかな。 

 

ジュリアス・オナー 監督「ルース・エドガー」2815本目

私の大好きなナオミ・ワッツとティム・ロスが出てる。というだけで絶対見ようと思ってました。ナオミ・ワッツは息子と先生の間でゆらゆら揺れる養母、ティム・ロスは厳格でいようとする養父。息子は内戦の激しい国で苛酷な状況から逃れてきた少年で、学校では優等生。彼が作文の題材に革命家を選んだり、危険な花火をロッカーに隠し持っていたり、独立記念日が好きだと言ってみたり…危険思想の典型じゃないかと疑われるようなことが続き、それを危険視したオクタヴィア・スペンサー教師が母を呼び出す。

…この教師の行動は、相手が良い子でも悪い子でも、いい方向には向かない気がするな。というか危険だ。この人は今までの人生で、いい人のように振舞いながら人を陥れようとする人に出会ったことがないんだろうか。

ルースの出身地とされるエリトリアは実在するアフリカの小国で、実際に政治難民が大勢出ているらしい。ここはフィクションでも良かったんじゃないかと思うけど、どうなんだろう?

ルースが先生に向かって、模範的な彼とそうでない彼の友人を差別する彼女の気持ちを代弁する場面。彼女はお手本になる黒人学生が必要だった。ルースは優遇されることで周囲との壁を作られることに迷惑していた。…彼は賢くて裏表のある”ばけもの”なのかもしれないけど、彼が私たちと同じような人間だったら?と考えると、全く同じ人物を主役にして違う映画が撮れたかもしれない。学校では優等生だけど内紛のトラウマに今も悩まされていて、自分をアメリカ人にしてしまったこの国で、機関銃を撃ちまくりたい衝動に駆られることがある、とか。先鋭的な祖国の独立運動に走ったけど本当はずっと孤独だった…とか。監督のジュリアス・オナーはナイジェリア生まれの外交官の息子で、フィリピンやトーゴを転々としたあとアメリカに落ち着いたとのこと。彼自身は難民とは程遠い育ちのようだけど、自分の影で劣等生扱いを受けるほかの黒人少年たちをずっと見ていたのかもしれない。

ルースがスピーチで言う「アメリカ人になれて、なんてラッキーなんだろうと思った」…アメリカ人ってこういうことを言わせたがるんだよな。アメリカの会社にいたとき、サプラ~イズ!とか言って激甘のクリスピー・クリームの山とか持ってこられて、びっくりして嬉しそうな顔をしなきゃって困ったこととか「ケイコ泣き出しちゃうんじゃない?」とか言われて全然泣きたくないよ、嬉しいけど、って思ったこととか、思い出すなぁ。アメリカの中でも、正直なところ、優等生びいきをする杓子定規な先生よりルースのほうに共感する人ってけっこういるんじゃないだろうか。

障害のあるローズマリーが学校で叫びだしたとき、(彼女を学校に連れてきたのはルースなんだけど)服を脱いでも見ているだけ、「誰か着せてやって」と叫ぶだけで、抱きしめるでも服を着せてやるでもないハリエットは、ルールを守るために彼女の面倒をみているけど、心の底から暖かい人ではない、という設定なんじゃないかと思う。

奨学金が受けられなくなったデショーンに「状況を変えたい」とルースが語り掛ける場面や、ステファニーに「Dランナーも同意したよ、準備しなきゃ」とメッセージを送る場面があるので、”共犯者”は彼らなのかな。(この「Dランナー」というのは誰か、という疑問も多くの人が書いてました。デショーンのDとは限らないのか)

最後にルースが母に「クリスマスプレゼントの隠し場所」(そこに花火を隠してあった)と自分の演技のうまさについて告白するとき、その紙袋に入っている金魚鉢を見せて「デニス覚えてる?」っていうんだけど、デニスって誰だっけ?その後母は「もちろん」「あなたには将来があるわ」、そしてルースは「やり直したい」と言って泣く。すごく重要な場面なんだけど、デニスって人は出てこないのだ。ググっても情報なし。なにこれ??(Dランナーと関係あったりして?)

ナオミ・ワッツ母は「もっと自分らしさを出していいのよ」と冒頭で彼に語りかけます。それで自分を出しちゃったらこんなことになっちゃった、と見ることもできます。

ルースはかなり知能が高くて、その分憎まれると思うけど、どんな人にも破壊的な部分はあるし。ぶっちゃけ、最悪の結末は「彼が先生または養母を犯す」とかもありえたので、彼のために嘘をついた母性の塊である養母にわざと自分のあとをつけさせて、帰宅後に種明かしをする場面。あれは怖い場面だけど、共犯者となった養母に手の内を明かすというのは、彼の人間的な部分なのかもしれません。

みんな多かれ少なかれ、ずるい。全然ずるくないのは障害のあるローズマリーだけで、そういう人は間違いなく煙たがられるのだ。

一番怖いのはこの後だよな。「自分を出す」ことを始めてしまった彼は自分を止められなくなるかもしれない。 エリトリアの革命の士となるのか。彼はどこへ走っていくのか。

ルース・エドガー(字幕版)

ルース・エドガー(字幕版)

  • 発売日: 2020/09/06
  • メディア: Prime Video
 

 

フローリア・シジスモンディ 監督「ランナウェイズ」2814本目

VODってリコメンドのせいもあって、音楽映画を見始めると片っ端から見てしまうな。

ザ・ランナウェイズ。みんな覚えてるのかな。1970年代に人気だった、下着姿で歌うアメリカのガールズバンド。来日して歌番組にも出てたよね?その後自分のバンドで成功したジョーン・ジェットが今63歳、ボーカルのシェリー・カーリーが今61歳、写真を見ると若々しくて今もきれい。50年近く前のバンドだから、当時まだみんな10代だったってことだ。

バンドを組む前の彼女たちのバックに流れるのは、ちょっと先輩だったスージー・クアトロの曲。歴史だ。

ドキュメンタリーかと思って見始めたけど、みんな若くて可愛い。なんとジョーン・ジェットをクリステン・スチュワート、シェリー・カーリーをダコタ・ファニングが演じてて、よく雰囲気出てます。特にクリステン・スチュワートは、彼女の映画の中で一番ぴったりって気がするなぁ。彼女たちから見たらランナウェイズって、親の世代?私が感じたようにカッコいいって思うのかな。みんな演奏できたし、それぞれ個性的できれいだった。

このバンドにとって、日本で(だけ)バカ売れしたっていう事実は、それなりに大きなことなんだろう。大きすぎたのかも。双子の片方だけがスターになるっていうことも、家族の中では大きい。

1970年代の日本はまだ「ゴールデンハーフ」とか「リンリン・ランラン」といったエキゾチックな美少女たちが、おもちゃみたいに売られてた時代。ランナウェイズも、外国から来たお人形たちみたいに大人は思ったんだろうな。でも子どもたちは「カッコイイ!!」と 憧れるのだ。

リッチー・ブラックモアみたいにリードを弾きまくるのはリタで、ジョーン・ジェットはサイドギターだったし、ボーカルもサイドボーカル。曲もパンチはあるけど名曲ってわけじゃないし、と思ったけど「アイ・ラブ・ロックンロール」は大ヒットした。なんかすごくカッコ良かったんだよね、彼女そのままって感じで。最後に現在の状況が字幕で流れたのはシェリーとジョーンだけで、リタはハードロック・ギタリストとして今も世界ツアーをやってるけど、ドラムのサンディは犯罪にも手を染めて貧しい生活のまま47歳で亡くなったとのこと。ベーシストはロビン・ロビンズっていう架空の名前になってるけど、ルックスから見てモデルにしたと思われる最初のベーシストだったジャッキー・フォックスは、その後弁護士資格をとってエンタメ・ロイヤーとして活躍してるらしい!

なんか、世の中って難しくて面白い。。。あの頃のきれいだった彼女たちのことを思い出せてよかったです、私は。

ランナウェイズ (字幕版)

ランナウェイズ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

フランシス・ワトリー監督「デヴィッド・ボウイ 最後の5年間/最初の5年間」2812-2813本目(KINENOTE未掲載)

Amazonプライム限定ドキュメンタリー、デヴィッド・ボウイの最初の5年間と最後の5年間を取り上げた2本立てです。(最初の5年間のほうは監督のクレジットなし)

公開は「最後」が2019年、「最初」が2016年という順番だけど、やっぱりここは時系列順に見たいです。

ジギー・スターダストが大ヒットして「スター」になる前、「スペース・オディティ」や「世界を撃った男」…より前、いろんなバンドを組んではレコードを出して片っ端から失敗してた頃、”下手な”パントマイムをやってみたり、人気歌手にそっくりの歌い方をしてみたり、奇をてらってもうまくいかない時代の彼について、当時の恋人たちや音楽のパートナーたちが語ります。

愛されてたけど妙な奴だった、って感じ。

一方の「最後の5年間」はもう結末を知ってるから切なくて、シリアスな気持ちで見るしかないです。最後のツアーの途中で倒れて、その後何年も音楽活動から遠ざかっていたのが、突然「The Net Day」という大傑作で復活。そのときのレコーディング・メンバーが、その時に作った音を再現して鳴らしてくれるのが感激。

「★」が出た時はさらに嬉しかったけど、「The Next Day」を超えるものができるのか?と思ったのと、このシーケンスは「Double Fantasy」と「Milk & Honey」に似ていてやばい。実際恐れた通りになってしまいましたが…。

それにしてもこの2枚は人知を超えてるんじゃないかというほど素晴らしくて、ボウイって昔からすごいけどとうとうモノリスが彼の前に現れたかと思いました。「★」で演奏をしたジャズマンたち、MVを作ったすごいアーティストたちのインタビューも見られた。トニー・ヴィスコンティがまるで年を取ってなくて元気なのもよかった。

すごい人は死ぬ前にここまで上りつめられるのか。残される私たちのために、ここまでのことを伝えられる人がいるのか。と思ったものでした。聞き直すのがもったいない、持ってるだけでいいと思える最後の2枚のアルバムでした。

デヴィッド・ボウイ 最初の5年間(字幕版)

デヴィッド・ボウイ 最初の5年間(字幕版)

  • 発売日: 2020/02/17
  • メディア: Prime Video